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【ランキング】日本史がテーマの女性向け漫画で勉強になった作品は?


「歴史を学ぶきっかけは漫画」ーー。世界中に誇る日本の漫画には歴史ものも多く、歴史の勉強の入り口になっている作品が多くあるようです。今回のアンケートは、「日本史がテーマの女性向け漫画で、勉強になった作品は?」について集計。304票の投票から、第5位から第1位までを発表します。 <総票:304票  男性:女性=7:3>


「原始、女性は太陽であった」を文芸誌『青鞜』創刊号に執筆した平塚らいてう(写真=国立国会図書館蔵)。らいてうの言葉は、1位となった漫画作品の時代を最も分かりやすく表現している。

 

第5位 「あさきゆめみし」 投票数:24票 

 

 第5位は24票を集めた大和和紀の名作「あさきゆめみし」。漫画雑誌・月刊「mimi」などで1979年から1993年までに掲載され完結しました。累計発行部数は1800万部を超え、紫式部の「源氏物語」は、世界的なこの漫画で勉強したという人たちが世代を超えて存在。光源氏のきらびやかな恋愛と平安時代の政治や貴族社会を視覚化し、古典文学への興味を喚起したともいわれています。

 

 同作品を推す人たちからは「『源氏物語』を読む前にこの漫画を読むと、本当にわかりやすい」「古典を学ぶ人はまずこの漫画を読んで欲しい」「大学の授業にも役立ちました」「『源氏物語」を視覚で理解出来たように思う」などと古典の入り口として推薦する声が、数多く寄せられました。また、「衣装や寝殿造、御簾・屏風などの生活を彩る調度品、さらに琵琶などの楽器の音色の描写……。雅な世界が、細かく丁寧に描写されていて、うっとり」と熱烈なファンの声もありました。

 

 

第4位 「日出処の天子」  投票数:30

 

 第4位は、山岸涼子の「日出処の天子(ひいづるところのてんし)」で30票。1980年から1984年にかけて漫画雑誌「LaLa」に連載。教科書に掲載された肖像画の印象が強かった厩戸皇子(うまやどのおうじ)=聖徳太子(しょうとくたいし)を、少年時代から摂政になるまでを描いています。もう一人の中心人物としては、蘇我蝦夷=蘇我毛人(そがのえみし)が登場。

 

 それまで神格化された存在だった聖徳太子の新たな人物像は、漫画ファンに留まらず多くの人たちに衝撃を与えました。1983年度の講談社漫画賞少女部門を受賞し、少女漫画界の金字塔とも称されています。

 

 票を投じた人からは、「高校生のときに、受験対策で流れを掴むために読み助かった。そして、また漫画の世界にいつしか夢中になっていた」「教科書では分からない、聖徳太子と蘇我氏の関係が興味深かった」「古代の日本のアジアの外交、仏教が日本に根付く過程など、史実だけではピンと来なかったが、人間関係を通して考えることができ、腑に落ちた」などの意見多数。史実は人間が刻んで来た歴史であることを実感した人が多くいたようです。

 

 

第3位 「アシガール」  投票数:33票 

 

  第3位は、4位に3票の差で選ばれた森本梢子作「アシガール」。脚力だけが取り柄の女子高生・速川唯(はやかわ・ゆい)が弟が作ったタイムマシンでトリップし、羽木九八郎忠清(はぎくはちろう・ただきよ)と出会い、超時空ラブコメが展開されます。2012年に連載がスタートし、第1部が終了した後に新章が始まり2022年2月に新婚編が完結。NHKでテレビドラマ化もされ、大反響を呼びました。

 

 同作を選んだ人からは「過去の日本に行き、歴史を体験することに、やはり憧れます。漫画とは分かっていても、主人公に自分を重ねてしまいます」「若君・羽木九八郎忠清のモデルは、歴史上の武将では誰なのか? 史実と漫画の世界を行ったり来たりして楽しめます」とタイムトラベルものに魅了された人の声。また、「現実では不可能なことを、脚力だけが取り柄という女子高生が可能にしてくれるところがいい」と漫画ならではの爽快感を感じた人も多かったようです。

 

 

第2位 「大奥 投票数:36

 

 第2位は、よしながふみ作「大奥」。2004年から2021年まで連載され、第5回センス・オブ・ジェンダー賞特別賞、第10回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第13回手塚治虫文化賞マンガ大賞など多くの賞を受賞。

 

 江戸時代の大奥を舞台に描かれた作品ですが、将軍家の代々の将軍や要職の人物など、歴史上では男性だった人物が女性に、女性は男性に置き換えられています。謎の疫病で男性の人口が急激に減少し、その結果、女性が権力の中枢を担うことになっていった……という設定は話題を呼びました。

 

「大奥での世界が、現実とは男女が逆。何と言ってもこの設定の斬新さ! 圧倒されます」「女性が将軍で、男性による大奥で起こる数々の問題。史実を踏まえながらの展開が、男女逆でもなぜだか、スンナリ読めて納得感があります」など、作者の新たな視点に感激し、新しい多くの世界に魅了された人が続出。

 

 また「知っているようで知らない大奥の世界が良く分かりました」「テレビや映画などのドラマより、歴史に踏み込んだ大奥が勉強になりました」と歴史好きの人も推薦する意見がありました。

 

 

第1位 「はいからさんが通る」 投票数:51

 

 そして第1位は、2位を16票引き離して「はいからさんが通る」。5位の「あさきゆめみし」と同じ作者・大和和紀の名作です。

 

 大正デモクラシー、シベリア出兵、関東大震災など大正時代を背景に男女の恋愛と人間関係が展開されていきます。大正時代の風俗や史実が描かれる一方で、「宇宙戦艦ヤマト」や「化学忍者隊ガッチャマン」など、連載当時のサブカルチャーがギャグで折り込まれるなど、コメディの要素もたっぷり。

 

 累計発行部数は1200万部超! 連載期間は1975年から1977年ですが、連載中も連載後も、小説、アニメ、テレビドラマや舞台、実写映画化と多くのメディアで描かれ、長きにわたって多くの人を魅了しています。

 

 同作品を推す人からは、「当時の女性たちが、強く生きようとする情景が浮かんで来ました」「大正という、明治と昭和の間でどこか馴染みが薄い時代の空気感を、この漫画で実感出来ました」「私のなかで大正時代のイメージは、この漫画で作られたといっても過言ではありません。着物に袴、ブーツ、そして頭にはリボン……服装に限らず当時のハイカラな風俗をこの漫画で知り、大好きになりました」などの意見。大正という時代への興味を持つきっかけとなった人が多くいたようです。

 

 また「シベリア出兵や関東大震災など戦争や災害で大変な時代を、明るく生きる主人公・花村紅緒(はなむら・べにお)が大好き。こんな前向きで、強い女性になりたい」「竹刀と大槍が得意。でも酒乱で喧嘩好きな、跳ねっ返りのジャジャ馬。はちゃめちゃだけど、一本筋が通っていて誰もが好きになってしまう。主人公・紅緒なら、閉塞感あふれる21世紀も切り拓くことでしょう」と、主人公の人間性に引かれ、この漫画を選んだ人もいたようです。

 

 

 

(アンケート…メールとハガキで集計。総票数:304票)

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