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【ランキング】歴史好きが選んだ「今年こそ行ってみたい世界文化遺産」は?

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海外からの観光客も日々、増えている全国各地の観光地。今回の雑誌『歴史人』のアンケートは、「世界文化遺産に指定されている文化財に含まれている建築物で、『今年こそ行ってみたい』と思う寺社はどこ?」について集計しました。第5位から第1位までを発表します。 <総票:371票  男性:女性=8:2>


 

東照大権現(徳川家康)を祀る、栃木県日光市の神社「日光東照宮」。豪華絢爛な建物が印象的な日光東照宮は、果たして何位なのか?

第5位 「法隆寺」「金閣寺」 投票数:30 (同票) 

 

 第5位は奈良県の「法隆寺(ほうりゅうじ)」と、京都府の「金閣寺(きんかくじ)」で、同数30票を集めました。

 

 「法隆寺地域の仏教建造物」は、平成5年(1993)に世界文化遺産に登録された世界最古の木造建造物群です。主要な建物である法隆寺は、日本の仏教宗派のひとつである聖徳宗(しょうとくしゅう)の総本山で、別名・斑鳩寺(いかるがでら)で知られています。

 

 聖徳太子(しょうとくたいし)と推古天皇(すいこてんのう)によって、推古15年(607)に創建されたと伝わっています。参道を抜けたところに国宝の南大門があり、約18万7,000平方mの広大な境内は、金堂を中心とする西院と夢殿を中心とする東院に分かれています。西院にそびえる五重塔は、飛鳥時代に建築された法隆寺のシンボル的存在でもあり、国宝にも認定されています。また、本堂の国宝・金堂には、釈迦三尊像(しゃかさんぞんぞう)が、国宝・西円堂(さいえんどう)には薬師如来像(やくしにょらいぞう)が、安置されています。

 

 法隆寺などの建築物以外の、飛鳥・奈良時代の仏像や仏教工芸品などが多数あり、見どころはいっぱいです。

 

 また、同票だった「金閣寺」は、正式名称を「鹿苑寺(ろくおんじ)」という、臨済宗相国寺派(りんざいしゅうしょうこくじは)の塔頭寺院のひとつです。室町幕府第3代将軍の足利義満(あしかが・よしみつ)が、京都の西園寺家(さいおんじけ)の邸宅と庭園を譲り受け、北山殿と呼ばれる別邸としていました。お釈迦様の骨や遺灰を祀るお堂「舎利殿(しゃりでん)」を、豪華絢爛な金箔を内外に施したことから「金閣寺」と呼ばれています。

 

 室町時代の北山文化を代表する建築でしたが、昭和25年(1950)に放火によって消失。現在の建物は、昭和30年(1955)に再建されたものです。その後、「古都京都の文化財」を構成する資産として、平成6年(1994)に世界文化遺産に登録されました。

 

 法隆寺に票を投じた人からは、「世界最古の木造建築物。日本が誇れる文化の象徴だと思っています」「古の都があった奈良という地、そして仏教を広めた聖徳太子ゆかりの寺に行ってみたい」というコメントが。また金閣寺に行きたいという人からは、「室町幕府全盛期の寺。じっくり観てみたい」「真っ白な雪の中の金閣寺を観たいと思う」「修学旅行で行ったことがありますが、大人になり知識が増えた今、もう一度、訪れたい。別の見方が出来るような気がします」などの意見が寄せられました。

 

第4位 「平等院」 投票数:32

 

 第4位は、5位の「法隆寺」と「金閣寺」をわずか2票上回った、京都府宇治市の「平等院(びょうどういん)」で62票を獲得。平成6年(1994)に、「古都京都の文化財」としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。

 

 藤原一族の栄華を今に伝える寺院として有名です。藤原頼通(ふじわらの・よりみち)の父・道長(みちなが)が譲り受けた別荘「宇治殿」を、頼道が永承7年(1052)に寺に改めました。当時、疫病や自然災害が起こり、死に対する不安から極楽浄土への憧れが生まれたことから、平等院創建に至ったようです。

 

 十円玉に描かれた国宝・「鳳凰堂」には、阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)が安置されています。平安時代最高峰の仏師として名高い定朝(じょうちょう)が手掛けた仏像で、国宝。鳳凰堂内にはこの坐像を含め、70を超える国宝があり、見どころがいっぱいです。

 

 大半が地下に建てられたミュージアム「鳳翔館(ほうしょうかん)」も見逃せません。日本三名鐘のひとつ国宝・「半鐘(初代)」や、定朝が原型を木彫りで作ったといわれる国宝・「鳳凰(初代)」、26体の国宝・「雲中供養菩薩像(うんちゅうくようぼさつぞう)」などを鑑賞出来ます。

 

 平等院に行きたいという人たちからは、「お金に描かれるほどに有名な場所ですが、まだ行ったことがない」というう意見が、意外に多くありました。「ビジュアルは目に焼き付いています。今年こそぜひ、訪れてみたいです」と考える人たちが大勢いるようです。そして、「派手な外観だけでなく、建物内にある数々の宝物をじっくりと鑑賞したいです」という声も多く聞かれました。

 

第3位 「中尊寺金色堂」 投票数:40 票 

 

  第3位は平等院に8票の差をつけ、40票を集めた「中尊寺金色堂(ちゅうそんじこんじきどう)」。岩手県平泉町にある「中尊寺」は、平成23年(2011)に世界文化遺産に登録されました。「平泉ー仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」の5つの構成資産のひとつです。

 

