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大内義隆軍を打ち破った三島水軍の長・鶴姫の入水伝説とは?

鬼滅の戦史123

大内氏は百済渡来の人々の末裔だったのか?

 

 ちなみに、物語の舞台となった大山祇神社とは、全国に1万社余りあるとされる三島神社や大山祇神社の総本社。大山積神(おおやまつみのかみ/大山祇神)という名の山の神(海の神、戦いの神でもある)を祀る神社である。

 

 武運長久を祈願して、多くの武将たちが武具を奉納してきたため、全国の国宝・国の重要文化財の指定を受けた武具類の約8割がここに収められているとまでいわれている。しかも、国宝が8件、国の重要文化財が76件も納められているというから、まさに宝の山だ。

 

 この大山積神は、天照大神(あまてらすおおみかみ)の兄とみなされることもあるが、『釈日本紀』に引用された『伊予風土記』逸文によれば、百済(くだら)から渡来してきた神様だったのだとか。そういえば、西日本の大勢力を誇った大内義隆も、自らの先祖が渡来人であったと自称していたことを思い出す。

 

 大内氏の場合は、大内菱という花菱紋であることが特徴的で、これは唐花菱とも呼ばれる渡来人・多々良氏の家紋と同じ。つまり、欽明(きんめい)天皇の御代に百済から渡来した多々良氏が先祖だというのだ。

 

 その真偽は定かではないものの、百済から渡来して摂津国三島を経て、大三島に鎮座したといわれる大山積神を祀る大祝氏と、それと対立した大内氏ともども渡来人とゆかりがあるとしている点に興味をそそられる。そこに伝説としての鶴姫の物語が加わり、ロマンがいっそう掻き立てられてしまうのである。

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藤井勝彦ふじい かつひこ

1955年大阪生まれ。歴史紀行作家・写真家。『日本神話の迷宮』『日本神話の謎を歩く』(天夢人)、『邪馬台国』『三国志合戰事典』『図解三国志』『図解ダーティヒロイン』(新紀元社)、『神々が宿る絶景100』(宝島社)、『写真で見る三国志』『世界遺産 富士山を行く!』『世界の国ぐに ビジュアル事典』(メイツ出版)、『中国の世界遺産』(JTBパブリッシング)など、日本および中国の古代史関連等の書籍を多数出版している。

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