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天下人・イエヤスくんが「北朝鮮ミサイル乱射問題」を斬る!─戦国三大天下人が現代に転生⁉─

三大天下人が“今”を斬る【第八回】


ノブナガくん、ヒデヨシくん、イエヤスくん。かつて戦国乱世を制覇し、天下人となった3人の戦国武将が“現代に蘇り、時勢について語ったら”……。はたしてどんなことを語るのだろうか? 今回はイエヤスくんに隣国・北朝鮮との話題である「北朝鮮 ミサイル乱発問題」について語ってもらった。


 

■二度と軽挙妄動はせぬと固く心に誓ったものよ

 

 

お歴 司会の“お歴”です。三大天下人が現世に舞い降りて、現代のニュースを語らい、率直な意見を披露する『三大天下人くんが今を斬る!』。今回は北朝鮮によるミサイル発射についてうかがいます。北朝鮮は2022年に入ってから、50発以上の弾道ミサイルを発射しています。特定できずに「飛翔体」となっているものもありますが、巡航ミサイルも合わせると、今年は異常なペースで発射し続けています。

 

イエヤスくん これまではどのぐらいの頻度で撃っていたんじゃ?

 

お歴 これまで多かった年といわれたのが2016年と2019年でした。それぞれ23発、25発が確認されています。今の金正恩(キム・ジョンウン)体制になってからの10年間で、ミサイル発射は122発以上を数え、核実験は4回も行なわれています。ちなみに、その前の金正日(キム・ジョンイル)体制では、17年間でミサイル発射は16発、核実験は2回の確認がされています(防衛省発表『北朝鮮による核・弾道ミサイル開発について』(令和47月)より)。

 

イエヤスくん 比較すればするほど、明らかに50発以上という今年は異常な数じゃな。たしか、北朝鮮は諸外国から経済制裁を受けていると聞きおよんでいるが……?

 

お歴 日本では輸出入を全面的に禁止しています。さらに、武器および関連物資の禁輸や資産の凍結、ロケット燃料の販売や供給の停止など、国連加盟国がさまざまなメニューで制裁を加えています。

 

イエヤスくん そんななかで、それだけの数を発射できるということは、制裁の効果は限定的と見るべきなのだろうか……。

 

お歴 日本政府の対抗策は、もはや「遺憾砲」しか手がないと嘆く声も多いです。

 

イエヤスくん 自国民を拉致した相手に抗議しかできぬとは、情けないのう。

 

お歴 しかし、攻め込むわけにもいかないですし……。日本の国土にミサイルやその破片が偶発的に落ちてくるなどして、国民に“もしも”のことがあったら大変なことになる、と緊迫感が増してきています。

 

イエヤスくん 本当にそうかのう?

 

お歴 あれ。イエヤス様からご覧になって、今の状況はそれほど危機ではないということでしょうか?

 

イエヤスくん 国民が拉致された。しかし何もできない。国土の上空にミサイルを発射された。しかし何もできない。勝手に危機感を高めておるが、その実、何もしてないように見えてのう。

 

お歴 しかし、日本の立場からすると、北朝鮮の挑発に対して打つ手というのは……。

 

お歴

 

イエヤスくん 挑発などと言うが、そもそも北朝鮮が相手にしておるのは日本ではない。米国じゃ。彼奴らからすれば、日本なんて関心ないじゃろう。

 

お歴 それでは、指をくわえて見ているしかない、と。

 

イエヤスくん 第一、日本は軍隊を持たぬどころか、軍備もしてはならぬと決められておるのじゃろう? 仮にそれが建前で、実は自衛隊が立派な軍隊だったとしてもじゃ。専守防衛を標榜している以上、具体的な事象が起きない限り、動けぬし、動かぬのじゃろう?

 

お歴 それはそうですが、国民に何かがあってからでは遅いと思いませんか?

 

イエヤスくん 何かがあってから動くという国づくりをしてきたのはお主らではないか。拉致されても動かぬのだから、もし仮に危険物が国土に落ちても、犠牲さえ出さなければ何もしてこないと北朝鮮は踏んでいるかもしれんぞ。

 

お歴 そこで効いてくるのが日米同盟、というわけですね。同盟を強固にしておけば、仮に日本が攻撃を受けたら、アメリカが動くぞ、と抑止力になるかもしれません。

 

イエヤスくん お主らは本当に人任せに物事を考えるのう。日本に何かが落ちてきたとて、米国が動くとは限らんじゃないか。北朝鮮が『実験に失敗しただけで、日本を狙ったわけではない』と言い訳をしたらどうじゃ。米国は動けず、日本は『遺憾です』と言って終まいじゃ。

