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公私に関係なく注目を集める「天皇御一家」 どんなお仕事を抱え、どのような日々を過ごしているのか?

宮家の歴史とは #03

 

菊紋

 

■多くの仕事を抱えてお忙しい日々を過ごす

 

 天皇ご一家の活動は公私に関係なく注目を集める。どちらかといえば静養中など、私的なことの方が関心は高いだろう。

 

 天皇の行為について、政府は①国事行為②公的行為③その他の行為の3つに分類している。皇族の行為についても天皇に準じている。①の国事行為は憲法に規定されている法律の公布などである。天皇の日程で毎週火、金曜日にご執務というものがある。これは内閣からの書類を天皇が決裁などをする国事行為で、年間で100回程度、書類の数は昨年895件だった。この仕事は国内にいる限り、静養中でも地方訪問中でも行う。

 

 我々が目にする活動のほとんどが②の公的行為である。宮中での行事、外国訪問や地方訪問、式典への臨席などがこれにあたる。拝謁など宮中で行われた行事だけで昨年は240件あった。

 

 ③のその他の行為には宮中祭祀や天皇の稲作、皇后の養蚕のほか、純粋な私的行為である研究、音楽、スポーツや御用邸などでの静養がある。愛子内親王の日本赤十字社での仕事もここに分類される。

 

 天皇皇后の昨年1年間の日程を見ると、宮中祭祀を含めて、行事などが行われた日数は天皇が220日ほど、皇后が110日ほどだったが、この数字は行事などが行われた日数であって、実態を表していない。資料を読んだり、説明を受けたり、お言葉の推敲をしたりするなど、外部からは見えない仕事が相当あるからである。

 

 忙しい日々を過ごす天皇皇后だが、残念ながら若年層になるほど皇室への関心は低い。宮内庁は主に若い人たちに皇室の活動や正しい情報を知ってもらうために今年4月にインスタグラムを始めた。ここでは天皇ご一家の公的な活動だけではなく、御料牧場での静養中の写真など、私的な写真も投稿している。平成時代より一歩進んだ令和流の広報といえるが、今後、秋篠宮ご一家に関することも含めて、ますます充実していくだろう。
(敬称略)

 

監修・文/山下晋司

『歴史人』2024年10月号「天皇と皇室の日本史」より

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