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日本の現在と過去を甲冑でつなぐ――金沢21世紀美術館「甲冑の解剖術―意匠とエンジニアリングの美学」

編集部注目の歴史イベント


 金沢21世紀美術館では2022年5月3日(火・祝)より「甲冑の解剖術―意匠とエンジニアリングの美学」を開催。海外でも高く評価される戦国時代の甲冑は、戦の防具であると同時に、武将の力と誉を象徴するものでもあった。大陸から伝えられた甲冑は、武士階級が台頭した平安時代末期頃から大鎧や胴丸によって構成される形に変化し、日本において独自の美学的発展を遂げた。この展覧会では、石川県立歴史博物館をはじめとする全国の所蔵館から選び抜いた珠玉の甲冑を、デジタル時代の美学をけん引する若手クリエイターたちが、デジタル解析映像とともに360度で鑑賞できるよう展示。また、現代の甲冑ともいえるスニーカーの装飾性や機能性に着目、スニーカーを素材とした現代版の甲冑や3Dプリントによるスニーカーを対比して展示することで、歴史と現代美術の対話を実現。


 

歴史のまち・金沢にて、デジタル時代をけん引する若手クリエイターが文化資産「甲冑」の魅力を現代的な視点で発信

 

甲冑の解剖術

甲冑の解剖術

Atmospheric sketch for Kacchu(type 1) © Nile Koetting

Atmospheric sketch for Kacchu(type 1) © Nile Koetting

 加賀藩前田家の歴史をもつ金沢において、甲冑という文化資産をキュレーションの技でアップデートし、現代につなげることを目的としている。甲冑の内部構造をスキャニング解析し、「内的な美」をデジタル映像で見せるライゾマティクスや、甲冑の細部にわたる精巧な美と技を360度で鑑賞できる空間をデザインするナイル・ケティングら、ポストインターネット世代を代表する若手クリエイターたちとの協働により、文化資産「甲冑」の魅力を余すところなく現代にアップデートして発信する。

 

現代の甲冑・スニーカーとの競演による、歴史と現代美術の対話の実現

 

(手前)三田真一 《連続の断片(スニーカーのパーツにて製作した甲冑シリーズ)》2008 (奥)ライゾマティクス《Displayed Kacchu》2022

(手前)三田真一 《連続の断片(スニーカーのパーツにて製作した甲冑シリーズ)》2008 / (奥)ライゾマティクス《Displayed Kacchu》2022

 

 常にデザインや機能が更新されていく「現代の甲冑」ともいえるスニーカーに着目し、 歴史的な甲冑との比較展示を通じて、現代に通じる甲冑の美学をひも解いていく。スタイリスト 三田真一によるスニーカーを素材に作られた近未来的な甲冑シリーズや、初コラボレーション となるHATRA × MAGARIMONOが甲冑の文様や意匠に感化されて本展のためにデザインし た3Dプリント製スニーカーなど、現代の甲冑と歴史的な甲冑との競演により、時空を超えた 歴史と現代美術の対話を実現。

 

石川県立歴史博物館をはじめとする歴史博物館や美術館との初の大型コラボレーション

 

(手前)紅糸釘抜紋柄威二枚胴具足(桃山時代)/大阪城天守閣蔵

(手前)紅糸釘抜紋柄威二枚胴具足(桃山時代)/大阪城天守閣蔵

 石川県立歴史博物館や井伊美術館、大阪城天守閣などの全国の歴史博物館や美術館との初の大型コラボレーションにより、安土桃山から江戸にかけてつくられた、意匠やスタイルの実に多様な珠玉の甲冑を展示。現代アーティストが特別にデザインした什器や照明、音響の総体が五感を刺激する展示空間にて、これらえりすぐりの甲冑の造形美を、細部にわたり360度で鑑賞することができる。

 

【開催概要】

展覧会「甲冑の解剖術─意匠とエンジニアリングの美学」

会期:2022年5月3日(火・祝)〜7月10日(日)

会場:金沢21世紀美術館 展示室6・14

住所:石川県金沢市広坂1-2-1

開館時間:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)

休館日:月曜日

観覧料:一般 750円(600円)、大学生 520円(410円)、小中高生 260円(200円)、65歳以上 600円

※( )内は20名以上の団体料金およびウェブチケット料金

日付指定ウェブチケットは美術館ウェブサイトにて販売中

※内容は変更となる場合あり(最新情報については美術館に問い合わせのこと)

 

【問い合わせ先】

金沢21世紀美術館 TEL:076-220-2800 (代表)

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歴史人編集部れきしじんへんしゅうぶ

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