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【偉人メシ】家康の正室・瀬名ってどんな食事をしていたの?

偉人メシ


毎日元気に過ごすために、全体に欠かせないことの1つが食事! 徳川家康の妻・瀬名も、日々食事をとっていました。「教科書に登場する“あの”偉人はどんなご飯を食べていたんだろう?」という疑問を、彼らの好きだった食べ物からひも解いていきます。


 

■「偉人メシ」ってなに?

 

「歴史は苦手!でも料理や食べることは大好き!」というキッズたち、教科書に登場する歴史上の人物たちが食べていたといわれる料理を作ってみませんか?

料理を監修してくれるのは、食事復元研究の第一人者で御年90歳ながら現役で大活躍中!食文化研究家の永山久夫先生!

 

「でも、偉人たちが食べていたご飯では、今のボクたちの味の好みとは合わないかも・・・」そんな不安を解決してくれるのは、人気料理研究家のきじまりゅうたさん!令和版にアレンジした栄養満点&映える『偉人メシ』に、ぜひ親子でチャレンジしてみよう!

 

今回は、徳川家康の最初の正室(正式な妻)だった瀬名。彼女はいったいどんなご飯を食べていたんだろう?

 

 

■瀬名って、どんな偉人?

築山殿の首塚(八柱神社)

名門・今川家の重臣である関口親永(せきぐちちかなが)の娘として生まれた瀬名(のちの築山殿)。母は東海道一の武将・今川義元の妹で、瀬名という名は父の元々の名前・瀬名義広が由来と言われています。

 

16歳で徳川家康と結婚し、一男一女をもうけましたが、桶狭間の戦いを機に彼女を取り巻く情勢が悪化し、のちに武田勝頼と内通(敵に味方の情報を漏らすこと)しているとの疑いをかけられ、家康の命により長男・信康とともに命を落としました。

 

 

■たんぱく質と食物繊維が豊富な『鶏肉とごぼうの煮物』

 

鶏肉とごぼうの煮物

 

 瀬名が好んで食した、鶏肉とごぼうの煮物

 【材料】

  鶏もも肉:1枚 ごぼう:50g 大根:200g

  カブの葉:2個分 八丁味噌:大さじ2

 

 【作り方】

  ①鶏もも肉は6等分に、ごぼうは5cm長さの縦四つ割りに切る。大根は1cm幅の半月切りにする。

  ②鍋にごぼうと大根を入れ、かぶるくらいの水を注ぎ、煮立ったら鶏肉を入れる。

  ③アクを引いてフタをして弱火で56分煮る。

  ④八丁味噌を入れ、蓋をとってさらに56分煮る。

  ⑤茹でたカブの葉を添える。

 

 

 

■バランスのよい食事で、美しさに磨きをかけた瀬名

 

徳川家康は、今川義元の人質になっていた時代に16歳で結婚。その相手が今川家の重臣の娘の瀬名で、のちの築山殿です。美しさで評判の女性でした。

 

2年後に長男の信康が生まれ、仲もよく、順調な滑り出しに見えました。ところが、義元が桶狭間の合戦で、織田信長に討たれてしまうのです。

 

家康は今川家を見限り、岡崎城に帰り、城主になりました。後を追って来た瀬名を含め、家族仲よく生活をはじめます。

 

食事は麦めし好きの家康と一緒で、瀬名も麦めしを中心に、豆味噌の味噌汁、漬け物、魚料理、それに鷹狩りで家康が獲ってくる、山鳥や鴨などの肉が時々つきました。

 

また、田舎でよく食べられていた鶏肉とごぼうの煮物などの料理で、豊富なたんぱく質と食物繊維をとっていたようです。

 

質素倹約な暮らしぶりでありながらも、非常に栄養バランスのよい食事内容です。とくに味噌汁を通して、大豆成分のイソフラボンを食事のたびにとったことで、瀬名はますます美しくなっていきました。イソフラボンは、美人ホルモンとも呼ばれている成分で、納豆などにも多く、現在でも人気の高い美容成分です。

 

その頃、家康は甲斐の武田信玄と敵対関係にあり、境界線を守るために、岡崎城を長男の信康に任せて、浜松城に移ってしまいます。

 

浜松城に移った家康は、次々と側室(当時、正式な妻以外に認められた側妻や愛人)を持ち、瀬名は激しく嫉妬します。行状(日頃の行い)も荒れ、その挙げ句、武田氏と内通していると疑われ、同盟関係にある織田信長から親子の殺害を忠告され、家康自身の命によって長男の信康ともども、死罪ということになってしまうのです。

 

信康は二俣城で切腹となり、瀬名も殺されるという悲劇の結末。瀬名は38歳という、最も美しい年頃でした。

 

 

歴史人2023年5月号より


 

監修/永山久夫

ながやま ひさお/1932年福島県生まれ。食文化史研究家。古代から明治時代までの食事復元研究の第一人者。長寿食や健脳食の研究も行う。新聞や雑誌、テレビなどでも活躍中。

 

料理監修/きじまりゅうた

きじま りゅうた/1981年東京都生まれ。料理研究家一家の三代目。男性のリアルな視点から家庭料理を提案している。NHK「きじまりゅうたの小腹すいてませんか?」を始め、

テレビや雑誌等を中心に活躍中。

 

編集:杉田俊人 撮影:渡部聡 スタイリスト:吉岡彰子

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永山久夫ながやまひさお

1932年福島県生まれ。食文化史研究家。古代から明治時代までの食事復元研究の第一人者。長寿食や健脳食の研究も行う。新聞や雑誌、テレビなどでも活躍中。

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