「国民」はいかにして生み出されるのか? 企画展示『学びの歴史像―わたりあう近代―』
編集部注目の歴史イベント
アメリカでのヘイトクライム問題やBLM運動など、今民族とは、国家とは、国民とは何かが問い直されている。国立歴史民俗博物館の企画展示『学びの歴史像―わたりあう近代―』では、幕末から明治という怒涛の流れの中にあった「学び」の姿を、対外関係史、文化史、経済史、医療・衛生史、アイヌ史などから読み解き、「国民」が生み出されていく過程を明らかにしていく。
■幕末から明治という怒涛の流れの中にあった「学び」の姿を

『地理全志』安政6年(1859) 国立歴史民俗博物館蔵安政6年(1859)5月刊、全10冊。イギリス人伝道師ミュアヘッド(中国名は慕維簾)が漢文で著した世界地理書を日本で翻刻したもので、出版者は幕臣 岩瀬忠震。同様に西洋の知識・情報が漢訳本を介して日本にもたらされた例は多かった。
「人々は何を学んできたのか、なぜ学ぶのか」について、19世紀後半以降、日本列島に近代国民国家が成立していく様相とともに、「学び」という視点から紐解く。
狭義の「教育史」ではなく、幕末維新期の世界認識と自国認識、明治社会における旧幕臣の役割、富国をめざした博覧会、衛生観念の導入と相克、アイヌにとっての近代、国民をつくるための学校教育のしくみなど、さまざまな切り口から展示を構成し、近代における「学び」の意義を考える。
とりわけ、伝統と近代、欧米とアジア、中央と周縁、強者と弱者など、それぞれに緊張感をはらんだわたりあいを伴いつつ、教育や学知を通じて「国民」が生み出されていく過程を多面的に明らかにする企画だ。
特に、アイヌ民族の歴史や言葉、首里や八重山の近代関係資料など、全国から多数資料を借用し、一堂に会する展示品たちは必見。「ブラントン日本図」や「元ト昌平阪聖堂ニ於テ博覧会図」など初公開の資料も含め、歴博の豊富な館蔵資料を最大限に紹介。私たちにはなじみのない、唱歌教科書初代の「君が代」のメロディなどの「聴く展示」も。
【会期】 2021年10月12日(火)〜2021年12月12日(日)
【会場】 国立歴史民俗博物館 展示室 企画展示室A・B(千葉県佐倉市城内町117)
【時間】 9:30〜16:30 (最終入館時間 16:00)※開館日・開館時間を変更する場合があります
【休館日】 月曜日 ※休日にあたる場合は開館し、翌日休館
【観覧料】 一般 1,000円 大学生 500円
※総合展示もあわせて観覧できます
※高校生以下は入館料無料です
※高校生及び大学生の方は、学生証等を要提示(専門学校生など高校生及び大学生に相当する生徒、学生も同様です)
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介助者と共に入館が無料です
※会場の混雑防止のため、土・日・祝日、会期末(12月7日(火)から12月12日(日))は、すべてのお客様につきまして、 オンラインによる入場日時の指定(事前予約)が必要です。 平日は、会期末12月7日(火)から12月10日(金) をのぞき、事前予約は不要です。予約方法等の詳細は、後日、 国立歴史民俗博物館公式サイトに掲載します。
【TEL】 050-5541-8600 (ハローダイヤル)
https://www.rekihaku.ac.jp