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【行きづらい神社】唯一無二の空間を求めて片道60分以上…コミュニティバスに揺られて栃木にある有名観音霊場へ

神社仏閣好きラノベ作家 森田季節の推し寺社ぶらり【第43回】


※移動には公共交通機関を利用しています。

 

■北関東らしいアクシデントに見舞われながら

 

 観光地でもある都市の最寄り駅からバスで観音霊場へ――こう書くとごくありふれた観光寺院で、行くのが大変でも何でもないように思えます。しかし、そのバスの乗車時間が1時間オーバーとなると、なかなかきついですよね……。

 

 坂東三十三観音霊場の札所の一つ、出流観音満願寺(いずるかんのんまんがんじ)。メジャーな観音霊場の一箇所ですから、参拝したことのある方も多いかと思います。しかし、この寺院、公共交通機関だけで向かう場合、蔵の街として知られる栃木の中心駅、栃木駅から60分以上バスに揺られる必要があります。

 

 自分が出流観音に参拝しようとした日もまず栃木の古い街並みを散策してから、昼過ぎにバスで向かうというスケジュールでした。ですが、街を見学して栃木駅に戻ってきたところで北関東らしいアクシデントが起きました。ゲリラ豪雨、いやゲリラ雷雨です! 駅構内から一歩も外に出られないような、とてつもない雨がバチバチ音を立て、近場でも雷が落ちました。駅を出ると命にかかわるので、ひたすら待ち続けることしかできませんでした。ぶっちゃけたところ、この時点では出流観音参拝も中止だなと思っていました。

 

参拝中止もよぎったゲリラ雷雨

 と思っていたら、バスの発車時刻の少し前に雨が上がり、さっきの豪雨なんてなかったみたいに晴れだしました。これって行っていいんだろうか……。激烈に川が増水していたりしないだろうか……。少し迷いましたが、結局コミュニティバスに乗り込みました。60分を超える乗車時間はなかなかのものですが、往路は楽しみがまさるのでそんなにつらくはありません。

 

 到着した出流観音は著名な観音霊場らしく、豪壮な仁王門や本堂が参拝者を迎えてくれます。ですが、この寺院の本体はこの先の奥之院です。出流川の源流である大悲の滝もこちらの方向にあるので、ここはぜひ行ってみましょう。

 

森に取り込まれたような巨大な懸造

 山道を森林浴しながら歩いていくと、細い谷の中に埋め込むように巨大な懸造(かけづくり/清水の舞台のような構造の建築)の建築が。これが奥之院です。この中にはなんと鍾乳石によって作られた観音様が祀られています。言葉にすると伝わりづらいのですが、本当に鍾乳石が観音様の像のように見えるんです。いろんな仏様を目にしてきましたが、出流観音の奥之院は今でも強く記憶に残っています。豪雨の直後に突っ込んでいった霊場ですが、来てよかったと思いました。数ある観音霊場の中でも出流観音は唯一無二の空間です。

 

 ちなみに豪雨の後なので、草木がぐっしょり濡れまくっていました……。行き帰りで草木の水分をだいぶ吸い取ることになったと思います。どうせなら前日から晴れていたタイミングで行くべきだったかもしれませんね……。

 

雨が降ってしっとりとした道を行くことに

 

 

 

 

 

 

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森田季節もりたきせつ

1984 年生まれ、兵庫県出身。作家。東北芸術工科大学特別講師。京都大学文学部卒業、京都大学大学院文学研究科修士課程中退(日本史学専修)。大学院在学中の2008年、『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』で第4回MF文庫Jライトノベル新人賞優秀賞を受賞してデビュー。主な著書に『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』(GAノベル)、『物理的に孤立している俺の高校生活』(ガガガ文庫)、『ウタカイ 異能短歌遊戯』(ハヤカワ文庫)などがある。

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