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古代中国の挨拶「拱手」(きょうしゅ)とは何か?

ここからはじめる! 三国志入門 第10回

映画やドラマなどでは定番ポーズ

馬上で拱手礼を交わす将/筆者撮影

 右手でグーを握り、左手でそれを包み込む挨拶は、「拱手礼」というものだ。「きょうしゅ」または「こうしゅ」と呼ばれ、三国志のドラマなどでは、登場人物たちが決まってこのポーズであいさつする姿を見ることができる。

 

 新型コロナウイルスの影響下、握手はダメということになり、台湾でこの古来の挨拶「拱手」を推奨しようという動きがあったのは記憶に新しい。

 

 拱手は中国大陸の伝統的な民族、漢民族の間に見られた。当然、三国志の時代にもあった習慣である。

 

 本来は、両手とも握らずに胸の前で軽く重ね、手のひらを自分の方へ向けるのが正式な形だった。

 

 しかし、軍中では右手に槍や剣などを持っているのが常であるから、すぐに拱手ができるよう、右手に武器を握ったまま左手を重ね合わせる「軍礼」が行なわれた。これが一般化し、武器を持っていない場合でも右手をグーに握り、左手を被せる形で行なわれるようになった。

 

 武器を持つ手を包むという形については「あなたに攻撃する意思はありません」という恭順や尊敬の意思を表しているものという。 

 

 現在の中国では、この習慣は基本的には廃れており、旧正月など以外では行なわれない。しかし、中国武術の世界では、拳法家同士が「抱拳礼」という拱手の名残を残す挨拶を行なう。ちなみに女性の拱手は左右が逆で、凶事の場合も同様に左右が逆となる。

献帝にひざまずき、敬意を示す曹操/筆者撮影

 拱手礼は手を重ねるだけの場合も多いが、相手の身分や関係に応じて、軽く頭を下げるなどの動作が追加される。より丁寧な挨拶ではひざまずいたり、頭が地面につくほど平伏する「叩頭」という動作で尊敬の意を表すこともある。

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上永哲矢うえなが てつや

歴史著述家・紀行作家。神奈川県出身。日本の歴史および「三国志」をはじめとする中国史の記事を多数手がけ、日本全国や中国各地や台湾の現地取材も精力的に行なう。著書に『三国志 その終わりと始まり』(三栄)、『偉人たちの温泉通信簿』(秀和システム)、共著に『密教の聖地 高野山 その聖地に眠る偉人たち』(三栄)など。

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