×
日本史
世界史
連載
ニュース
エンタメ
誌面連動企画

天下人・ヒデヨシくんが「キムタク信長の岐阜パレード」を語る─戦国三大天下人が現代に転生⁉─

三大天下人が“今”を斬る【第九回】


ノブナガくん、ヒデヨシくん、イエヤスくん。かつて戦国乱世を制覇し、天下人となった3人の戦国武将が“現代に蘇り、時勢について語ったら”……。はたしてどんなことを語るのだろうか? 今回はヒデヨシくんに先日、大盛況となった『ぎふ信長まつり』における信長扮する木村拓哉を中心としたパレードについて語ってもらった。


 

■豊臣秀吉も参加したかった⁉ 憧れた!?  豪華な“ぱれーど”

 

 

ヒデヨシくん この前、岐阜でノブナガ様の馬揃えがあったぞなもし。

 

お歴 馬揃え? えっ、そんなのあったけ。

 

ヒデヨシくん “きむたく”とかいう者が……。

 

お歴 あっ、織田信長に扮したキムタクがパレードしたやつですね。

 

ヒデヨシくん ノブナガ様のことを”信長”と呼び捨てにするな。無礼なやつめ。

 

お歴 それはたいへん失礼いたしました。

 

ヒデヨシくん わしも、参加したかったぞ。

 

お歴 えっ、ヒデヨシさんがですか。

 

ヒデヨシくん そうじゃ。実はなあ、天正9年(1581)に京都で、ノブナガ様が馬揃えをやったのじゃ。今でいうところの”ぱれーど”だがや。丹羽長秀殿や柴田勝家殿をはじめ、ノブナガ様の主な家臣たちも参集して盛大に行われたのだがや。時の天皇だった正親町天皇も見学に来たというほどだったそうじゃ。

 

お歴 “そうじゃ”ということは、ヒデヨシさんは、参加していないんですか? 天正9年といえば、信長様が本能寺で明智光秀に討たれる前の年ですよね。そのころだと秀吉さんは家臣団の中でも相当上の方でしたよね。

 

お歴

 

ヒデヨシくん そうじゃ、だからわしは、毛利の勢力下にある中国攻め真っ最中。ノブナガ様から大事な仕事を任されており、それどころではなかったのだ。

 

お歴 そうでしたか。お気の毒に。

 

ヒデヨシくん この馬揃えが行われたのが、228日。本来ならば、わしは安土に戻り、当然ノブナガ様とともに、馬揃えに参加していたはずだった。しかし、のう、前の年に落としたはずの鳥取城(現・鳥取市)の中で毛利方復活の動きがあると聞いて、前線基地であった姫路城(現・兵庫県姫路市)に籠もり、次の合戦に向けての準備を整えなければならない事態になってしまったのだがや。それからしばらくして鳥取城最後の城主・吉川経家(きっかわつねいえ)が城に入った。負けるとわかっている戦の大将になるなんて、そうそうできることはないぞ。しかも、最期は自分の首と引き換えに、城兵たちの命を救ったのだからなあ。敵ながらあっぱれじゃ。そういえば、その吉川経家の子孫が落語家の5代目・三遊亭円楽(さんゆうていえんらく)らしいぞ。

 

お歴 この前亡くなった腹黒い人()ですね。

 

ヒデヨシくん いや、その前の顔の長い方じゃ。話がそれてしまっただがや。わしが、京都で、ぱれーどに参加したなんて情報が毛利方の耳に入ったら、その間隙を縫って毛利のやつ、反撃に出るかも知れぬ。それなのに、柴田勝家殿は、越前地方という大変なところを任されていたというのに、参加したのじゃ。くやしいぞなもし。

 

お歴 まあまあ。

 

ヒデヨシくん 馬揃えといえば、みんな自慢のりっぱな馬に乗り、美しく着飾っておったそうじゃ。ほら、このとき山内一豊(やまうちかずとよ)が妻・まつのへそくりでみごとな馬を買って、ノブナガ様に認められたという話なあ。あれはこの時ではなかったようだが、信長は、馬が大好きだったから、いい馬を見極める目をもっていらっしゃったからのう。それは、それは、見事な馬が並んだそうだもし。

 

お歴 そうなんですね。それじゃ、本当に先日のパレードのようだったのですね。

 

ヒデヨシくん そうじゃ。ただし、参加人数は同じくらいでも、当時の馬揃えは騎馬武将がもっと多かったからなあ。

 

お歴 本当に見事だったでしょうね。

 

ヒデヨシくん

 

ヒデヨシくん そうじゃろ、そうじゃろ。“ぱれーど”に参加できなくてもせめて見学だけでもしたかったのじゃ。だから、先日の“ぱれーど”を見学したいという人が96万人以上おり、抽選の倍率が64倍だったというのもわしには納得できるでのう。次の時にはわしも参加するぞ。そのための馬を探しに行くかのう。

 

※この記事はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

KEYWORDS:

過去記事

三大天下人くん(さんだいてんかびとくん)
三大天下人くんさんだいてんかびとくん

ノブナガくん、ヒデヨシくん、イエヤスくん。それと司会者「お歴」。現世に舞い降り、時勢について語る。

最新号案内

歴史人2023年6月号

鬼と呪術の日本史

古くは神話の時代から江戸時代まで、日本の歴史には鬼が幾度となく現れてきた――跳梁跋扈する鬼と、鬼狩りの歴史がこの一冊でまるわかり!日本の歴史文献に残る「鬼」から、その姿や畏怖の対象に迫る!様々な神話や伝承に描かれた鬼の歴史を紐解きます。また、第2特集では「呪術」の歴史についても特集します。科学の発達していない古代において、呪術は生活や政治と密接な関係があり、誰がどのように行っていたのか、徹底解説します。そして、第3特集では、日本美術史に一族の名を刻み続けた狩野家の系譜と作品に迫ります!