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【ランキング】一人で一日だけ自由に鑑賞出来るなら、日本のどの国宝・御物を選ぶ?


 日本史の名美術品について、歴史人編集部にハガキやメールで寄せられたアンケートの回答を集計。今回は「日本の国宝・御物で、1日だけ手元に置いて、或いは一人で自由に鑑賞できる機会があったら、どの美術品を選ぶか?」という設問に寄せられた答から、5位から1位までを発表します。

(アンケート回答者/男性:女性=8:2、総票数:527票)


第1位は信長が上杉謙信に贈ったとされる、あの国宝。写真は新潟県上越市にある上杉謙信公騎馬像。

 

第5位 山城国 吉光御太刀(一期一振) 投票数:48

 

 第5位は、「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」、いわゆる御物の名刀だ。鎌倉時代中期に、山城国(現在の京都府)の粟田口で活躍した刀工・粟田口吉光(あわたぐち・よしみつ)の作。その名工が、一生に一振りしか作らなかったことから、細川幽斎(ほそかわ・ゆうさい)が「一期一振(いちごひとふり)」と名付けたといわれる。

 

 所有の系譜は諸説あるが、朝倉氏、毛利輝元、豊臣秀吉・秀頼、徳川将軍家、尾張徳川家を経て、孝明天皇へと伝わったとされている。

 

 票を投じた理由には「天下三作のうちの一本。手元に置いて鑑賞できる幸せを感じる」「秀吉がどんな気持ちでこの刀を持ったのか……。確かめてみたい」「色々な角度から、そして明るい光や暗い部屋でなど様々な光の中でその輝きを間近に確かめたい。美術館では叶わない夢だ」と、名刀への強い憧れを感じさせる意見が多かった。

 

第4位 古天明平蜘蛛 投票数:60

 

 第4位は戦国時代の伝説の茶釜「古天明平蜘蛛(こてんみょうひらぐも)」。口が広く、胴部の丈が低い茶釜の形状が、這いつくばった蜘蛛を思わせることから、この名があるという。

 

 戦国武将・松永久秀が、信長から幾度となく所望されても断り、信長に侵攻され信貴山城(しぎさんじょう)で自害する際に、自らの手で打ち砕いたとも、鉄砲の火薬で木っ端微塵になったとも伝えられている。その破片を多良尾光信が集めて修復したという説もあり、また浜名湖山寺美術館(現在は閉館)に現存しており、「信貴山城跡を掘り起こした際にこの茶釜が出土。信長が所有した」との来歴が添えれれていた。

 

 推挙の理由は「戦国ファンにとってはあまりに有名な伝説の茶釜。一目でいいので、直に観たい」「信長がそこまで執心し、久秀と運命を共にした茶釜。その魅力をこの目で確かめてみたい」といった意見が多く、「出来ることなら、この茶釜を使って点てたお茶をぜひ一服所望したい」という夢も寄せられた。

 

 

第3位 鳥獣人物戯画  投票数:62

 

 平蜘蛛を僅差で凌ぎ、第3位だったのは国宝「鳥獣人物戯画」。京都の高山寺に伝わる、平安後期から鎌倉前期にかけて制作された4巻からなる絵巻物である。日本絵画史上、最も有名な作品と言っても過言ではなく、博物館での展覧会はいつも長蛇の列だ。複数いる作者がまだ特定されておらず、何の目的で描かれたのか、どのように高山寺に伝わったのかなど、謎に包まれた絵画作品だ。

 

 うさぎと蛙が相撲をとったり、猿と蛙が蹴鞠をしたり、猿が鹿に乗っていたり、うさぎと猿が水遊びする様など、思わず笑みがこぼれるユーモラスな場面が次々と展開されている。動物たちが擬人化されて生き生きと描かれており、漫画やアニメのルーツともいわれている。他にも麒麟や獅子、龍などの霊獣も登場。また人物戯画には、賭双六や侏儒の曲芸、法会(ほうえ)や流鏑馬(やぶさめ)の様子が伸び伸びと描かれている。

 

 同作品に1票を投じた人からは「平安・鎌倉に描かれたとは思えないほどのポップさ」「1巻が10メートルのものもある絵巻物。どこか場所を借りて床に広げて、じっくり鑑賞してみたい」「巻物を転がして、当時の人が楽しんだ気分を体験したい」など、熱い要望が寄せられた。

 

 

第2位 風神雷神図屏風 投票数:64

 

 そして、これまた僅差で第2位だったのは、京都・建仁寺蔵の「風神雷神図屏風」。江戸時代に琳派の創始者・俵屋宗達が、金箔が貼り詰められた二曲一双の屏風に描いた鬼神の絵はあまりに有名だ。これを模した尾形光琳の風神雷神図や、酒井抱一、宗達の工房が制作した屏風図などもある。

 

 「あまりの迫力に、ただただ圧倒される。一人で鑑賞するのは最高の贅沢」「空間が部屋いっぱいに広がり、時を忘れそうな世界に誇れる名作だ」「風神・雷神の視線、鬼神が乗っている黒雲、細長い肩巾(ひれ)のたなびき、金箔で表現された天空……。日本がらしさ溢れる屏風絵の醍醐味に溢れている」など、作品が持つ独特の世界に惹かれる人が多いようだ。

 

 

第1位 上杉本洛中洛外図屏風 投票数:86

 

 そして第1位は、86票を集めた「洛中洛外図屏風(上杉本)」。天正2年(1574)に織田信長から上杉謙信へと贈られ、以後、米沢藩上杉家に伝来したという由来がある。桃山時代を代表する画家・狩野永徳が、京都の洛中(市中)と洛外(郊外)の四季と、町で暮らす様々な階級の人々の生活風俗を精緻に描いている。一双全体で登場する人物は総勢2,485人にもなるというから驚きだ。

 

 「当時の京都市中や人物の様子が細やかに描かれており、眺めていても飽きることがなさそう」「御所や清水寺東寺など、祇園祭に沸く町並みのリアルさは、天才絵師・狩野永徳ならでは」と、絵画の中から音や会話までもが聞こえてきそうな絵画の力を絶賛する声が多かった。また、「あの信長が上杉謙信に贈ったとされる屏風。当時の武将の戦略に思いを馳せる楽しみがあり、歴史のロマンを感じる」など歴史ファンらしい意見もあった。

 

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