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茶色いは正義! わざわざ食べに行きたい「あぶらあげ」みちのくで食べ歩きを楽しめるお寺 定義如来 西方寺/宮城県仙台市 

神社仏閣好きラノベ作家 森田季節の推し寺社ぶらり【第28回】

 


津々浦々の神社・仏閣を訪ね歩くことを趣味にしているライトノベル作家の森田季節さん。全国に約16万もあるという神社・仏閣の中から、知見を生かしたマニアックな視点で神社・仏閣を紹介! あなたをめくるめく寺社探訪の旅に招待します。興味を持った方はぜひ現地に訪れてみよう。


 

フードだらけの観光マップ(2018年訪問時)

 

■絶品グルメで移動疲れも吹き飛ぶ

 

 まったくどうでもいいことなのですが、複数の表記や発音が混在している場所を表記する時、気をつかいます。この定義如来もそうで、正式名称は西方寺ですが、仙台では定義如来とか定義山という表現が使われています。さらにややこしいことに、この定義が「じょうぎ」「じょうげ」とも読まれます。なので、意図的にルビを振るのを放棄しています。表記の統一ってなかなか難しいですね……。

 

 この定義如来自体は平家の落人伝説を縁起に持つ古刹で、仙台郊外の主要な観光地の一つです。観光名所の寺社なら日本中にありますが、この定義如来周辺は「食」に特化しています。しかも、やたらと茶色ばかりです。

 

 仙台駅からバスで1時間以上揺られて最寄りのバス停に到着したら、まず大規模な伽藍のお寺を参拝しましょう。無事に参拝が終わったら、ここから食事タイムです。まずは参道のお店(店舗名がわかる写真がないのですが、おそらく「はやとみ」というお店)で「やきめし」と味噌おでんを購入しました。この場合の「やきめし」はチャーハンのことではなくて、味噌味の焼きおにぎりみたいなものです。食べる前から味は想像がつきますが、これがうまい!

 

味噌の香りが食欲を誘う「やきめし」と「味噌おでん」

 続いて、定義とうふ店でビッグサイズのあぶらあげを購入。これもテイクアウトでいただきます。シンプルだからこそ、品質がいいのがわかります。自分が訪問した際は豆乳も販売していたので、こちらも注文。これが本当に感動的な味でした。長時間のバス移動の疲労が消えていくのがわかります。もはや回復アイテム!

 

 まだまだお店はあります。清水館というお店でずっしり入った揚まんじゅうを購入。量が多いので現地では食べきれませんでしたが、こちらもあとでおいしくいただきました。

 

 寺社の門前で名物のお餅や団子は多いですが(たとえば、過去に記事で紹介した長谷寺の草餅)、短い距離に何種類もテイクアウトできるフードが集まってるところはなかなかないと思います。しかも、やけに茶色い。映える写真とは真逆の価値観がこの土地にはしっかり残っています。

 

サクサクの「三角定義あぶらあげ」と「揚まんじゅう」

 今の時代、それなりにおいしいものはどこででも食べられます。だからこそ付加価値の情報が求められがちで、SNSにアップしたくなる料理なども生まれているのだと思います。そして、付加価値という観点から見ても、参道の店舗でいろんなものをピックアップして楽しめるというのは十二分に強いです。事実、定義如来でやたら茶色いものばかり食べたなという記憶は強固に残っています。

 

 もちろん、定義如来も見事な伽藍が広がっていますので、寺社好きの期待も裏切りません!

 

 

 

 

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過去記事

森田季節もりたきせつ

1984 年生まれ、兵庫県出身。作家。東北芸術工科大学特別講師。京都大学文学部卒業、京都大学大学院文学研究科修士課程中退(日本史学専修)。大学院在学中の2008年、『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』で第4回MF文庫Jライトノベル新人賞優秀賞を受賞してデビュー。主な著書に『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』(GAノベル)、『物理的に孤立している俺の高校生活』(ガガガ文庫)、『ウタカイ 異能短歌遊戯』(ハヤカワ文庫)などがある。

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