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目もくらむような豪華な副葬品が埋葬時のまま発見! 古代豪族の実像とは?

 


わが国に歴史書が誕生すると、それぞれの豪族の出自が記される。しかし、それはほとんどが日本古代神話を発祥としており、実際の出自は推測の域を出ない。一方で、現代に残る各地の古墳は被葬者の実在を示しており、その出自を推測させる。そんな豪族の姿を、考古学資料から探ってみよう。


終末期の高松塚古墳やキトラ古墳の描法に優れた壁画古墳群

「画紋帯神獣鏡」/今城塚古墳・資料館展示品 柏木宏之撮影

 

 巨大な前方後円墳などを大王墓といい古墳時代の中心部だった奈良県、大阪府には巨大な大王墓が集中しますが、古墳は全国規模で存在します。古墳は全国に大小1万6000基以上あり、大和王権を支えた豪族たちのものがその大半を占めるのです。

 

 そしてその古墳を調査すると、渡来系文化の痕跡を示すことが多いといえるでしょう。

 

 また地域や時代の差によって古墳の形態や埋葬方式、副葬品にも共通の部分もあれば特異な部分もあるのがおもしろいと思います。

 

『歴史人6月号 古代天皇と古墳の謎 保存版』にも取り上げましたが、福岡県桂川町の桂川王塚古墳のように鮮やかな五色に彩られた装飾古墳や、明日香村にある終末期の高松塚古墳やキトラ古墳のような描法に優れた壁画古墳もあります。被葬者はいずれも不明ですが、当時の王族や地方王の墓であることは間違いありません。

 

 未盗掘で発掘された斑鳩(いかるが)町の藤ノ木古墳からは壁画はありませんでしたが、目もくらむような高級な副葬品が埋葬当時のまま発見されています。

 

 そもそも墓があるということは有力な実在の人物がいたことに他なりません。それが誰であったかがわかれば歴史の証明に直結しますから私たちが知りたいのは当然です。

 

「鉄刀と鉄鏃」/今城塚古墳・資料館展示品 柏木宏之撮影

古代の鏡の時代から武具馬具の時代に移った藤ノ木古墳

 

 副葬品の変化も見逃せません。古墳時代初期は鏡が主流です。古墳時代の始まりは大和王権が急速に支配地域を広げる時代とリンクしていますので、前方後円墳の広がりが大和王権の拡大を証明します。

 

 副葬される銅鏡は、支配権を象徴するシンボルとして中央から地方に下賜(かし)されたとみてよいでしょう。

 

 そして鏡の時代から武具馬具の時代に移ります。

 

 強力で最新の鉄製武具や装備が地方の支配者に配分されます。フル装備した支配者は、その姿を領民に見せたことでしょう。

 

 さらに時代が進むと、美術工芸的に大変優れた装飾品が副葬されます。

 

 とても実用的ではないような装飾された大きな剣や緻密に装飾が施された鞍(くら)などが出土します。これはまさに藤ノ木古墳がその象徴といえるでしょう。

 

 もともと副葬品といえば故人の愛用品が埋葬されましたが、時代と共に支配システムが進み、権力の象徴となる品が墳墓に納められるようになります。出土する副葬品やその欠片から、被葬者の生きた時代背景や文化レベルが判明するのです。

 

 古代大和王権はいわゆる統一国家とはとてもいえませんが、各地の豪族を大和王権への帰属を条件にその地域の支配者として認定し、前方後円墳を許し、支配者としての象徴的な宝物を下賜して大和王権の勢力拡大に成功したのです。そういった流れが、古墳の研究からわかってきています。

 

写真3)「ガラス製管玉飾り」/池田市歴史資料館蔵 柏木宏之撮影

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柏木 宏之(かしわぎ ひろゆき)
柏木 宏之かしわぎ ひろゆき

1958年生まれ。関西外国語大学スペイン語学科卒業。1983年から現在も毎日放送アナウンサー、ニュース、演芸、バラエティ、情報、ワイドショー、ラジオパーソナリティ、歴史番組を数多く担当。現在、アナウンサーを続けながら武庫川学院文学部非常勤講師、社会人歴史研究会「まほろば総研」を主宰。奈良大学通信教育部文化財歴史学科卒業学芸員資格取得。専門分野は古代史。奈良大学卒論は「日本列島における時刻の掌握と報知の変遷」

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