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幕末だけじゃない!古代から繋がる横須賀の魅力を巡る旅へ【後編】

『歴史エキスパート×食のエキスパートが紐解く、横須賀の〝新〟魅力発掘ツアー』レポート


幕末だけじゃない!古代から繋がる横須賀の魅力を巡る旅へ【前編】に続き、横須賀の〝新〟魅力発掘ツアーをレポート。


 

■人気料理研究家 きじまりゅうた氏考案レシピを使った『横須賀開国メシ』御膳を特別実食!

 

 さて時刻はちょうどお昼過ぎ、我々が向かったのは、自然の地形を生かした緑豊かな公園「くりはま花の国」に隣接する「和風レストランうおくに 花の国店」。

 

和風レストランうおくに くりはま花の国店

 

 ランチに用意されているのは、このツアーのもうひとつの目玉である『横須賀開国メシ』御膳だ。

 

 横須賀開国メシとは、横須賀の歴史と現在の横須賀名産品を一気に楽しむことができる、人気料理研究家のきじまりゅうた氏が考案したレシピ。嘉永6年、ペリーが浦賀にやってきた際におもてなし料理として提供された饗応料理を、栄養満点で彩り美しく現代風に大胆アレンジしている。本ツアー参加者は一般公開前の特別実食をすることができた。

 

 内容はきじま氏が考案した、横須賀に来たらぜひ食べてほしい名物食材のひとつ金アジのすり身に豆腐を加えたヘルシー衣のアジ麩ライ、三浦の温暖な気候のもと育った春キャベツをふんだんに使ったシャキシャキカラフルコールスロー、地元産の海苔と卵を使ったスープ。加えて、新鮮なエビ、中トロ、かんぱち、ホタテが乗った刺身の盛り合わせが加わった贅沢御膳だ。きじま氏考案のレシピ3品は『横須賀人』17ページに掲載されているので是非チェックしてほしい。

 

 メインディッシュであるアジ麩ライは、かじった瞬間にサクサクとした食感とともに濃縮されたアジのうま味がジュワっと広がる絶品。油の温度や配合によってわずかに味が変わるため、何度も試行錯誤を繰り返して完成させたという。参加者はみな満足そうに舌鼓を打っていた。

 

きじま氏考案レシピを使った『横須賀開国メシ』御膳

 

和風レストランうおくに くりはま花の国店【住所】〒239-0832 神奈川県横須賀市神明町1

 

 

■国の重要文化財を目の前で堪能『満昌寺』

 

満昌寺

 

 昼食をはさみ、バスはいよいよ三浦氏ゆかりの寺・満昌寺へ。ドラマ放映期間には、2022年NHK大河ドラマで三浦義村を演じた山本耕史や北条泰時の妻・初を演じた福地桃子も訪れたという、ファン必見のスポット。

 

 歴史は、建久5年(1194)、三浦義明を開基として源頼朝が創建した古刹である。

 

「横須賀一帯を支配していた三浦一族はそもそも平氏ですが、三浦義明は源頼朝に与しました。そのことで当初平氏側だった畠山重忠に居城の衣笠城を落とされ討ち取られたのです。いわゆる源平合戦というと源氏と平氏の戦いに思われていますが、実はそうではなく、権力を独占していた平清盛の伊勢平氏に不満を抱いた北条氏や三浦氏などの平氏が頼朝に与して戦ったのです。」(小和田氏)

 

 満昌寺には開基に由来する宝物が多く残っており、普段は非公開にしている文化財を今回は特別に見せて頂いた。

 

 ひとつは満昌寺の中興開山で天岸慧広坐像。

 

 もうひとつはご本尊である華厳釈迦像だ。

 

 ほかにも三浦義明の念持仏である薬師如来像も所蔵しているが、残念ながらこちらは33年に1度の御開帳。前回は2017年に御開帳を行ったため、次に見られるのは今から27年後の2050年とのことだ。

 

