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石段が長い寺社は多いが、ここまで遠目に壁のように見える急な階段はかなり珍しい 須賀神社/佐賀県小城市

神社仏閣好きラノベ作家 森田季節の推し寺社ぶらり【第11回】


津々浦々の神社・仏閣を訪ね歩くことを趣味にしているライトノベル作家の森田季節さん。全国に約16万もあるという神社・仏閣の中から、知見を生かしたマニアックな視点で神社・仏閣を紹介! あなたをめくるめく寺社探訪の旅に招待します。興味を持った方はぜひ現地に訪れてみよう。


 

見上げるとちょっと笑ってしまうぐらいに「壁」

 

 階段が延々と続く神社もお寺もいくつも訪ねてきましたが、中でも映えるのが佐賀県小城市の須賀神社です。もう、これは目で見てもらったほうがわかりやすいでしょう。こういうところです。

山肌を切り裂いた一本の縦線のような須賀神社の石段。撮影:森田季節

 小城市観光協会のホームページによると、153段の石段だそうです。ちなみに自分の訪問時のメモを見ると、200段近いと書いてたので途中でカウントを放棄したようです。間違いではないですが、ちょっと盛ってました……。

 

 石段の数だけで言えば、200段オーバーの神社も寺もいくらでもあるとは思います。ただ、ここまできれいに壁のように見えるところはレアです。思わず立ち尽くして見上げてしまいます。この記事を読んで、「よし、佐賀県小城市に行こう」とすぐ思う人は少ないでしょうが、これはぜひ現地で体感してほしいです。見上げるとちょっと笑ってしまうぐらいに「壁」です。

 

 神社側も誰もがこの石段をクリアできるとは思ってないらしく、スタート地点の門のところには賽銭箱が設置されています。手を清める場所も石段スタート前にありますし、石段に踏み出す前に参拝したことにしていいという設定のようです。

 

階段に自信がない方も安心。階段下での参拝が可能です。撮影:森田季節

 石段の数自体は観光協会が書いてあるように153段なので無心に足を動かせば、そこまできつくはなく、社殿のところにまで着きます。ただ、むしろ下りが怖いです。神社の看板にも手すりを使うように書いていました。僕も慎重には慎重を期して下りました。

 

 この須賀神社のすぐそばには羊羹資料館もあります。「村岡の小城羊羹」とデカデカと書いてある戦前のレトロ建築の建物です。名前のとおり、村岡総本舗という佐賀県の有名なお菓子屋さんがやっていて、隣の店ですぐに商品も購入できます。小城羊羹といえば、表面がカリカリなっている羊羹で、そのおかげか非常に日持ちがするのでお土産にも便利です。問題は見た目よりずっしりしてることで、車で回ってない人が大量に買うと少し疲れます。

1941年に砂糖貯蔵庫として建てられた羊羹資料館。隣の店舗でお菓子も買える。撮影:森田季節

 こちらのお店、カステラで羊羹をはさんだシベリアも売っていますが、これが本当に絶品でした。試食コーナーのものを食べたのですが、はっきり言ってスーパーで売っているシベリアとは格が違いました。カステラでも羊羹でもない、シベリアという独立したお菓子の味なんです! 羊羹の本場の老舗が作るとここまで差が出るのかと衝撃を受けました。こちらも買いたかったのですが、人気商品らしく缶入りの高級なもの以外は売り切れていました。佐賀のアンテナショップ作って東京でも売ってほしいです。本当に買いに行きます! なお、購入した小城羊羹も日持ちしたのでお土産にちょうどよかったです。

 

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森田季節もりたきせつ

1984 年生まれ、兵庫県出身。作家。東北芸術工科大学特別講師。京都大学文学部卒業、京都大学大学院文学研究科修士課程中退(日本史学専修)。大学院在学中の2008年、『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』で第4回MF文庫Jライトノベル新人賞優秀賞を受賞してデビュー。主な著書に『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』(GAノベル)、『物理的に孤立している俺の高校生活』(ガガガ文庫)、『ウタカイ 異能短歌遊戯』(ハヤカワ文庫)などがある。

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