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そもそも古墳ってどこが面白いの? ~時空を超えて現代に姿を現す古代人の生活

[入門]古墳と文献史学から読み解く!大王・豪族の古代史 #001

建築以前の土木技術や古代社会がわかる

伝履中天皇陵・百舌鳥古墳群ミサンザイ古墳

伝履中天皇陵・百舌鳥古墳群ミサンザイ古墳

 世界遺産への登録や新発見、女性の歴史ファンが増えたことなどで、「古墳ファン」が増殖中だそうです。私も子供の頃から古墳が大好きです。どこが面白いの?と訊かれることもしばしばですが、何と答えればよいのかいつも困ります。

 

 しいて言えば、人生はいくら頑張っても100年程度、しかし厳然と存在する古墳ははるかに昔の物です。

 

 そして古墳は古代に生きていた人々が手造りした巨大な構築物である事は間違いありませんし、人間を葬った墓であることも事実です。当然、副葬品や人骨が出てくることもあります。それらは時空を超えて現代に姿を現した古代人の生活そのものだとも言えます。古墳はご先祖様たちが実際に生きていた時代、その証であるように思えるのです。

 

 また発掘の本来の目的である、出土物の調査研究で埋葬当時の技術や社会までを再現できることが興味深いですね。古墳そのものの調査も大切です。

 

・基礎はどのように造られているのか?
・土はどこから運んできたのか?
・元の地形をどう利用しているのか?
・巨大な石棺はどこの石を使っているのか?

 

 など、そういった調査と研究をすると、それを考えて造った当時の人たちの知識や技術まで解明できます。大王や豪族たちの生活までうかがい知ることができます。

 

 わが国の木造建築で現存するもっとも古いものは、世界遺産に登録されている斑鳩の法隆寺ですが、それより古い時代の建物はありません。しかしはるかに古い時代の、土を固めて葺石で形を守った古墳は、現代にもその姿を堂々と残しています。世界遺産に登録された百舌鳥・古市古墳群などがそうなのです。

 

 考古学の調査は多岐にわたりますが、やはりタイムカプセルのような古墳の調査は興味深いですね。その上、誰が埋葬されているのかがほとんどの古墳で不明なのです。出土物や文献との比較研究で行う「被葬者論争」は一般の人も巻き込んで、時に大ブームを巻き起こします。

 

古代人が現代人に突き付けた謎解きのようで、そんな楽しみ方も古墳はさせてくれるのです。

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柏木 宏之(かしわぎ ひろゆき)
柏木 宏之かしわぎ ひろゆき

1958年生まれ。関西外国語大学スペイン語学科卒業。1983年から2023年まで放送アナウンサー、ニュース、演芸、バラエティ、情報、ワイドショー、ラジオパーソナリティ、歴史番組を数多く担当。現在はフリーアナウンサーと同時に武庫川学院文学部非常勤講師を務め、社会人歴史研究会「まほろば総研」を主宰。2010年、奈良大学通信教育部文化財歴史学科卒業学芸員資格取得。専門分野は古代史。歴史物語を執筆中。

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