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戦艦「大和」に搭載された艦載水上機とは?

「戦艦大和」物語 第6回 ~世界最大戦艦の誕生から終焉まで~


戦艦「大和」には、他の戦艦と異なり艦内に艦載機の格納庫が設けられていた。海外にも供給されたというその艦載機は、どのような性能を有していたのだろうか?


零式水上偵察機は3座で、当時としては優れた艦載機であった。索敵以外にも対潜哨戒などに重宝された。日本と良好な関係にあったタイにも供給されている。

 本連載でちょっと記したように、遠距離砲戦では敵艦は「地球の丸み」の向こう側に隠れてしまう。なので、アウトレンジ射撃を加えるには自らが飛ばした着弾観測機による弾着修正が不可欠だった。

 

 そのため、太平洋戦争に参加した日本海軍の戦艦12隻は全て艦載機(かんさいき)を搭載していたが、設計上、最初から艦載機の搭載を考慮して、艦内に艦載機格納庫を設けたのは大和型だけであった。他の戦艦では、艦載機を甲板上に露天係繋していたので、悪天候や主砲発射時の爆風で損傷することもあり、それを避けるためである。

 

 とはいえ、航空母艦のように艦載機格納庫に艦載機を運ぶエレベーターはなく、艦尾に設置されたクレーンを使って、着水した艦載機の艦上への揚収や、艦載機格納庫への上げ下げを行った。なお、このクレーンは艦載舟艇の揚収と物資の積載にも利用されている。

 

 艦載機の発艦は、左舷(さげん)と右舷(うげん)に1基ずつ計2基が装備されたカタパルトからの射出である。だが海面が平穏でその必要があれば、クレーンを用いて艦載機を海面に降ろし、水面滑走で発進させることもできた。

 

 大和型では、設計段階で予定されていた艦載機と、実際に就役してから配備された艦載機の機種が異なるため、搭載機数については、就役後の機数となる。搭載された機種は、連合軍コードネームでピート(Pete)と呼ばれた複葉複座の零式観測機と、同じくジェーク(Jake)と呼ばれた単葉3座の零式水上偵察機であった。

 

 このうち、零式観測機は弾着観測が主任務でその他に対潜哨戒(たいせんしょうかい)などにも使われ、零式水上偵察機は索敵が主任務ながら、零式観測機と同様の任務にも使われている。これらの機種のうち、もし前者だけを搭載するなら格納庫に6機を収納し、カタパルト上にそれぞれ1機ずつ載せて計8機の搭載が可能で、後者だけを搭載するなら格納庫に5機を収容し、カタパルト上の2機と合わせて7機となる。だが結局、大和型は最後まで最大機数を搭載することはなかった。

 

 戦艦「大和」最後の出撃となった沖縄海上特攻では、搭載していたわずか1機の零式水上偵察機を、坊ノ岬沖(ぼうのみさきおき)海戦が始まる前に発艦させており、同機は指宿(いぶすき)基地に無事帰り着いている。

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白石 光しらいし ひかる

1969年、東京都生まれ。戦車、航空機、艦船などの兵器をはじめ、戦術、作戦に関する造詣も深い。主な著書に『図解マスター・戦車』(学研パブリック)、『真珠湾奇襲1941.12.8』(大日本絵画)など。

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