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琉球の歴史と文化を過去最大規模で展観する沖縄復帰50年記念特別展『琉球』

編集部注目の歴史イベント


東京国立博物館2022年5月3日(火)~6月26日(日)の期間、沖縄復帰50年記念 特別展『琉球』を開催する。令和4年(2022)、沖縄県は復帰50年を迎える。かつて琉球王国として独自の歴史と文化を有した沖縄は、明治以降の近代化や先の戦争という困難を乗り越え、現在もその歴史、文化を未来につなげる努力を続けている。本展は、アジアにおける琉球王国の成立、および独自の文化の形成と継承の意義について、琉球・沖縄ゆかりの文化財と復興の歩みから紐解く総合的な展覧会である。


 

第1章 万国津梁 アジアの架け橋

 

 琉球王国は、今の沖縄県から奄美諸島にかけてかつて存在した国家である。12世紀以降、一体的な文化圏を形成し、15世紀に政治的な統合を遂げて誕生した琉球王国は、日本や朝鮮半島、中国大陸や東南アジアと盛んに交流し、アジア各地を結ぶ中継貿易の拠点として大いに栄えた。王国や港市・那覇の活況を今に伝える記録、交易でもたらされた国際色豊かな品々からは、アジアの架け橋となった琉球王国の繁栄ぶりがうかがえる

 

 第1章では、海洋王国としての繁栄を象徴する文化財などを展示している。

 

重要文化財 銅鐘 旧首里城正殿鐘(万国津梁の鐘)<どうしょう きゅうしゅりじょうせいでんしょう(ばんこくしんりょうのかね)>藤原国善作 第一尚氏時代・天順2年(1458) 海洋王国・琉球の繫栄を象徴する梵鐘。琉球王国は、船の交易によってアジア各地を結ぶ「万国津梁」(万国の架け橋)であると自らうたった銘文が刻まれている。かつて首里城の正殿に懸けられていたと伝わる。 沖縄県立博物館・美術館蔵

 

 

第2章 王権の誇り 外交と文化

 

 琉球国王尚氏は、1470年からおよそ400年にわたり琉球を治めた。歴代の国王は中国の明、清朝の冊封を受けて王権を強化し、島々の統治と外交、貿易を推進した。17世紀初め、薩摩島津氏の侵攻により王国は大きな変化を余儀なくされるが、新たな体制と国際関係を築き上げ、やがて安定した統治のもとで琉球の芸術文化が開花することとなる。

 

 第2章でみることができるのは、首里城を彩った王家の宝物、中国皇帝や日本の将軍、大名に贈られた美しい漆器や染織品、そして国際交流により洗練されていった書画など、王国の高い美意識と技術を物語るものである。

 

国宝 黄色地鳳凰蝙蝠宝尽青海波立波文様紅型綾袷衣裳(琉球国王尚家関係資料)<きいろじほうおうこうもりたからづくしせいがいはたつなみもんようびんがたあやあわせいしょう> 第二尚氏時代・18~19世紀 沖縄・那覇市歴史博物館蔵 展示期間:2022年5月17日(火)~5月29日(日)

 

 

第3章 琉球列島の先史文化

 

 南島とも呼ばれる琉球列島は、日本や中国、朝鮮半島、台湾、東南アジアとも関わりの深い「南の文化」が展開した地である。サンゴ礁の豊かな海によって独自の「貝の文化」が育まれ、人びとは貝を斧などの実用的な道具に加工したり、首飾りや腕輪などの美しい装身具に仕上げて身につけたりした。やがて、海を通して行われた交流や交易から、本州へとつながる「貝の道」が誕生する。貝をはじめとした海産物は、先史時代から欠くことのできない重要な資源だった。本章では先史時代の人びとが日々の暮らしに用いた道具とともに、交流によってもたらされた希少な品々を見ることができる。

 

