「石垣と土の遺構」だけでなく「天竜川越しの遠景」も美しい! 武田と徳川が攻防戦を繰り広げた「天竜二俣の名城」とは?

二俣城の天守台石垣
■天竜二俣に残る石垣の城を見る
二俣城は二俣川と天竜川が合流する地の断崖上に築かれた城で、徳川家康の嫡男・信康が悲劇の死を遂げた城として知られています。
最寄り駅は天浜線の二俣本町駅。そこから北西に歩いて10分ほどの場所にあります。反対に駅から南西に15分ほど歩いた場所には鳥羽山城があり、この2城は一城別郭(いちじょうべっかく)、つまり2つで一つの城という関係です。一城別郭といえば同じ静岡県内に高天神城がありますが、どちらも武田と徳川の間で激しい攻防戦が繰り広げられています。
ちなみに二俣本町駅の1つ前が天竜二俣駅。「シン・エヴァンゲリオン劇場版」で登場する第3村のモデルとして知られ、車両基地には「ロンギヌスの槍」が突き刺さっています。レアな光景なので、興味のある方は車両基地見学ツアーに参加してみてください。
さて、本題に戻ります。
駅を出たらまずは鳥羽山城へ。大手道は県内有数、約8mの幅を誇る立派なものです。足を進めると大手門。石垣は「見せる」ことを意識した大ぶりの石が使われています。本丸には珍しい庭園遺構が残っており、防御より居住性を重視したつくりといえます。そのため本丸には迎賓機能を備えた領主の館があったと考えられています。

鳥羽山城の大手門
本丸南側にある展望台からは浜松方面が一望でき、本丸西側の巻石垣も見事なので忘れずにチェックしましょう。
ぐるりと城をまわったあとは、ここから二俣城に向かわず、いったん山を降りて天竜川を渡ることをオススメします。トンネルを使う手段もありますが、旧田代家住宅へ向かう道を進むと、江戸時代から明治時代に村人や旅人が利用した古道を通ることができます。
旧田代家住宅に立ち寄りつつ、天竜川をわたって西に向かうと右手に納涼亭が見えてきます。ここを越えた先に開けた場所がありますので、そこから天竜川越しの鳥羽山城を楽しみましょう。城の防衛ラインがよくわりますし、何より景色が見事です。

天竜川越しに鳥羽山城を望む
■自然地形をいかした軍事要塞、二俣城へ
十分に景色を楽しんだあとは二俣城へ。行きと違ってこんどはトンネルを抜けると便利です。くれぐれも車道のトンネルではなく、脇にある歩行者用のトンネルを渡ってください。
鳥羽山城が領主の居館とすれば二俣城は自然地形をいかした軍事要塞です。北の丸、本丸、二の丸、西の丸、南の丸と丘陵を利用して築かれ、石垣がめぐらせて防御を固めています。
この城最大の見どころは本丸にある天守台。浜松城の天守台と同じような積み方と石材で、豊臣政権下の堀尾氏時代のものと考えられています。天守台には階段と櫓跡と思われる小さな平場があり、付属の櫓を通って天守に上がる構造だった推測できます。

本丸と蔵屋敷の間の堀切
本丸中仕切門跡や大手門跡の石垣も十分に楽しませてくれますが、本丸北側の食い違い虎口と堀切(四号堀)、本丸と蔵屋敷(現地の表示は南の丸Ⅰ)の間の堀切(三号堀)も見どころ十分。石垣だけでなく土の遺構も楽しむことがでるのが二俣城です。
城の北東には歩いて10分ほどで信康の霊を祀る清瀧寺がありますし、その隣には本田宗一郎ものづくり記念館があります。なぜなら二俣は「世界のホンダ」の創業者・本田宗一郎の生まれ故郷なのですから。