×
日本史
世界史
連載
ニュース
エンタメ
誌面連動企画
歴史人Kids
動画

特殊過ぎる巨大モニュメントがクセに…トレッキングでにぎわう飯能のお寺 子ノ権現・天龍寺/埼玉県飯能市

神社仏閣好きラノベ作家 森田季節の推し寺社ぶらり【第9回】


津々浦々の神社・仏閣を訪ね歩くことを趣味にしているライトノベル作家の森田季節さん。全国に約16万もあるという神社・仏閣の中から、知見を生かしたマニアックな視点で神社・仏閣を紹介! あなたをめくるめく寺社探訪の旅に招待します。興味を持った方はぜひ現地に訪れてみよう。


 

参道に立つ仁王像。撮影:森田季節

 

足腰のご利益とは関係ない巨大モニュメント

 

 友人にトレイルランニングの上級者がいるのですが、東京近辺のそういった人あるあるなのか、高尾や秩父あたりの情報に詳しいです。おかげで、僕も自然とそのへんの情報を耳にします。そして、東京近辺のトレイルランナーの人からおそらく一番聞いた山中の寺院の名前が飯能市の子(ね)ノ権現です。正式には天龍寺と言うようですが、こちらの名前で聞いたことはありません。

 

 こちらの寺院、僕は横着して車で連れていってもらいました。参道には巨大な鳥居があり、権現とついていることからもわかるように神仏習合の霊場です。

 

大量のわらじ。ご自由にお持ちくださいとある。撮影:森田季節

 境内でまず目につくのは大量のわらじ。足腰にご利益のある寺院なので別におかしくはないのですが、テンションは上がります。ほかにも巨大わらじや、巨大な金属下駄も境内に置かれています。余計なお世話ですが、こういうわらじや下駄って作るのにどれぐらいお金がかかるんだろうとついつい思ってしまいます。こんなモニュメントを専門に取り扱っている会社もあるんですかね?

 

 そして、このお寺、足腰とは関係ない巨大なモニュメント(?)もあります。それが「手」です。これだけではなんのことだかわからないと思いますが、写真を見てもらえればすぐにわかっていただけるかと。

夜に見たら悲鳴をあげると思う。撮影:森田季節

 手としか言いようがないですよね……。寺社を紹介する企画で最初に浮かんだのがこれなんですが、境内に「手」があるだけでは意味不明すぎるので紹介できる切り口を思いつくまで寝かしていました。

 

 この「手」以外にも独特のモニュメントがある寺院が同じ飯能市内にあるので、続いてこちらを紹介します。山中の子の権現と違って、飯能駅からも徒歩圏内の場所です。

 

 飯能駅からてくてく西のほうに歩いていくと飯能河原の近くに観音寺という寺院があります。よくある寺院だなと思って境内に入っていくと、なんだこりゃというものが目につきます。ゾウがいます。これも言葉では説明しづらいので写真をごらんください。

 

鐘があるばずの場所にいる白いゾウ。撮影:森田季節

 鐘楼の下に、なぜか本来の鐘の代わりに白いゾウの像が置かれています。お寺のホームページによると昭和40年代に檀家の方が作られたものが今ではここに置かれているそうです。鐘楼なら雨も防げるのである意味、ちょうどいい場所かもしれません。

 

 こちら、飯能が舞台のアニメである「ヤマノススメ」シリーズでたびたび登場しますが、ここまで目立つ場所があれば作中に出したいのも納得です。ちなみに飯能市の観光パンフレットにもゾウの絵が描かれていました。観光協会も把握しているということですから、このゾウが飯能の守り神のような存在になるのも遠い日のことではないかもしれません。

 

KEYWORDS:

過去記事

森田季節もりたきせつ

1984 年生まれ、兵庫県出身。作家。東北芸術工科大学特別講師。京都大学文学部卒業、京都大学大学院文学研究科修士課程中退(日本史学専修)。大学院在学中の2008年、『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』で第4回MF文庫Jライトノベル新人賞優秀賞を受賞してデビュー。主な著書に『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』(GAノベル)、『物理的に孤立している俺の高校生活』(ガガガ文庫)、『ウタカイ 異能短歌遊戯』(ハヤカワ文庫)などがある。

最新号案内

『歴史人』2025年10月号

新・古代史!卑弥呼と邪馬台国スペシャル

邪馬台国の場所は畿内か北部九州か? 論争が続く邪馬台国や卑弥呼の謎は、日本史最大のミステリーとされている。今号では、古代史専門の歴史学者たちに支持する説を伺い、最新の知見を伝えていく。