重要文化財 貝匙<かいさじ> 貝塚時代後期・6~7世紀 鹿児島県奄美市小湊フワガネク遺跡出土 鹿児島・奄美市立奄美博物館蔵  貝をはじめとする海由来の素材を用いた道具や装身具は、当地における文化の特色である。本作品はヤコウガイの最も湾曲の大きな部分を打ち割ってつくられたもので、研磨によって変化する真珠層の色彩が美しい。

 

 

第4章 しまの人びとと祈り

 

 豊かな自然と東アジア諸外国との深いつながりのなかで、琉球の人びとの暮らしは営まれ、独特の歴史文化を築いてきた。なかでも女性が祭祀を司るという特徴は、姉妹が兄弟を霊的に守護する「おなり神信仰」に通ずるともいわれている。人びとの美意識も、こうしたしまの自然と風土に深く関係している。本章ではしまの暮らしと祈りの形を通して、土地に根ざした多様な文化、地域の個性を見つめる。

 

神扇<かみおうぎ> 江戸時代または第二尚氏時代・19世紀 東京国立博物館蔵 展示期間:2022年5月3日(火・祝)~5月29日(日) 祭祀を執り行うノロ(神女)が用いる大形の扇。ノロは首里王府から任命され、王国の支配を宗教的な側面から支えた。

 

 

第5章 未来へ

 

 沖縄はこれまで多くの困難を乗り越え、その歴史と文化を未来につなぐ努力を続けてきた。平成4年(1992)の首里城再建や、「琉球王国文化遺産集積・再興事業」による王国時代の手わざの復元は、人びとの地道な研究の積み重ねと、モノづくりの真実に迫る熱意によって実現した。沖縄が昭和47年(1972)に復帰してからの半世紀は、まさに琉球・沖縄のアイデンティティーを取り戻すための歳月だったといえる。本展の締めくくりとして、首里城の復活を中心に、琉球文化の復興と継承の道のりをたどる。

 

模造復元 美御前御揃(御玉貫)<ぬーめーうすりー(うたまぬち)> 上原俊展(金細工まつ) 高田明(公益財団法人 美術院) 平成30年度 沖縄県立博物館・美術館蔵 展示期間:2022年5月3日(火・祝)~5月29日(日)

 

【開催概要】

<展覧会名>沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」
<開催期間> 2022年5月3日(火)~6月26日(日)
<開館時間>9:30〜17:00 
      ※ただし、入館は閉館の30分前まで
<休館日>月曜日休館
<会場>東京国立博物館 平成館(上野公園)
    〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9

 

<観覧料>

一般  2,100円 / 大学生 1,300円 / 高校生    900円

(注)

本展は事前予約不要です。ご来館時に東京国立博物館正門チケット売り場でチケットをご購入ください。オンラインでの購入も可能です。

(注)

混雑時は入場をお待ちいただく可能性があります。

(注)

中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に学生証、障がい者手帳等をご提示ください。

(注)

本展観覧券で、ご観覧当日に限り総合文化展もご覧いただけます。ただし、総合文化展の混雑状況によっては、入場をお待ちいただく場合があります。

(注)

特別展 「空也上人と六波羅蜜寺」(3月1日(火)~ 5月8日(日))は別途事前予約(日時指定券)および観覧料が必要です。

(注)

会期中、一部作品の展示替えを行います。

(注)

詳細は、展覧会公式サイトチケット情報のページでご確認ください

 

<主 催> 東京国立博物館、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社、文化庁
<共 催> 沖縄県立博物館・美術館
<特別協賛> キヤノン、大和証券グループ、三井不動産、三菱地所、
       明治ホールディングス
<協 賛> JR東日本、清水建設、髙島屋、竹中工務店、三井住友銀行、三菱商事
<協 力> DNP大日本印刷
<輸送協力>日本航空

 

展覧会公式サイト
 https://tsumugu.yomiuri.co.jp/ryukyu2022/

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