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埴輪で飾る? 古代の死後世界観を推理する~同じ感情を持ったご先祖様たちの生活を「歴史遊び」で追体験してみよう!

[入門]古墳と文献史学から読み解く!大王・豪族の古代史 #005

さまざまな形を模した「形象埴輪」

高槻市今城塚古墳公園「形象埴輪」

 現代の私たちは「死んだらどうなるのか? 死後の世界とはどんなところなのか?」などと考えます。「死んだらそれまでさ」というドライな方も増えているでしょう。

 

 実は私も死後の世界など無く、生きている人の心の中にこそ死後の世界があるんじゃないだろうかと考えています。お葬式などはまさに死者に手向ける、生き残った側の気持ちの整理のための儀式であると考えています。その後の法要なども、やはり残された者の気持ちの整理が目的だと思っています。でもそれは、とても大切な事なのではないかと強く思ってもいます。

 

 「墓に埋葬する」という行為は、縄文時代に始まります。そして徐々に「特別な墓」が現れます。その最たるものが王墓と呼ばれる巨大な古墳でしょう。

 

 古墳時代のご先祖様たちは、いったいどんな死後世界観を持っていたのでしょう?「前方後円墳」といいますが、本当はどっちが前で後ろかは確定されていません。

 

 そして古墳の特徴といえば、埴輪が多く作られて並べられていることが挙げられるでしょう。

 

 埴輪は土管のような「円筒埴輪」と、さまざまな形を模した「形象埴輪」に分けられます。

 

墳丘の各段に隙間なく立てられる「円筒埴輪」

高槻市今城塚古墳公園 円筒埴輪列

 円筒埴輪は墳丘の各段に隙間なく立てられていますので、ものすごく多く作られます。形象埴輪には人物であったり、建物であったり、馬や犬、水鳥や武器などがあります。人物も女性や兵士、中には相撲取りもいたりします。土を焼いて作る埴輪で立派な宮殿をジオラマ風に並べたり、兵士が行列を作っていたり、それはそれは古代の大王の暮らしが垣間見えるようなすばらしさがあります。

 

 でも、なぜそんなジオラマ世界を造ったのでしょうか?

 

 おそらく、被葬者が死後の世界で不自由しない事を願って供えたのでしょう。あちらの世界でも、この世と同じように大王として申し分なく暮らせるようにと願ったのではないでしょうか。

 

 つまり仏教伝来以前の古墳時代の人々には、すでに「死生観」というものがあったという証拠です。被葬者の生前の権威を称え死後の世界が幸せであれという、残された者の気持ちが巨大な古墳を造り、膨大な数の埴輪や豪華な副葬品を供えたのでしょう。

 

 そういった死者と死後の世界に対する考え方は現代人にも理解できるといえますね。

 

 それにしてもご先祖様たちは、いったいどんな死後の世界を思っていたのでしょうか? そんなことを好き放題に話して楽しむのも、歴史遊びになりますね。現代の私たちと同じ感情を持ったご先祖様たちの生活を再現し、理解しようとする。歴史とはそういう、とても楽しい世界だと思いますよ!

(次回に続く)

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柏木 宏之(かしわぎ ひろゆき)
柏木 宏之かしわぎ ひろゆき

1958年生まれ。関西外国語大学スペイン語学科卒業。1983年から現在も毎日放送アナウンサー、ニュース、演芸、バラエティ、情報、ワイドショー、ラジオパーソナリティ、歴史番組を数多く担当。現在、アナウンサーを続けながら武庫川学院文学部非常勤講師、社会人歴史研究会「まほろば総研」を主宰。奈良大学通信教育部文化財歴史学科卒業学芸員資格取得。専門分野は古代史。奈良大学卒論は「日本列島における時刻の掌握と報知の変遷」

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