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永青文庫『古代中国・オリエントの美術 リターンズ ―国宝“細川ミラー”期間限定公開―』

編集部注目の歴史イベント


日本・東洋の古美術を中心に数多くの優品を擁する永青文庫。2020年2月に開催され好評を博しながらも、新型コロナウイルス感染拡大の影響で途中閉幕してしまった展覧会が「古代中国・オリエントの美術 リターンズ ―国宝“細川ミラー”期間限定公開―」として復活。2021年12月18日(土)から2022年2月13日(日)までの開催期間、古代中国やオリエント美術に触れる最良の機会となるだろう。


 

 2020年2月より開催し、好評を博した「古代中国・オリエントの美術―国宝“細川ミラー”期間限定公開―」展。新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりやむなく途中閉幕となった同展が、今冬、およそ1年10か月ぶりに帰ってくる。

 

 永青文庫の設立者・細川護立(もりたつ)(細川家16代・1883~1970)は、幼い頃から漢籍に親しみ、中国の文化に強い憧れを抱いてきた。やがて大正15年(1926)から約1年半かけてヨーロッパを巡り、のちに国宝に指定される 「金彩鳥獣雲文銅盤(きんさいちょうじゅううんもんどうばん)」などの中国青銅器や陶磁器を購入し、以降本格的に中国美術のコレクションを始める。さらに護立の関心はオリエント美術にまで及び、イスラーム陶器やタイルの優品も蒐集した。

 

 本展では、“細川ミラー”の名で広く知られる「金銀錯狩猟文鏡(きんぎんさくしゅりょうもんきょう)」(国宝)など前回の出品作品に加え、永青文庫では8年ぶりの公開となる「金銀玻璃象嵌大壺(きんぎんはりぞうがんおおつぼ)」(重要文化財)をはじめとした古代中国の美術13点を新たに展覧。さらに、高度な技術でつくられた非常に珍しい「ゴールドバンドガラス碗」などのオリエント美術を楽しむことができる。

 

 

◇細川護立と古代中国の美術

 

銀人立像

重要文化財 銀人立像
中国 戦国時代(前5~前3世紀)
衣服を腰帯で固定し、裸足で立つ小像。指先の爪や、鼻の鼻孔など、身体の細部を精巧に表現している。古代東アジアでは、銀製の小像の類例が極めて少なく、本作は貴重な作例。

 

 5歳頃から漢籍を学び、幼少期より中国文化に強く憧れていた細川護立。学習院中等学科在学中には義和団事件(1900年)直後の北京へ初めて赴き、紫禁城や万寿山を訪れた。このような中国への関心はやがて自身の美術品蒐集とも結びつき、大正15年(1926)から約1年半におよぶヨーロッパ旅行を機に、中国美術を本格的に集めるようになる。

 

 護立は滞欧中、各地の博物館・コレクターを訪ね歩き、唐三彩や金属器をパリの古美術商から買い求めた。当時の日本では、墓に納める副葬品であった唐三彩などは避けられる向きもあったが、護立はいち早く価値を見出し、専門家の助言を得ながらコレクションを充実させていった。ここでは、本展に先立ち実施した作品調査をふまえて、護立の蒐集品から様々な古代中国の美術を紹介していく。

 

 

◇オリエントの美術

 

白釉色絵人物文鉢

白釉色絵人物文鉢
イラン 12~13世紀
ペルシア語でエナメル(彩飾)を意味するミナイ手の陶器。その特徴は愛らしい丸顔の人物表現。本作は、玉座に座る人物とその脇に侍者、上下に植物と孔雀が描かれおり、衣服の細かな模様も丁寧に表されている。

 

 オリエント地方とはラテン語で「陽が登るところ」「東方」を指す「オリエンス」に由来する。現在のトルコからパキスタンあたりまでの地域に該当し、古代ローマからみた東方世界の呼称として定着している。 5000年以上さかのぼる紀元前3200年頃に興った都市文明は、現在のイラク共和国を中心とするメソポタミアで栄え、現代生活の基本的要素(文字、商業、階級、法律、職業など)のほとんどを備えていた。

 

 永青文庫のオリエント美術コレクションは、東地中海沿岸地域のガラス、エジプト新王国時代の遺物、イスラーム時代のペルシア陶器など、地域も時代も多岐にわたる。古代の人々は、神や王、自分たちのために、様々な作品を生み出した。それらは、当時の人々の祈りが込められているだけでなく、社会の状況、周辺地域との関連など、多くの情報を有している。

 

 

◇みどころ

 

金彩鳥獣雲文銅盤

国宝 金彩鳥獣雲文銅盤
中国 前漢~新時代(前3~後1世紀)
2022年1月25日(火)~2月13日(日) 限定公開

 

 細川護立の中国美術コレクションには、蒐集当初より専門家に評価され、のちに国宝や重要文化財に指定された作品も含まれる。本展では、護立が独断即決で購入した「金銀錯狩猟文鏡」、滞欧中に手に入れた「金彩鳥獣雲文銅盤」の国宝2点を期間限定で公開。永青文庫では8年ぶりの一般公開となる「金銀玻璃象嵌大壺」をはじめとした重要文化財5点も展示される。

 

 また、本展に先立って行われた古代中国の作品調査により、時代や技法、用途など、より詳細な作品の特徴が明らかとなった。今回は最新の調査結果をふまえて、前回の出品作品に加えた古代中国の美術13点を新たに紹介する。

 

 さらに、前回の「古代中国・オリエントの美術」展にあわせて実施した専門家による調査の結果、それらのなかには現代では再現が難しい高度な技法でつくられたガラス碗や、古代エジプトの王家ゆかりのタイルなど、珍しい作品が含まれていることが判明した。本展では、貴重なオリエント美術コレクションが再び展覧される。

 

【開催概要】

展覧会名
令和3年度冬季展 「古代中国・オリエントの美術 リターンズ ―国宝“細川ミラー”期間限定公開―」

会 期: 2021年12月18日(土)~2022年2月13日(日) ※会期中、一部展示替えあり

会 場: 永青文庫(東京都文京区目白台1-1-1) 4階・3階展示室

開館時間: 10:00~16:30 (入館は16:00まで)

休 館 日 : 月曜日<但し2022年1月10日(月)は開館し、1月11日(火)は休館>
年末年始<12月27日(月)~2022年1月7日(金)>

入 館 料 : 一般800円、シニア(70歳以上)600円、大学・高校生300円
※中学生以下、障害者手帳をご提示の方およびその介助者(1名)は無料。

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歴史人編集部れきしじんへんしゅうぶ

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世界の列強と互角の軍事力を有するため、日本海軍が明治27年に設立した「連合艦隊」は、優れた機動力と策略で、清国やロシアを圧倒する。しかし「大艦の時代」から「航空機の時代」へ移り変わるなかで、その威容は徐々に衰えを見せ始める。かつて世界有数の軍事力を誇りながら、太平洋戦争で最期を迎えた連合艦隊の軌跡を追う。