 

イエヤスくん

 

お歴 そ、そうかもしれませんが……。

 

イエヤスくん わしが若かりし頃、武田信玄公に攻められたことがあっての。当時、信玄公の率いる武田軍は“戦国最強の武田軍”と恐れられておった。

 

お歴 元亀31973)年の三方ヶ原の戦いですね。

 

イエヤスくん 家臣は頑なに籠城を進言してきおった。同盟を組んでいたノブナガ様(織田信長)からも武田軍と正面からぶつかってはいけない、と釘を刺されていての。全員で城に閉じこもっておったのよ。

 

お歴 ところが武田軍は、イエヤス様のおられる浜松城を素通りしていってしまったんでしたね。

 

イエヤスくん 二俣城(ふたまたじょう)を攻め落とされ、その勢いのまま、次は徳川の本拠たる浜松城が攻められると覚悟しておった。ところが信玄公は、わしのことなど眼中にないとでも言うておるかのように進路を変えた。そこでわしはカッとなって、家臣が止めるのを聞かずに武田軍の後を追ったのじゃ。

 

お歴 それが実は、武田軍の罠だった。※諸説あり

 

イエヤスくん その通り。つまり、挑発に乗ってしまったんじゃな。向かった先にあった三方ヶ原台地では、武田軍の精鋭たちが待ち構えておった。すっかり囲まれた我が軍勢は、雨のように矢を射られ、次々に家臣たちが死んだ。わし自身も死を覚悟するほど追い詰められた。なかにはわしの身代わりになって命を落とした者もおる。何とかその場から逃げ出すことに成功したわしは、あまりの犠牲の多さを前に、今後二度と軽挙妄動はせぬと固く心に誓ったものよ。

 

お歴 ではやはり、北朝鮮の挑発に対しても慎重姿勢を貫いた方がよい、と。

 

イエヤスくん 三方ヶ原の一戦こそ、本当の〝高まる危機〟であり、〝挑発〟じゃ。ところがお主らは慎重どころか、何もしなさすぎじゃないか

 

お歴 いえいえ、Jアラートを鳴らしたり、ミサイル迎撃システムを整えたり、しっかり準備をしていますよ。

 

イエヤスくん 警報を『うるさい』とか『無駄で意味がない』とか文句を言う者もおれば、『迎撃のために発射した大筒の薬莢が落ちてきて危ない』と反対されて導入を断念した迎撃の仕組みもあると聞くぞ。平和とは、これほどまでに近視眼的なものの見方をもたらすのかと愕然としたわ。

 

お歴 確かにそういう声が一部にはありますが・・・。

 

イエヤスくん とにかくしつこいくらいに交渉を重ねることじゃ。お主らは、国の安全をどこかの誰かが守ってくれることに慣れすぎておる。東亜細亜はもうずっと前から緊迫が高まってきておるのじゃ。それをお主らが島国の中に閉じこもって自分たちの平和だけを考え、危ないことはすべて他国任せにして、世界中で起こる紛争を見て見ぬ振りをして安穏と暮らしてきた。平和に対して何もしてこなかったツケじゃ。

 

お歴 それでは「遺憾砲」を発し続けるしかない、と。

 

イエヤスくん 安全な場所にいて遺憾を表明するだけではなく、交渉を粘り強く続けることじゃ。例えば、拉致問題などは、かの国の若き指導者からすればとっくに過去の問題。日本だって、かつての戦争での罪を突きつけられたとて『すでに解決済み』と突っぱねるではないか。武力を除外するならば、対話から解決策を模索するほかない。話し合いすら進められないようでは、お手上げと見える。わしだけではない。諸外国からも『日本は諸問題について関心がない』と思われても仕方なかろう。

 

お歴 この国は、どこからか間違った方向に進んでしまったのでしょうか……?

 

エヤスくん わしの感覚からすれば、誰かに守られておる平和など崩れるのはあっという間じゃ。繰り返すが、北朝鮮のしでかしていることは日本に対する挑発ではない。あくまで米国、あるいは韓国に対する発信じゃ。たまたま大筒を撃つ方向に日本があったに過ぎん。日本は日本で、米韓と協力しながら引き続き北朝鮮と対話を試みる以外、手立てはない。さらに言えば、万が一のことを政府に委ねるだけでなく、国民ひとりひとりが考えるようにならねば意味がないのを肝に銘じることじゃ。

 

お歴 難しい問題でした。引き続き、考えていこうと思います。ありがとうございました。

 

※この記事はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

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ノブナガくん、ヒデヨシくん、イエヤスくん。それと司会者「お歴」。現世に舞い降り、時勢について語る。

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