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東北からの脅威を抑えた「小峰城」の歩みと復元

“みちのくの玄関口”白河の抑えとして江戸幕府からも重視された石垣造りの『名城』


奥州関門の名城と評される小峰城は、国指定史跡に指定され『日本100名城』にも選出されている。ここでは小峰城の歴史とともに復元に向けた活動について紹介する。(監修・文/小和田泰経)


 

■壮大な石垣をはじめ、見る者を魅了する白河の象徴的な城

 

小峰城の本丸全景
小峰ヶ岡と呼ばれる標高370mほどの独立丘陵に立つ梯郭式の平山城。周辺の低地との高低差は25〜30mほど。

 

 現在の白河市には、古代に朝廷が設けた関所「白河の関」があった。以来、白河の地は東北地方の玄関口となり、今夏の甲子園で優勝した仙台育英高校が凱旋した際には、優勝旗が「白河の関」を越えたと話題になったのは記憶に新しい。

 

 小峰城は、南北朝時代に小峰氏を創設した結城親朝(ゆうきちかとも)がこの丘陵に城を築いたのがはじまりとされる。そののち、永正年間(1504〜1520)以降は白河結城氏が居城としたと推定されている。

 

 天正18年(1590)の豊臣秀吉(とよとみひでよし)による奥羽仕置(おううしおき)で結城氏は改易となり、その後は会津若松城(あいづわかまつじょう)を本城とした蒲生(がもう)・上杉(うえすぎ)氏の支城となる。関ヶ原の戦い後に上杉・蒲生は去り、寛永4年(1627)、10万石余で入封した丹羽長重(にわながしげ)によって小峰城は近世城郭へと大きく改修された。

 

白河城下絵図
築城から約175年後、白河藩主が松平定信であったころの絵図である。当時の城郭の範囲は約54万平方メートルともいわれる。(白河市歴史民俗資料館蔵)

 

 丹羽長重は、織田信長(おだのぶなが)の宿老・丹羽長秀(にわながひで)の子で〝築城名人〟との呼び声も高い。東北地方の玄関口を守る小峰城を名人・丹羽長重に改修させたのだろう。現在も残る壮大な石垣は、このときに造られたものである。

 

 丹羽長重が転封となったあと、小峰城には榊原・本多・松平(奥平)・松平(結城)・松平(久松)・阿部氏が入って、白河藩主となった。いずれも徳川ゆかりであったり、親藩か譜代の大名であり、東北の外様大名に目配せできる小峰城は、幕府にとって重要な城だったのである。中でも、白河藩での善政が評判となった松平(久松) 定信(まつだいら[ひさまつ]さだのぶ)は、幕府の老中となり寛政の改革を断行した名君として知られる。

 

松平定信
白河藩史上最高の名君。福祉政策などで評価を高め、かの渋沢栄一が敬愛した施政者でもある。(白河市歴史民俗資料館蔵)

 

 最後の白河藩主となった阿部正静(まさきよ)は慶応2年(1866)に棚倉(たなぐら)へ移封となり、慶応4年の戊辰戦争時、小峰城に城主はいなかった。そのため、会津藩が城を占拠したが、新政
府軍に奪還されてしまう。この白河口(しらかわぐち)の戦いで、小峰城は、天守相当の三重櫓のほか、前御門・桜之門などが焼失。しかし、幸いにも江戸時代に描かれた絵図「白河城御櫓絵図」(しらかわじょうおやぐらえず)が残されていたことから、平成に入り、発掘調査の成果と合わせ、三重櫓と本丸の正門であった前御門が伝統的な工法で木造復元されている。

 

三重櫓
11の櫓があったとされるが、明治には全て撤去。三重櫓は1991年に城のシンボル として復元された。

 

 小峰城の復元は、その後の「平成の木造復元ブーム」のさきがけとなったという意味でも、重要である。東日本大震災では、石垣が崩落するなどの被害があったものの、現在では復旧が終わり、新たに清水門を復元する計画も進められている。

 

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白河の関がある白河市 日本の100名城

『小峰城復元プロジェクト』

小峰城主証


小峰城 清水門CG再現

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【URL】 https://www.furusato-tax.jp/gcf/1993

小峰城復元プロジェクト

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小和田泰経おわだ やすつね

大河ドラマ『麒麟がくる』では資料提供を担当。主な著書・監修書に『鬼を切る日本の名刀』(エイムック)、『タテ割り日本史〈5〉戦争の日本史』(講談社)、『図解日本の城・城合戦』(西東社)、『天空の城を行く』(平凡社新書)など多数ある。

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