×
日本史
世界史
連載
ニュース
エンタメ
誌面連動企画
歴史人Kids
動画

「新庄藩と東北戊辰戦争」歴史作家 伊東潤氏の講演レポート〜山形県最上郡金山町 町制施行100周年を祝う〜


大正14年(192511日に町制が施行された山形県最上郡金山町は、令和7年(202511日をもって満100年を迎える。その100周年記念事業の一環として、11月3日「文化の日」に最上地域史研究家の三浦和枝氏と著名な歴史小説家である伊東潤氏の講演が行われた。


会場に飾られた100周年を記念するパネル

伊東潤氏による講演が行われたのは、秋田県と山形県の県境に位置する最上郡金山(かねやま)町。江戸時代には新庄藩戸沢氏が11代約250年わたって治めた。羽州街道の宿場町として栄え、谷口地区には藩の財政を支えた谷口銀山が残る。

 

明治時代にはイギリスの女性旅行家イザベラ・バードが町を訪れ「ロマンチックな雰囲気の場所である。私は正午にはもうついたのであるが、1日か2日ここに滞在しようと思う」と言葉を残した。その記念碑は大堰公園内に立っている。

 

大正14年(1925)1月1日に町制が施行された後、山形県内で他の市町村と一度も合併することなく100年以上続くのは、県内では大蔵村に次ぐ2番目だという金山町。

 

その金山町の町制施行100周年を記念して、最上地域史研究家の三浦和枝氏と著名な歴史小説家である伊東潤氏が町に招かれ、地域にまつわる歴史を振り返る講演が行われた。

 

三浦氏の演題は「新庄藩と谷口銀山」。新庄藩入部以前の戸沢氏や初代藩主・戸沢政盛の藩政、藩財政を支えた谷口銀山の解説などが語られた。講演後には聴講者から赤穂事件と戸沢氏の関わりに対する質問などがあり、聴衆は熱心に聞き入っていた。

「新庄藩と東北戊辰戦争」の講演を行う伊東潤氏

 

伊東氏の演題は「新庄藩と東北戊辰戦争」。新庄藩の成り立ちから幕末の戊辰戦争における新庄藩の関わりなどを、ときにユーモアを交えながらわかりやすく解説した。講演では伊東氏が作成した東北戊辰戦争の詳細な年表・奥羽越列藩同盟の防衛ビジョン・戦闘経緯などが豊富に記された資料が配布され、資料を繰りながら熱心にメモをとる聴衆も目立っていた。

 

また、奥羽越列藩同盟に参加した東北諸藩の縦割りによる弊害や、維新政府に対して疑心暗鬼に陥っていた諸藩の選択や当時の舵取りの難しさまで話がおよび、1時間以上にわたって興味深い内容が語られた。

 

講演後には講演者2人への追加の質疑応答も交わされ、町制施行100周年記念講演は盛況のうちに幕を閉じた。

 

 

KEYWORDS:

過去記事

歴史人編集部れきしじんへんしゅうぶ

最新号案内

『歴史人』2025年10月号

新・古代史!卑弥呼と邪馬台国スペシャル

邪馬台国の場所は畿内か北部九州か? 論争が続く邪馬台国や卑弥呼の謎は、日本史最大のミステリーとされている。今号では、古代史専門の歴史学者たちに支持する説を伺い、最新の知見を伝えていく。