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奥羽の覇者・政宗の聖地めぐりが楽しい話題の映画『政宗ダテニクル』

歴史を楽しむ「映画の時間」第11回 

伊達家17代当主・政宗が父祖伝来の里を守ろうと仲間たちと戦いを挑む!

c)ガイナ/政宗ダテニクル合体版製作委員会

 奥羽の覇者、漆黒の甲冑(かっちゅう)に三日月の前立て、そして隻眼(せきがん)の将――。

 

 『歴史人』の読者なら戦国の武将、伊達政宗(だて・まさむね)に様々なイメージを持っているだろう。では、伊達が興りし地、そして政宗へと連なる歴代当主となるとどうか。

 

 4月1日より公開中の映画『復興応援 政宗ダテニクル 合体版+』は、伊達家17代当主の政宗と、片倉小十郎(かたくら・こじゅうろう)や愛姫(めごひめ)、守役のクロードたちが父祖伝来の里を守るために戦う戦国青春グラフティ。

 

宝玉・冥龍眼を狙う忍びの集団と巨大な軍配団扇を手にした一人の武者

c)ガイナ/政宗ダテニクル合体版製作委員会

 15歳の若き政宗は、初陣を前に伊達の氏神、梁川八幡(やながわ)神社に一人籠り祈りを捧げていた。そこに龍神が現れ、歴代当主の魂が宿る16の宝玉・冥龍眼(めいりゅうがん)を授けられる。

 

 だが、その宝玉は謎の忍びの集団によって狙われていた。討手に襲われる政宗。その時、巨大な軍配団扇を手にした一人の武者が現れる――。

 

仙台のイメージが強い伊達家、果たして本当の故地はどこなのか?

c)ガイナ/政宗ダテニクル合体版製作委員会

 伊達家は、政宗生誕の地で祖父・晴宗(はるむね)、父・輝宗(てるむね)が本拠とした出羽国(でわのくに)米沢や、政宗が35歳で藩祖となった仙台が故地である印象が強い。そのため山形や宮城で興きた一族と思われるやもしれない。

 

 しかし政宗から遡ること400年前の1189年、常陸国(ひたちのくに)真壁郡伊佐荘中村(現・茨城県筑西市)から下野国(しもつけのくに)芳賀郡中村(現・栃木県真岡市)を領する中村氏の一族、中村常陸入道念西(ひたちにゅうどう・ねんさい)が、源頼朝(みなもと・よりとも)の奥州藤原氏征伐の際に上げた戦功から与えられた陸奥国伊達郡の地頭として伊達を名乗ったことにはじまる。

 

 諸説あるが、この常陸入道念西が伊達家の始祖・朝宗(ともむね)と云われ、彼が奉納したと伝わる金塗軍配団扇は800年の時を越え現代に遺されている。

 

 高子岡(たかこがおか)に居城を構えた朝宗と2代宗村(むねむら)。桑折(こおり)の粟野大館(あわのおおだて)に拠点を移した3代義広(よしひろ)。11代持宗(もちむね)は梁川城を築き、14代稙宗(たねむね)は桑折(こおり)西山城を本拠にして、伊達氏は伊達郡で家勢を強めていったのだ。

 

舞台となる「伊達の里」風景に描きこまれた史跡の数々で聖地めぐりを楽しもう

c)ガイナ/政宗ダテニクル合体版製作委員会

 『政宗ダテニクル』は6話までYouTubeで公開されているウェブアニメ。劇場版は、そこに新たなキャラクターとエピソードを加えた作品になっている。

 

 2016年から2018年にかけて、アニメ制作会社福島ガイナ(旧福島ガイナックス)と福島県伊達市の共同制作で配信された本作は、伊達の地で活躍した人々をモチーフにしながら、伊達を育んだ「聖地」を実際に歩いても楽しめるよう、ご当地アニメとして考えられた企画だ。

 

 そのため、舞台となる伊達の里の風景には、多くの史跡が描き込まれている。

 

 政宗を助けるために現れるご先祖様たち。この作品をきっかけに、政宗以前にも伊達を背負い里を守った当主たちがいた歴史に想いを馳せてみてはいかがだろう。

 

 なお本作は、東日本大震災の発生から10年、そしてこれからも続く復興への祈念を込めた作品でもある。収益の一部は、東北復興の支援金として寄付される。

 

 

【映画情報】

大ヒット上映中!

『復興応援 政宗ダテニクル 合体版+』

c)ガイナ/政宗ダテニクル合体版製作委員会

監督/清丸悟

出演/村瀬歩、ブリッドカットセーラ恵美、保志総一朗、小林裕介、森川智之、石川界人、梅原裕一郎、天月、KENN、松岡禎丞、山下大輝、増田俊樹、遠藤広之、内田雄馬、土田玲央、逢坂良太、山口立花子、田中音緒、森岡由花、山本兼平、代永翼

 

時間/85分 製作年/2021年 製作国/日本

公式サイト

https://datenikuru-gattaiban.com

 

 

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隆次郎太郎りゅう じろうたろう

朝ドラ、大河ドラマを好んで観る。印象深い作品は『風と雲と虹と』『北条時宗』『澪つくし』『カーネーション』『半分、青い。』『スカーレット』。和田勉作品の『けものみち』『天城越え』も好きです。趣味は地形を味わいながらの散歩。

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古代の都と遷都の謎

「古代日本の都と遷都の謎」今号では古代日本の都が何度も遷都した理由について特集。今回は飛鳥時代から平安時代まで。飛鳥板蓋宮・近江大津宮・難波宮・藤原京・平城京・長岡京・平安京そして幻の都・福原京まで、謎多き古代の都の秘密に迫る。遷都の真意と政治的思惑、それによってどんな世がもたらされたのか? 「遷都」という視点から、古代日本史を解き明かしていく。