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無理なようで意外と通れるミニ鳥居! 小さすぎる鳥居くぐりにチャレンジしてみた 淡島神社/長崎県雲仙市

神社仏閣好きラノベ作家 森田季節の推し寺社ぶらり【第14回】


津々浦々の神社・仏閣を訪ね歩くことを趣味にしているライトノベル作家の森田季節さん。全国に約16万もあるという神社・仏閣の中から、知見を生かしたマニアックな視点で神社・仏閣を紹介! あなたをめくるめく寺社探訪の旅に招待します。興味を持った方はぜひ現地に訪れてみよう。


 

かわいらしいミニ鳥居。くぐり抜ける場所のサイズは、手前から、高さ33センチ、30センチ、27センチとだんだん狭くなる。写真:森田季節

■雲仙市にある淡島神社のミニ鳥居

 

 日本に住んでいて鳥居を見たことのない人はいないと思います。人によっては通勤や通学の途中に神社の横を通るので自動的に目にするというケースもあるでしょう。この鳥居、亜種も意外と多く、鳥居を専門に扱った本も何冊かありますが、個人的に谷田博幸(たにた ひろゆき)さんの『鳥居』(河出書房新社)がオススメです。

 

 さて、そんな鳥居のサイズが特異な神社があります。サイズが変わってるというと、大きすぎるか、小さすぎるかのどっちかしかないわけですが、この場合小さすぎるほうです。なお、鳥居の小さすぎる神社も複数あるのですが、そのうち一箇所を取り上げます。

 

 西九州新幹線も停車する諫早(いさはや)駅から島原鉄道に乗り換えて約45分、雲仙市の神代町(こうじろ)駅というところで下車します。この駅前は佐賀藩の藩主一族が領地にしていたところで武家屋敷群がよく残っていて、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

 

慶応元年(1865)に完成した鍋島邸の長屋門と石垣。神代小路は、都市景観大賞「美しいまちなみ賞」を受賞している。

 低い石垣や生垣が目立つ武家屋敷群から少し離れたところに淡島神社があります。江戸時代後期の文化9(1812)年に勧請された神社ですが、こちらの境内に小さすぎる鳥居が3基設置されています。現在もあるかはわかりませんが僕が参拝した2020年の時点では、ちゃんと鳥居の下に人工芝が設置されていて、匍匐前進でくぐりやすいようになっていました。

 

■小さすぎる鳥居くぐりにチャレンジ その結果は?

 

 こういうのって多人数の旅行でくぐって楽しむものだと思うのですが、幸い、先客が二人しかおらず待ち時間も少なかったので、せっかくなので一人でくぐりました。写真を見ていただけるとわかると思うのですが、「これって大人がやってくぐれるものなのか? 腕の部分で引っかからないか?」と不安を覚えるほどきっちり狭いです。それと、そこそこ古そうな鳥居も混じっていることも不安を増幅させます。昔の日本人なら楽々くぐれても、21世紀の日本人のガタイだと危ういのでは……? そんなことを考えながらくぐったのですが、どうにか3つともクリアできました。

 

成人と比べるとその小ささがよくわかる。撮影:森田季節 

 境内には小さい鳥居をことさら取り上げるような案内板もなく、「小さい鳥居があるんだから、くぐってみてよ」とばかりに人工芝だけが敷いてあります。その潔いスタイルに惹かれます。面白かろうと鳥居のためだけに長崎県まで行けないという人も多いと思いますが、神代から島原の中心部分まで20分ほどなので、島原観光とセットで行くことも可能です。島原名物の白玉スイーツかんざらしを食べたあとに匍匐前進されてみてはいかがでしょうか?

 

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森田季節もりたきせつ

1984 年生まれ、兵庫県出身。作家。東北芸術工科大学特別講師。京都大学文学部卒業、京都大学大学院文学研究科修士課程中退(日本史学専修)。大学院在学中の2008年、『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』で第4回MF文庫Jライトノベル新人賞優秀賞を受賞してデビュー。主な著書に『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』(GAノベル)、『物理的に孤立している俺の高校生活』(ガガガ文庫)、『ウタカイ 異能短歌遊戯』(ハヤカワ文庫)などがある。

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