歴史上の人物を四柱推命で鑑定!第100回(最終回)【総集編・後編】
④バランスが取れている人物、⑤頭がよすぎる人物、⑥人に翻弄される人物、⑦遊び心あふれる人物 四柱推命ランキング・ベスト3を発表!
ひとりで何でもこなせる“五徳”スーパーマンはメアリー1世、豊臣秀吉、渋沢栄一のみ!

メアリー1世の墓があるウエストミンスター寺院。エリザベス1世の墓も同地にある(著者撮影)。
「歴史上の人物を四柱推命で鑑定!」は、おかげ様で連載を開始してから今回で第100回を迎える。これまで約150名の歴史上の偉人を四柱推命で鑑定してきたが、最終回となる今回は、前回から引き続き「総集編」と題し、中でも特徴のある人物をランキング形式で紹介していく。今回は、頭がよすぎる人物、遊び心あふれる人物など、性格に特徴のある偉人を発表する。
※四柱推命と用語の説明はページの最後をご覧ください。
命式表の通変星(つうへんせい)から、その人物の性格を知ることができるが、通変星は、知性、人脈、行動力、自立心、遊び心の5種類に分けられる。それらの星をどのくらいの割合で持っているのかで、その人物の性格の特徴を知ることができる。5つ全て持っている人物を五徳と呼び、一人で何でもできるスーパーマンとなる。

☆性格のバランスが優れた人物!
これまで鑑定した偉人の中で、5つの星を全て持っている五徳は3人しかいなかった。イングランドとアイルランドの女王・メアリー1世、織田信長のもとで大出世し最終的に天下人に上りつめた豊臣秀吉、そして、500もの会社設立に携わった実業家、渋沢栄一だ。1人でなんでもできるスーパーマンのイメージに近いだろうか?
筆者の意見としては、豊臣秀吉と渋沢栄一がバランス感覚に優れていたということは納得できるが、メアリー1世については異論がある。彼女は、プロテスタントの弾圧を推し進め、スペインの皇太子フェリペ2世と結婚したことで結果的に戦争に巻き込まれて大陸の最後の拠点、カレーをも失った。そんなメアリーにはどうしても、感情的に物事を判断する女性というイメージがあるのだ。
しかし、メアリーをそうさせた理由は、父・ヘンリ8世にあるのかもしれない。ヘンリ8世は6回も結婚し、奔放な生活を送った。最初の妻が、メアリーの母、キャサリンだ。しかし、エリザベスの母、アン・ブーリンに心変わりをし、キャサリンと離婚しようとするが、カトリックでは離婚は認められないため、自ら国王至上法を発布し、無理やりキャサリンと離婚した。メアリーも王女の称号を剥奪され、非嫡子となった。本来はバランスがとれた性格だったのかもしれないが、父親に対するコンプレックスが、カトリックへの執着心に繋がり、メアリーを感情的な女性にしたのかもしれないと思うと、胸が痛む。今後は新しい目線でメアリー1世を見ていきたいと思う。
続いて性格に偏りのある人物を見ていく。通変星に、知性、行動力、人脈、自立心、遊び心の全てを持っていることが望ましいが、どれか1つの星に偏りがある場合、その星が強すぎて生活に支障きたす場合もチラホラ…。そんな変わり者達を発表していく。

☆頭がよすぎる人物!
知性が占める割合が最も高かったのが、大老・井伊直弼の参謀・長野主膳(ながのしゅぜん)で、全体の80%を占める。国学者としての活躍に加え、井伊直弼が行った、紀州慶福の将軍世子、和宮降家(かずのみやこうか)、安政の大獄を陰で操ったとされるブレインと言われる。
また、戦国武将、朝倉義景と真田幸村も知性60%とかなり高かった。頭が良すぎて、周りがバカに見えて仕方がなかっただろう。2人には戦国武将よりも学者が断然向いている。

