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【ランキング】幕末に活躍した人物で、「この人がいなかったら歴史が変わっていたかも…」と思う人は誰?


260年あまり続いた江戸幕府が終わろうとしていた幕末。今回のアンケートは、「幕末に活躍した人物で、この人がいなかったら日本の歴史が変わっていたかもしれないと思う人物」について集計。455票の投票から、第5位から第1位までを発表します。 <総票:455票  男性:女性=8:2>


江戸幕府第15代将軍・徳川慶喜。国立国会図書館「近代日本人の肖像」より。

 

第5位 「西郷隆盛」 投票数:60票 

 

 第5位は60票を獲得した西郷隆盛(さいごう・たかもり)。薩摩藩の下級武士の出身ですが、明治維新を導いた英雄として絶大な人気を誇り、大久保利通(おおくぼ・としみち)、木戸孝充(きど・たかよし)とともに、維新の三傑のひとりと称されています。

 

 西郷は役人として働きながら提出した意見書が認められ、藩主・島津斉彬(しまづ・なりあきら)に抜擢され、斉彬の側近として活躍。しかし、斉彬の急死などもあって失脚し、鹿児島湾に投身自殺を試みました。一命を取り留めたものの、奄美大島や徳之島、沖永良部島(おきのえらぶじま)に流され過ごすことになります。やがて再び召還され、幼馴染みの大久保利通とともに薩摩藩のリーダーとして藩政の回復に努めます。

 

 徳川幕府を追い込むことになった「薩長同盟」、旧幕府軍に勝利した「戊辰戦争」など、その活躍は目覚ましいものでした。多くの人の記憶に残っているのは、勝海舟(かつ・かいしゅう)との会談により実現した江戸城無血開城でしょう。

 

 明治政府では廃藩置県を始め政府の近代化に尽力。しかし結局、明治6年の政変で政府を去ることになります。鹿児島で子弟の教育に当たり、最後は西南戦争を決起しましたが、故郷の城山で切腹。49歳の生涯を終えました。

 

 西郷に票を投じた人の多くは「江戸城無血開城。世界史上でも稀な、一滴の血も流さないこの偉業は、西郷という懐の大きな人物がいてこそだと思います」と褒め称えるコメントを寄せています。また「敵対していた薩摩と長州が結んだ薩長同盟。これによって倒幕が大きく進んだ。まさに、明治維新の立役者です」「自分の信念を通し、そして最後は潔く散っていった……その生き方に英雄らしさを感じます」などの声もありました。

 

 

第4位 「吉田松陰」  投票数:62

 

 5位の西郷隆盛にわずか2票差、62票を得て4位となったのは「吉田松陰(よしだ・しょういん)」。長州藩士で思想家・教育者として名高い人物です。

 

 欧米列強のことを知り、日本の未来に危機感を抱いた松陰は、日本全国を遊歴。嘉永6年(1853)の黒船来航に衝撃を受け、西洋の文明を知ろうとアメリカ密航を企てますが未遂に終わります。野山獄(いわくらごく)に投獄された後、実家の杉家で若手藩士に講義する松下村塾を開きます。

 

 久坂玄瑞(くさか・げんずい)、伊藤博文(いとう・ひろぶみ)、高杉晋作(たかすぎ・しんさく)、山縣有朋(やまがた・ありとも)といった新時代の申し子たちを育てました。その後、幕臣の面前で幕府批判を展開し、死罪。わずか29歳という若さで亡くなりました。

 

 明治維新の原動力となった志士を育てた教育者・松陰を評価する人は多く、票を投じた人からは「松下村塾あっての長州藩。彼らの活躍が明治維新を作ったと思うと、松陰の功績は大きいと思います」「倒幕という野望を幕末の志士たちが抱けたのは、松陰の思想を学び共感したからこそ」といった意見が寄せられています。

 

 

第3位 「勝 海舟  投票数:80票 

 

  第3位には、4位の吉田松陰を20票近く上回り「勝 海舟」が選ばれました。第5位となった西郷隆盛とともに、江戸城無血開城という江戸の運命を決めた一世一代の交渉を成功に導きました。

 

 幕府鑑・咸臨丸(かんりんまる)の艦長として渡米。軍事や海防にも精通しており、神戸に設けた海軍操練所で近代海軍の強化を図ります。門下生には坂本龍馬がおり、龍馬は勝の博識ぶりに驚き、家族への手紙にも「日本第一の人物」と記したそうです。

 

 「この人しかいない! その先見性と決断力。現代の日本にいたら……と思います」「坂本龍馬も、勝海舟という人物が存在したからこそ、と思うと余計に偉大さを感じます」などと、勝海舟こそ幕末の偉人No.1と考える人もいるようです。また、やはり無血開城を成し遂げたインパクトは大きいようです。「西郷と勝、このふたりがいなかったら、今の日本は変わっていた」という意見が数多くありました。

 

 

第2位 「坂本龍馬 投票数:96

 

 第2位は、96票を獲得した「坂本龍馬(さかもと・りょうま)」。「幕末の歴史を左右した人物は?」と聞かれて、幕末という動乱期の風雲児・龍馬を思い浮かべる人は多いことでしょう。土佐浪士で、倒幕の立役者のひとり。3位となった勝海舟の操練所の塾頭としても研鑽を積みました。

 

 薩長同盟にも尽力し、土佐藩の私設軍隊で貿易会社でもある海援隊も結成。大政奉還を推進し、また新国家体制の基本方針「船中八策」を提唱するなど奔走しました。

 

 大政奉還が実現した1ヶ月後に、京都の近江屋事件で土佐の盟友・中岡慎太郎(なかおか・しんたろう)とともに襲撃され暗殺。33歳の生涯を終えました。

 

 龍馬の大胆な発想力と行動力に魅せられている龍馬ファンから、「日本を近代化していくために、立ち上がった人物」「新しいものを柔軟に取り入れた、型にはまらない自由な人。生き方がカッコいい!」と熱い1票が投じられたようです。

 

 

第1位 「徳川慶喜」 投票数:122

 

 坂本龍馬を抑えて第1位に選ばれたのは、「徳川慶喜(とくがわ・よしのぶ)」でした。ご存じのとおり、江戸幕府・最後の将軍です。

 

 御三家の水戸藩主・徳川斉昭(とくがわ・なりあき)の七男でしたが、一橋家の養子に入り、やがて29歳で15代将軍となりました。攘夷を旗印に京都で政治力を発揮する一方で、西洋の文明や軍事技術にも熱心だったようです。

 

 大政奉還によって幕府を消滅させる離れ業を演じ、新政府樹立への道筋を引いたのは慶喜の決断あってこそでしょう。大河ドラマや映画などで描かれたこともあってか、慶喜が旧幕臣たちや江戸の民を守ろうと、無益な争いを避けるために江戸城の開城を決意したことを評価する人も少なくないようです。

 

 「この人でなければ、大政奉還は出来なかったと思う」「大政奉還。今、考えても凄い決断です。260年あまりも続いた幕府を終わりにする……決意し実行するなんて、本当にすごいこと。まさに名君だと思います」と、票を投じた人が実に多くいました。

 

 

 

(アンケート…メールとハガキで集計。総票数:455票)

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