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伊勢一宮と聞いて伊勢神宮と思い浮かべた人「おそらく間違いです」文句なしの伊勢一宮へ【行きづらい神社】

神社仏閣好きラノベ作家 森田季節の推し寺社ぶらり【第44回】


※移動には公共交通機関を利用しています。

椿大神社の参道入口

■特殊なルートで観光しがてら椿大神社に参拝

 

 日本の令制国(武蔵とか山城とか筑前とかいったもの)で社格が最も高い神社である一宮。では伊勢国の一宮はどこでしょうか? 真っ先に伊勢神宮が思い浮かんだ方、基本的には間違いです。「基本的には」と補足をつけたのは現在の一宮が政府の書類で公式に定められているようなものではないからです。実際、一宮を主張する神社が複数ある国もありますし、別にどちらかが裁判で負けて一宮を名乗れなくなるといったこともありません。

 

 とはいえ、一宮を紹介する媒体で、伊勢神宮は一宮に加えられていないのが一般的です。伊勢神宮は伊勢の代表ではなくて、日本の神社全体の代表として扱われることが多いです。例としては変かもしれませんが、岩手県出身の大谷翔平選手を他県の野球少年もあこがれているようなものでしょうか。

 

 では、どこが伊勢一宮かというと、(ほかにも候補という神社はありますが)椿大神社(つばきおおかみやしろ)がその候補です。一宮なのもむべなるかなという大規模な神社で、猿田彦大神を祀り、境内の別宮ではその妻の天之鈿女命(いわゆるアメノウズメ)を祀っています。さて、この神社、どの駅からも遠いです。近鉄四日市駅からのバスは約55分、平田町駅からは約50分。JRの小さな駅からもかなりかかります。公共交通機関で向かうのがなかなか大変です。

 

 せっかくなので、特殊なルートでもう少し観光をしてから椿大神社に参拝することにしました。まず近鉄四日市駅から四日市あすなろう鉄道に乗り換えます。ナローゲージという幅の狭い線路の鉄道のため、車内も妙にコンパクト。不思議な乗車体験ができます。

四日市あすなろう鉄道

 終点の内部(うつべ)駅で降りて、四日市駅からやってきたバスに乗車。少し乗ると石薬師宿(いしやくしじゅく)という東海道の宿場の入り口に到着します。

 少し宿場を歩き、歌人の佐佐木信綱の生家跡に建つ資料館を見学。宿場の逆側のほうから鈴鹿市コミュニティバスのバス乗り場へ。寄り道をすることでレアな鉄道に乗ったり、宿場を歩いたりできました。資料館はバスの時間が迫っていたので3分ほどしか見られませんでしたが……。

 

 10時30分発のコミュニティバスがほぼ定刻にやってきました。これが途中の停留所で椿大神社へ向かう別のコミュニティバスに接続しています。無事に乗り換えも成功し、ほぼ定刻の11時14分に椿大神社に着きました。

 

 参拝した日は平日でしたが、境内は人気観光地と言っていいほどににぎわっていました。伊勢、現在の三重県の人々に深く愛されていることを実感いたしました。

 

椿大神社への参拝はちょうど七五三詣の時期でした

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森田季節もりたきせつ

1984 年生まれ、兵庫県出身。作家。東北芸術工科大学特別講師。京都大学文学部卒業、京都大学大学院文学研究科修士課程中退(日本史学専修)。大学院在学中の2008年、『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』で第4回MF文庫Jライトノベル新人賞優秀賞を受賞してデビュー。主な著書に『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』(GAノベル)、『物理的に孤立している俺の高校生活』(ガガガ文庫)、『ウタカイ 異能短歌遊戯』(ハヤカワ文庫)などがある。

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