 中尊寺は、嘉祥3年(850)に比叡山の高僧・慈覚大師 円仁(じかくだいし・えんにん)により開山されたといわれています。そして金色堂は天治元年(1124)、奥州藤原氏の祖である藤原清衡(ふじわら・きよひら)によって建立。平安時代の漆工芸や金属工芸、仏教彫刻の粋を凝縮した仏教建築の代表例で、約1,000年前の創建当時と変わらぬ美しさで、訪れる人を魅了しています。

 

 中尊寺金色堂に神秘的な魅力を感じる人は多いようです。「旅行に行きやすくなった今年こそ、奥州藤原氏のかつての栄華を感じながら、迫力ある金色堂を味わいたいです」「源義経ゆかりの地でもあり、歴史ロマンを感じます。鄙びた場所に、堂々たる建築物があるということも、魅せられる要素のひとつです」といったコメントがありました。

 

第2位 「厳島神社 投票数:75

 

 金閣寺や法隆寺、平等院、そして中尊寺金色堂といった数々の名建築を35票も上回る75票で、堂々の第2位となったのは広島県廿日市市にある「厳島神社(いつくしまじんじゃ)」です。平成8年(1996)に世界文化遺産に登録。松島や天橋立と並び、日本三景「安芸の宮島」として知られていることはご存知の通り。

 

 御主祭神は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)と素嗚尊(すさのおのみこと)が誓約(うけい)をした際に、素嗚尊の剣から生まれた宗像三女神(むなかたさんじょしん)。島を治める佐伯鞍職(さえきの・くらもと)に神勅が下り、神鴉(ごからす)の先導のもと、御祭神とともに島を巡って場所を選び、推古天皇元年(593)に御社殿を建てたと伝えらています。

 

 その後、久安2年(1146)に、安芸守(あきのかみ)に任命された平清盛(たいらの・きよもり)が、平家の守護神として尊崇し、関わりが密接になっていきました。清盛が大改修を行い、現在のような入江の海の中に木造建築が立ち並ぶ美しい神社となりました。

 

 平家から源氏の世となっても厳島神社への崇敬は変わらず、室町時代の足利尊氏(あしかが・たかうじ)や義満(よしみつ)、戦国時代には大内家や毛利家からも崇拝されました。

 

 厳島神社に行ってみたいという人の多くは、社殿から約160メートルほど離れた海の中に建てられた大鳥居に惹かれている様子。「海の中になぜ? どうやって建てられたのか? など現地でその理由をしっかり学びたい」「潮の満ち引きで見え方が変化すると聞きました。自然と人の叡智による建築物。比類なき日本の美学を感じます」「平氏から足利氏、毛利氏など歴代の支配者が崇拝し保護した地。何か特別なものがあるような気がします」などと荘厳さを感じている人たちの熱い意見が多く寄せられました。

 

第1位 「日光東照宮」 投票数:84 

 

 そして第1位に選ばれたのは84票を獲得した「日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)」。徳川幕府の聖地で、元和3年(1617)に徳川初代将軍の・家康(いえやす)を御祭神におまつりした神社です。「日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)」と「日光三輪王寺(にっこうさんりんのうじ)」、「日光二荒山神社(にっこうふたらさじんじゃ)」の二社一寺は、周辺の山林とともに平成29年(2017)に世界遺産に登録されました。

 

 天文11年(1542)に三河国岡崎城で誕生した徳川家康。約260年にわたる江戸幕府の礎を築いたことはご存知の通りです。元和2年(1616)に駿府城で75歳の生涯を終え久能山に神葬され、その1年後、遺言によってこの日光の地に移されることになります。そして第2代将軍・秀忠(ひでただ)が、元和3年(1617)に日光東照宮を創建したのです。

 

 現在のような豪華な社殿群になったのは、第3代将軍・家光(いえみつ)による、寛永13年(1636)の大規模な造替によってです。

 

 1日中見ていても飽きないことから「日暮らし門」と呼ばれた、国宝・「陽明門」は多くの人が知っていることでしょう。逸話や遊び、聖人など500を超える彫刻で飾られた美しい門は東照宮のシンボルになっています。陽明門の左右にある、花鳥の彫刻で飾られた「回廊(かいろう)」や、本殿や拝殿がある「御本社」も国宝です。東回廊にある、伝説の彫刻家・左甚五郎(ひだり・じんごろう)作と伝わる国宝・「眠り猫」もまた有名です。

 

 他にも、有名な諺「見ざる、聞かざる、言わざる」を表した猿の彫刻がある「新厩舎(しんきゅうしゃ)」、胡粉で門全体が白く塗られ龍を始めとする細かい彫刻が印象的な国宝・「唐門(からもん)」など、漆や極彩色が施された建築物・彫刻物の数々は圧巻。そして、これらは単にデザインであるだけでなく、信仰形態や学問・思想が表されているといわれています。

 

 世界的に有名な日光東照宮に行ってみたいという人は、老若男女を問わず実に多いようです。「日本史で圧倒的な存在感を示している徳川家康を祀っている場所。この地を訪れることで江戸のパワーを感じられる気がします」「テレビなどで良く見るためか、知っているような気になっています。関西からだと、交通の便など気軽に行きにくい場所ですが、現地でその煌びやかな造りを堪能したい」「猿、龍、虎、狛犬や空想上の動植物も含めた装飾が、豪華絢爛であることは間違いありません。しかし、それだけではないように思う。時間をかけて、その凄さにを味わいたい」と、映像や写真などを通して知っているだけに、直接じっくり、自分自身の眼で鑑賞したいと考える人が多くいたようです。

 

(アンケート…メールとハガキで集計。総票数:371票)

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