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皇室ならではの煌びやかさを放つ特別展『和宮ゆかりの雛かざり』

編集部注目の歴史イベント


 国立歴史民俗博物館では2022年2月22日(火)~ 4月3日(日)の期間、総合展示第3展示室特集展示室において、特集展示「和宮ゆかりの雛かざりを開催する。幕末の動乱期、波乱に満ちた生涯を送ったことで知られる和宮は、仁孝天皇(にんこうてんのう)の第8皇女として生まれ、「公武合体」の証しとして文久元年(1861)14代将軍徳川家茂(とくがわいえもち)に降嫁した。本展では、和宮所用として伝来した雛人形・雛道具類が約100点展示される。和宮が愛した人形や雛道具を通じて、江戸時代の女性の暮らしや、職人の優れた手わざの一端を知ることができるだろう。


 

『和宮ゆかりの雛かざり』

 

有職雛(直衣雛) 国立歴史民俗博物館蔵

 上の雛人形は、和宮ゆかりの雛人形は有職雛(ゆうそくびな)である。有職雛とは、有職(朝廷・公卿<くぎょう>の儀礼に関する知識)にもとづき、実際の公卿装束とかわらぬ装束を着せかけた雛人形のことをいい、18紀後半につくられ始めた。 本品の場合、男雛が直衣(のうし)を着けていることから、とくに直衣雛(のうしびな)とも呼ぶ。本資料は、徳川宗家に伝来したもの。

 

 特集展示「和宮ゆかりの雛かざり」で展示される雛人形・雛道具類(国立歴史民俗博物館蔵)は、和宮所用として伝来したもので、有職雛(ゆうそくびな)と呼ばれる種類の雛人形と、江戸七澤屋(ななさわや)製の各種雛道具、御所人形および三ツ折(みつおれ)人形などが含まれる。

 

 上巳(じょうし)(三月三日節)にとりおこなわれる雛まつりの行事は、江戸時代に入ってから広まりをみせ、多くの女性たちの支持を集めた。儀式が定着するにつれ、その装飾は華麗なものとなり、時代時代の流行を取り入れながら、寛永雛、元禄雛、享保雛、次郎左衛門雛、有職雛、古今雛と俗称される多彩な雛人形や、精巧に作られたミニチュアの道具類が生みだされていった。『和宮様御雛満留』(宮内庁書陵部蔵)や『静寛院宮御側日記』(同)、『和宮様おひゐな御道具』(内閣文庫蔵)などの記録によれば、和宮は、数多くの雛人形を手もとにおき、また上巳にはあちこちと雛人形を贈りあうなど、雛まつりを楽しんだと伝えられている。

 

 国立歴史民俗博物館所蔵の雛人形・雛道具はその一部をなしていたと考えられ、江戸時代の文化や工芸技術を伝える資料として貴重である。

 

有職雛(直衣雛) 国立歴史民俗博物館蔵

 

 上の雛人形は、2020年度に寄贈を受けた新収蔵資料。長州藩士の家に和宮より拝領した品として伝来した。徳川宗家に伝来した和宮ゆかりの有職雛と非常によく似ており、ほぼ同時期に同一工房で制作されたと考えられる。

 

 また、今年は長州藩士の子孫に受け継がれ、和宮から下賜されたと伝わる有職雛(直衣雛)が初公開される。

 

 

【開催概要】

主 催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
開催期間  2022年2月22日(火)~4月3日(日)
     月曜日休館 (休日の場合は開館し、翌日休館)
開館時間 2月まで 9:30~16:30(入館は16:00まで)
     3月から 9:30~17:00(入館は16:30まで)
会 場
  国立歴史民俗博物館 総合展示第3展示室特集展示室
  〒285-8502 千葉県佐倉市城内町117
価 格
  一般600円、大学生250円、高校生以下無料 ※総合展示もあわせてご覧になれます。
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介助者と共に入館無料です。

※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
※博物館の半券の提示で、当日に限りくらしの植物苑にご入場できます。また、植物苑の半券の提示で、当日に限り博物館の入館料が割引になります。
公式サイト
 https://www.rekihaku.ac.jp/outline/press/p220222/index.html

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