×
日本史
世界史
連載
ニュース
エンタメ
誌面連動企画
通販

江戸に生きた人々の明日への活力に触れる『大江戸の華―武家の儀礼と商家の祭―』─江戸東京博物館特別展

 「大江戸」——この言葉は、世界有数の大都市であった江戸の活発かつ明るい印象を想起させる。18世紀初頭、江戸は推定で100万人もの人口を擁する都市であった。東京都江戸東京博物館は、この夏、特別展「大江戸の華」を開催し、都市江戸の活発で明るい一面に迫る「大江戸の華―武家の儀礼と商家の祭―」を開催する。

 

 本展では、江戸の武家や商家の儀礼、祭などの年中行事をとりあげ、江戸の人びとの暮らしや人生におけるハレの場面や舞台を描く。江戸東京博物館が所蔵するコレクションからよりすぐりの品々はもちろん、国内各所から優品を集めるとともに、イギリス・アメリカからも二領の鎧が日本に里帰りする。これらの品々は、江戸に生きた人々の明日への活力を私たちに伝えてくれるはずだ。

 

 “ハレという場面や舞台が明日への活力に通じる。このことは江戸時代に限ることではなく、現代のわれわれにも通じることではないだろうか。本展覧会がコロナ禍に見舞われたこの時代にあって、明日への活力を考える場になることだろう。

銀小札変り袖白糸威丸胴具足(左)、獅子頭(中央)、白麻地御殿模様茶屋染帷子(右)。いずれも江戸東京博物館所蔵

【第1章】 式正(しきしょう)
―武器と儀礼―天下泰平の江戸時代。その時の武家の姿とは?

実用性よりも審美性が重視されるようになった 鎧や武器の数々をダイナミックに展示!!

 

白紺糸威丸胴具足。徳川家の威勢を伝える具足。江戸時代後期 江戸東京博物館/所蔵

 

 慶長8年(1603)、征夷大将軍となった徳川家康が江戸に幕府を開いて以来、江戸は全国政治の拠点にふさわしい、天下の惣城下町として急速に整備された。将軍の居所であり政庁でもあった江戸城の周囲には、将軍の直参である旗本・御家人、全国から参勤する大名やその家臣らが集住していた。

 

 戦乱が収束して「泰平の世」となると、「弓馬の道」といわれた武芸よりも、主君への忠義や父祖への孝とともに、家の序列やその秩序を維持するための儀礼が武家に求められるようになる。それにともない、彼らの身分を象徴する表道具である具足や刀剣も、戦場とは異なるさまざまな儀礼の場で用いられ、独自の役割を果たしていくようになったのだ。

 

 

【第2章】 年中行事
―お稲荷さまと雛祭り―迫力ある大型の祭道具が続々! 商家の暮らしから紐解く江戸の祭

お稲荷様のお社や四神旗、獅子頭など 大商人による貴重な祭道具が集結。
江戸時代の祭を臨場感溢れるリアルさで再現!!

 

四神旗。初午の祭を彩る。弘化5年(1848)2月 江戸東京博物館/所蔵

 

 幕府による都市計画のもと、インフラや支配の仕組みが整えられた江戸の町は、18 世紀初頭には推定人口百万人を越える世界でも有数の大都市となった。全国からさまざまな人・物・情報が集まり、江戸は流通・経済の中心地としても大きな発展を遂げる。

 

 江戸の発展は、いくつもの店舗を構え、手広く商業活動を展開した、大店といわれる巨大な商人を生み出した。その豪壮な暮らしの中で用いられた調度の数々は、 大名家のそれとくらべても見劣りしないものである。このような江戸の大店のひとつが、 鹿嶋屋東店(かじまやひがしだな)だ。江戸の鹿嶋屋といえば、下り酒問屋の鹿嶋 清兵衛家(本店、ほんだな)が有名だが、同家四代目清兵衛は、深川島田町に分家の東店を出し、清左衛門を名乗った。鹿嶋清左衛門の東店は江戸時代後期から幕末にかけて経営を拡大し、本店にも劣らぬ、江戸屈指の大店に成長した。

 

 この鹿嶋屋東店では、さまざまな行事が執り行われていた。
 東店の屋敷神である富永稲荷の祭や雛祭りから、大店、ひいては町人の暮らしにおける“ハレ”の場面に迫る。

 

 

【第3章】 憧憬(どうけい)
―彩りの道具と装い―細かな技巧が光る道具から、武家を支えた女性達の知られざる姿に迫る

雛人形や小袖など豪華絢爛な道具。 時代を支えた武家の女性達の姿に迫る!!

教養を問う文学的文様「紫縮緬地御所解模様小袖」 江戸時代後期江戸東京博物館蔵

 江戸時代は身分制度が徹底されており、人々は生を受けた家によって将来進むべき道が決められていた。また、生まれもった性別でも背負う役目は異なった。

 

 軍事力が求められた武士の家では、表の場に女性たちが出ることはほとんどなかった。武家社会において女性たちが担っていた大きな役割の一つとして、その核となる家を守り、次の世代へと繋ぐことがあった。彼女たちは婚礼を通して家と家の橋渡し役となり、世継ぎを立派に育て上げることで、家の繁栄をささえた。表舞台に立たない代わりに、男性とは違った手段で江戸の発展を導いたのだ。

 

 「大江戸の華―武家の儀礼と商家の祭―」では武家の女性たちにとって大きな役目であった「婚礼」と「子育て」に注目し、江戸の繁栄を影か ら支えた彼女たちの姿を紐解く。

 

 

【特別展「大江戸の華―武家の儀礼と商家の祭―」開催概要】

会期:7月10日(土)~9月20日(月・祝)
開館時間:午前9時30分~午後5時30分 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日(ただし7月26日、8月2・9・16・30日、9月20日は開館)、および8月10日(火) ※会期中に展示替えがございます。
※新型コロナウイルス感染症などの状況によって、会期・休館日・開館時間・観覧料・各種割引サービ ス等を変更する場合がございます。
主 催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都江戸東京博物館、読売新聞社、文化庁、独立行政法人日本芸術文化振興会
一般からのお問い合わせ:東京都江戸東京博物館 ℡:03-3626-9974(代表)
https://www.edo-tokyo-museum.or.jp

KEYWORDS:

過去記事

最新号案内

歴史人 2021年10月号

秘密のしきたり、序列、給料、床入り、事件…徹底解明

江戸時代の象徴であった「江戸城」と「大奥」とは何だったのか─ 徳川家康から15代続いた江戸幕府。その象徴は江戸城であった。そこは将軍が大名と謁見する「表」、将軍の生活の場であり、多数の役人たちが公務を行う「中奥」、将軍の正室が居住する「大奥」が存在した。今回の特集は、知られざる将軍の日常生活、諸大名との公式行事から、大奥女性の生活、さらに幻の4代目江戸城天守の実態まで、最新研究でわかった江戸城、将軍、大奥のすべてを明らかにする。