☆人に翻弄される人物!
人脈が占める割合が最も大きかったのが、戦国武将・前田利家とフランスの女王・マリー・アントワネットだ。次いで、戦国武将・細川忠興、作曲家・モーツァルトだった。
人脈の星を持つ人はコミュニケーション能力が高く、人当たりがよい。しかし、多く持ちすぎていると、お付き合いの幅も広がるため、人に騙される等、人に翻弄される。
マリー・アントワネットはその最たる例だろう。面白おかしく国民のゴシップのネタにされていたアントワネットだが、その中でも特に影響を与えたのが「首飾り事件」だ。現在の価値で数十億円する首飾りを、アントワネットがロアン枢機卿(すうききょう)を通して発注したとして制作されていたが、首飾りは忽然と姿を消した。アントワネットは、そもそも首飾りの発注をしておらず、これは自称ラ・モット伯爵夫人が企てた陰謀、詐欺であった。
しかし、ゴシップ好きの国民には絶好のネタ。ウソを並び立てた記事により、人々はロアンやラ・モット伯爵夫人に同情的になり、批判はアントワネットに集まった。このように、全く関与しない事件に巻き込まれるのは、アントワネットがお人よしな性格の所以だろうか。この流れがフランス革命に繋がったともいわれる。
なお、男性にとって人脈の星は、恋愛・結婚の星でもあり、細川忠興は妻・明智ガラシャを愛しすぎた狂気的な夫として知られ、モーツァルトは複数の女性と関係を持った女性好きとして知られる。人脈の星を多く持ちすぎているがゆえに、上手な恋愛・結婚の仕方がわからなかったのだろうか。

☆遊び心あふれる人物!
遊び心を占める割合が高い人物は、同率1位で戦国武将・井伊直政と尊王攘夷の志士・吉田松陰、次いでイギリスの女王・エリザベス1世という結果になった。
吉田松陰の遊び心が高いというのは納得できる。松下村塾の塾長を務めていた松陰だが、松陰は講義の他、読書、作文、飲食、寝起きも塾でしていて、日々の行事や時間割は決まっていなかったという。勉強の合間には、全員で外に出て草取りなどをすることもあったそうで、常に自由気ままにやりたいことをやりたい時にしてきたのだろう。
処刑の直前、伝馬町の獄舎で呼び出しの声を聴くと、懐紙を取り出しこう詠んだ。「此の程に 思ひ定めし 出立は けふきくこそ 嬉しかりける」今自分が志を遂げるために死ねることが嬉しいと、最期の最期まで人生を謳歌したのである。筆者も人生を楽しみたいと常に思っているが、とても見習えない。
一方、エリザベス1世の遊び心が強いというのは驚きだった。肖像画に見えるように、豪華なドレスで着飾って、にこりともせずに強い目線をこちらに向けるイメージで、冷血なイメージさえある。「私はイングランドと結婚した」と言い放ち、一度も結婚することのなかったエリザベス。生き抜くために、本来の性格を自らの意思で封印してしまったのだろうか。メアリーといい、エリザベスといい、イギリスの王室を生き抜くのは大変だったようだ。
以上、「歴史上の人物を四柱推命で鑑定!」の総集編・後編では、通変星の5つの星に着目し、バランスが取れている人物、頭がよすぎる人物、人に翻弄される人物、遊び心あふれる人物を見てきた。納得のできる人物もいれば、解釈が難しい人物もいるだろう。この連載の中で鑑定してきた人物は、全員すでに亡くなっており、直接会ったわけではない。私たちが教科書で習ったり、小説を読んだりしてその人物に抱くイメージはどれほど実際に近いものなのだろうか。一度色眼鏡を外す必要があるのかもしれない。
さて、これまで長年にわたって偉人の四柱推命鑑定をしてきたが、大勢の偉人と対話をさせてもらったように感じている。鑑定中はその人物のことを考えすぎたためか、何度か夢にも出てくることがあった。生年月日も定かでない人物が多い中、四柱推命での鑑定結果というものも、いかほどのものなのだろうかと正直思いつつも、一つのエビデンスでとらえた歴史のロマンとして楽しんでもらえたら幸いだ。これまで応援して下さった皆様、ありがとうございました。

現在の彦根駅(滋賀県)にある井伊直政公像。
■四柱推命とは?
古代中国で生まれた「過去、現在、未来」を予見する運命学のひとつで、陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)をもとに、人が生まれながらにして持っている性格、能力、素質を理解し、その人の努力や経験で変わる後天的な運命までも予測することができる。
具体的には、生まれた日(生まれた年・月・日・時間)をもとに命式表(めいしきひょう)を作成し占っていく。なお、ここでは生まれた時間は鑑定に含めていない。