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日本の「縄文時代」の文明は「世界四大文明」よりも優れていた⁉─異なる文化・文明の間に優劣を問う─

縄文時代の謎109 #03


日本の縄文時代には文字もなく、なにをもってコミュニケーションがあったのかなどはいまだに不明である。また食料などにおいても調達することがベースで能動的な栽培などは多くはされていなかったといイメージをもつ人も多いだろう。では、世界の文明と比較して縄文時代とはいかなるものだったのかを少し考えたいと思う。


 

ピラミッド

 

■世界四大文明と縄文文化は比較できるのだろうか

 

 文明の定義は、些末(さまつ)な点での相違はあるものの、都市の存在と文字の使用は必須項目である。都市とは、単に人口が集中している場所を指し示すのではなく、流通・情報交換の要衝(ようしょう)であり、かつその中において食料の採取・生産活動を行わず、外部から食料を調達しているという特徴を持つ場所のことである。この考えに基づいた場合、これまで発見されている縄文時代の遺跡は、「縄文都市」と呼ばれた三内丸山遺跡においてさえも、食料を自ら調達していたと考えられる点において、その定義に当てはまらない。また、縄文時代において、確実に文字であると認定できる資料は存在しない。土器の文様などに何らかのメッセージが込められていた可能性はあるものの、文字と呼ぶことはできない。

 

 したがって、縄文文化はそもそも文明ではなく、世界のメソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明、中国文明を指す「四大文明」と比較すべきものではない。また、文明は必ずしも文化よりも上位にある概念ではないこと、異なる文化・文明の間に優劣はなく、そのような言動は偏見・差別につながることに自覚的でなくてはならない。

 

【結論】異なる文化・文明の間に優劣はなく、「四大文明」と比較すべきものではない

 

監修・文/山田康弘

『歴史人』2025年5月号『縄文時代の謎109』より

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