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2025年は川本喜八郎 生誕100年/没後15年。三国志や平家物語などの人形が観られる「飯田市川本喜八郎人形美術館」へ行こう!

ここからはじめる! 三国志入門 第123回

『人形劇 三国志』で使用された川本喜八郎製作の三国志人形。(※展示内容は定期的に変わります)飯田市川本喜八郎人形美術館所蔵/©川本プロダクション

■なぜ、飯田に川本喜八郎の美術館があるのか

 

 NHK『人形劇 三国志』『平家物語』の人形製作で知られ、日本を代表する人形アニメーション作家・監督として活躍した川本喜八郎(1925~2010年)。その川本が残した人形の数々を展示しているのが、長野県飯田市にある「飯田市川本喜八郎人形美術館」だ。

 

 今年2025年は、生誕100年・没後15年にあたり、同館では「川本喜八郎に影響を与えた人形アニメーション作家」展、「特別展『項羽と劉邦』展」など、さまざまな企画による催しを実施。通常、館内のギャラリーでは三国志を中心とした常設展がメインで、現在は第31回常設展『人形劇三国志 英雄列伝』が行われている(2026年1月27日まで)。

 

 飯田市は長野県の南、いわゆる南信にあり、かつて飯田藩5万石の城下町として栄えたころの面影をのこす緑豊かなまち。現在ではほとんど見られなくなった伝統芸能が大切にされている。とくに江戸時代から続く人形芝居が盛んで、毎年8月には日本最大の人形劇の祭典「いいだ人形劇フェスタ」が開催される。

 

飯田市川本喜八郎人形美術館のスタイリッシュな外観

 街の中心部を通る「りんご並木」のすぐ横に飯田市川本喜八郎人形美術館がある。川本が存命中の2007年にオープンして以来、「人形劇のまち飯田」の拠点のひとつとして地元の人に親しまれている。

 

 東京生まれの川本は、飯田と特別な縁があったわけではない。1990年の「いいだ人形劇フェスタ」(当時は「人形劇カーニバル飯田」)出演のために初めて飯田を訪れ、当時の飯田市長や飯田の人々と交流を深めた。そして人形を愛する地元の人々の思いに感銘を受け、人形を寄贈したことが開館のきっかけになった。

 

 3階のギャラリー入口には、初代館長でもあった川本の写真パネルと本人のメッセージが掲示されている。「人形にかわって心から感謝いたします」という言葉で来館者を迎える。

ギャラリー入口にかかる初代館長・川本喜八郎のポートレート

 ギャラリー内部は人形たちが、いくつもの展示ケースのなかにズラリ。同美術館には川本が手がけ、NHKの『人形劇 三国志』で使用された実物の人形が百数十体あるほか、最晩年に完成させた『平家物語』の人形が数十体と人形アニメーションの人形が同じく数十体。計200体を保管。展示替えが年に1回あり、毎回さまざまなテーマで常時100点ほどの人形が展示されている。

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上永哲矢うえなが てつや

歴史著述家・紀行作家。神奈川県出身。日本の歴史および「三国志」をはじめとする中国史の記事を多数手がけ、日本全国や中国各地や台湾の現地取材も精力的に行なう。著書に『三国志 その終わりと始まり』(三栄)、『戦国武将を癒やした温泉』(天夢人/山と渓谷社)、共著に『密教の聖地 高野山 その聖地に眠る偉人たち』(三栄)など。

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