歴史好きアイドル乃木坂46・山崎怜奈が語る『明智光秀が殿を務めた〝金ヶ崎の退き口〞とは』─NHK大河ドラマ「麒麟がくる」
歴史好きアイドル乃木坂46・山崎怜奈が語る
戦国史上名高い撤退戦「金ヶ崎の退き口」──。魔王・信長最大の危機として挙げられる大事件は、明智光秀、木下藤吉郎らの運命をも巻き込んだ重大な局面として語り継がれる。NHK大河ドラマの舞台としても脚光を浴びる場・金ヶ崎、そして「金ヶ崎の退き口」について歴史マニアとして知られる乃木坂46・山崎怜奈さんに語ってもらった。

山崎怜奈やまざき れな/1997年5月21日生まれ。大人気アイドルグル―プ・乃木坂46のメンバー。歴史好きとして有名でひかりTV「歴史のじかん」に出演。毎週月曜から木曜のTOKYO FM「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。」(13:00〜)ON AIR中。
■信長最大の危機から学ぶ〝逃げることの美徳〟
明智光秀(あけちみつひで)が10年余りの浪人時代を過ごしたとされる越前(えちぜん)[福井県]には、ゆかりの地が数あれど、織田信長(おだのぶなが)、木下藤吉郎(豊臣秀吉)、徳川家康(とくがわいえやす)の〝三英傑〟と光秀が一堂に会した、金ヶ崎(かねがさき)城ほど歴史ファンに知られた場所はない。元亀元年(1570)4月27日に、織田信長と朝倉義景(あさくらよしかげ)・浅井長政(あざいながまさ)の間に起こった戦で行われた「金ヶ崎の退き口」。信長最大の危機といわれ、同時に秀吉出世の契機となり、さらに信長を取り逃がしたことで朝倉・浅井両家にとっては滅亡のきっかけとなる、まさに歴史のターニングポイントといえる撤退戦の舞台である。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』においても、この大事件が描かれた。大河ドラマをきっかけに、歴史が好きになったという山崎怜奈さんもまた、「金ヶ崎の退き口」の作中での描かれ方に注目している1人だ。

明智光秀金ヶ崎の戦いでは、信長を絶体絶命の危機から救う活躍をした。写真/アフロ
「まず見所を挙げるとすれば、信長のために光秀、秀吉、家康がわざわざ集結して奮闘したというところですね。本来はライバル関係にあったはずの者同士を共闘させた、信長のカリスマ性はもちろん、これだけ錚々(そうそう)たるメンバーが揃っていて、なお敗走してしまったという事実からも、戦がいかに難しいのかが分かります」
主従、同盟、姻戚という戦国の世ならではの絡み合った人間関係が、この信長最大のピンチを招いた根幹にあったのだが、山崎さんの見解は?
「朝倉義景も浅井長政も織田側から見たら悪者になりますが、それぞれの正義があるので、良い・悪いの二元論で語れるものではないと思っています。やはり自家を守るのが武士としての最優先事項なわけですし。それよりも声を大にしたいのが、歴史上に名を残す武将の多くが、逃げることを良しとせず討死や自刃などで最後を迎え、それが美徳とされていた時代に、信長は逃げたということ。この〝逃げることの美徳〟を伝える一例として、『金ヶ崎の退き口』は後世まで伝えておくべきだと思います。信長ほどの人物が、逃げることも時に必要だと考えていたという事実は、私たち現代人にも学ぶことが多いのではないのでしょうか」