 さらに本堂の裏には三浦義明公の廟所(墓)と宝物殿があるのだが、この宝物殿に安置されているのが、国の重要文化財で鎌倉時代後期に造られたとされている三浦義明座像。

 

 座像は非常に威厳のあるお顔をしており一見近寄りがたいが、一族を安房に逃した後に衣笠城に1人籠り討ち取られたことを思うと感慨深く、遠い目をせずにはいられない。

 

 そのほか宝物殿には義明着用の鎖帷子(伝)や三浦氏の系図、衣笠城址古図など、貴重な品々を目にすることができた。

 

自由時間には思い思いに満昌寺を散策。

 

 なお今年は12年に1度行われる「三浦三十八地蔵尊卯年御開帳」の年。

 

 三十八の寺院で地蔵尊を一斉に御開帳するのだが、自由に参拝でき、限定の御朱印や朱印帳も用意されるので機会があれば周ってみるのもいいだろう。(令和5年 三十八地蔵尊御開帳 開催期間:4/24~5/24

 

満昌寺【住所】〒238-0024 神奈川県横須賀市大矢部1丁目5-10

 

 

■“横須賀人もまだ知らない”穴場スポット『姓名塚』

 

横須賀市衣笠町にある、姓名塚。

 

 さて、満昌寺からバスへ戻る道すがら、ツアー参加者の1人が古めかしい石碑を発見した。それがこちらの「姓名塚」。

 

「ちょうどこの辺りは衣笠城の端の方ですね。この姓名塚は三浦一族の亡くなった方の名前を記して供養、あるいは遺品を埋めたとされる塚で、おそらくほかの場所にあったものが碑だけ移設されたのだと思います。三浦氏は頼朝死後、北条氏が幕府の実権握る中でも生き残りましたが、宝治元年(1247)の宝治合戦で義明、義澄、義村から続いた泰村-光村の嫡流が途絶えました。しかし庶流は佐原氏から正木氏へと続き、正木氏系図の養珠院は徳川家康の側室となり、紀州徳川家の祖・徳川頼宣と水戸徳川家の祖・徳川頼房を産みました。彼女は御三家の家祖のうち、ふたりもの偉人を生んだ賢女として歴史に名を刻みました。三浦氏の歴史は、ある意味ここから始まったのではないでしょうか」(小和田氏)

 

 歴史フリーマガジン『横須賀人』にも掲載されていない、知っていれば“真の歴史好きを公言できるスポットだ。

 

姓名塚【住所】〒238-0025 神奈川県横須賀市衣笠町3-3

 

 

■横須賀の味覚をお持ち帰りできる『よこすかポートマーケット』

 

いちご よこすかポートマーケット

 

 ツアーの最後に訪れたのは、昨年10月にオープンしたよこすかポートマーケット。ここは「三浦半島フードエクスペリエンス」をテーマに地元の飲食店のほか、新鮮な農海産物・野菜を扱うお店、横須賀みやげなどがあり、まるでフランスのマルシェを思わせる活気に満ちた観光拠点だ。

 

 参加者全員に1000円分のクーポン券が配布され、思い思いに買い物を楽しんでいた。

 

歴史フリーマガジン『横須賀人』も手に入れることができる。

 

参加者に今回のツアーの感想を聞くと、

 

「ひとりで巡ると上っ面だけ見てしまうため、こうして解説付きで見られるのは良かった」
「市内に住んでいながら知らないことも多く、それを知る機会になったのは良かった」

 

という声が多かった。

 

よこすかポートマーケット【住所】〒238-0005 神奈川県横須賀市新港町 6【営業時間】午前10時〜午後8時

 

 今回訪れた走水神社、西叶神社、東叶神社、満昌寺では御朱印もいただけるので、参加の際には御朱印帳を持っていくことをお勧めしたい。

 

 そして、『横須賀人』は横須賀市役所や横須賀市観光案内所以外に、今回巡ったスポット各所でも無料配布中。こちらも是非手に入れて、もっとディープに横須賀の歴史的魅力を堪能して欲しい。

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