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日向灘の荒波が打ちつける、「絶景」を楽しむ神社 鵜戸神宮/宮崎県日南市

神社仏閣好きラノベ作家 森田季節の推し寺社ぶらり【第34回】


 

■青い海と白い波、神社の朱色に緑の木々

 

 海沿いで荒波が打ちつけてくるような神社は、鳥居だけが岩場にあるようなものも含めると、おそらくけっこうな数があります。日本は海に面してる場所も多いですし、小さな祠を設置すれば神社と言えなくもないので。ただ、スケールの大きな神社ということで考えれば、ここが一番ではないでしょうか。宮崎県の鵜戸(うど)神宮です。

雄大な日向灘を眺めながら境内を進む

 知名度で言えば、鵜戸神宮は宮崎県内で一番知られた神社でしょう。青島神社や高千穂の複数の神社も知られていますが、写真でのインパクトで言えば鵜戸神宮が圧倒的かと思います。この鵜戸神宮、最寄りバス停まで宮崎の市街地からもバスで一本で行けますが、乗車時間が長いので、時間に余裕があれば油津(あぶらつ)を観光して、こちらから北上することをオススメします。少なくとも広島ファンの方は必ず油津には行きましょう。駅からして見事なカープカラーですし、カープグッズを多数置いている鯉神社なる場所まであります。

 

 油津からバスで鵜戸神宮に北上します。断崖絶壁が見えるような場所まではそこそこ距離がありますが、歩いていきましょう。ちなみに観光客には不人気な山中の神社に向かうような石段のルートもあります。こちらを行くと途中で初代別当の墓の案内が出てきます。実は鵜戸神宮は長らく寺院でした。といっても相当に神仏習合した形態をとっていたと思いますが。僧侶の墓地が集まっているところを通って神宮に向かうこともできます。

 

 このまま進むと、いよいよ写真などでよく目にする断崖絶壁を見下ろす景観が近づいてきます。門をくぐって、朱塗りの反り橋を渡るあたりがビュースポットで、岩と岩の間に白波が入り込んでくる様子は本当にテンションが上がります。こんなところに社殿があったらすぐに潮風で腐食しそうですが、約300年前の社殿が洞窟の中に格納されるようにしっかり守られています。

 

岩屋の中に建てられた本殿

 洞窟の中に神社があるだけでも楽しいのですが、奇岩に波が寄せてくる様子は飽きずにずっと見ていられます。波の威力がイメージより強くてたまに怖くなりますが、だからこそ人間のちっぽけさを実感できます。ここが信仰の拠点になったのもわかります。遠方から行く人は晴れてる日を狙いすまして行くのも難しいと思いますが、ここはできるだけ快晴の日に訪れてほしいです。曇りや雨の日より3割増しで神々しく感じると思います。派手な景観を見ているからか、知らないうちに笑ってしまいます。統計をとったわけではないですが、著名な寺社の中でも笑ってる人の率がことさら高い気がしました。

 

 鵜戸神宮の参拝を終えたら、バスで北上しましょう。青島などもこのバス路線に面しているのでこちらもセットで観光できます。

 

引き潮時には「鬼の洗濯板」があらわれて陸続きとなる青島

 

 

 

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森田季節もりたきせつ

1984 年生まれ、兵庫県出身。作家。東北芸術工科大学特別講師。京都大学文学部卒業、京都大学大学院文学研究科修士課程中退(日本史学専修)。大学院在学中の2008年、『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』で第4回MF文庫Jライトノベル新人賞優秀賞を受賞してデビュー。主な著書に『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』(GAノベル)、『物理的に孤立している俺の高校生活』(ガガガ文庫)、『ウタカイ 異能短歌遊戯』(ハヤカワ文庫)などがある。

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