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新たな中国史と注目される征服王朝!ドラマ化された「遼」とは⁉

遼の実力と優れた政治体制


 2021年冬、中国国内でTV 視聴率&配信ランキング1位となった本格歴史エンターテイメントとなったドラマ「燕雲台-The Legend of Empress-」が日本へ上陸する。日本でも注目を浴びているジャンルである「中国歴史モノ」の大ヒット作なのだが、その「燕雲台-The Legend of Empress-」が描いたのが、中国初の征服王朝「遼」という国の歴史。 数々の遊牧民勢力が乱立するなか、中国北方で暮らしていた遊牧民・契丹族が樹立させた国に実在した伝説の皇后の物語なのだが、そもそも「遼」とはいかなる国だったのか? 本記事では、その樹立の過程と政治体制、歴史について解説していきたい。


 

「遼」という国の成立と特異性
成功の秘訣は二面体制にあった

 

草原で暮らす契丹族契丹は半農半牧の民族であったが「契丹語」という独自の言語をもつなど高い文化をもっていた。
中国時代劇『燕雲台-The Legend of Empress-』より

 中国の歴史は唐(とう)と宋(そう)のあいだに五代十国(907~960年)と呼ばれる分裂の時代をはさむ。その混乱に乗じて、北アジア一帯から華北にまで及ぶ広大な版図を築いたのがキタイ族の国家「遼」だった。

 

 モンゴル高原南東部を故地とするキタイはその複数形キタンから、漢字史料では日本でも知られる「契丹(きったん)」と表記されている。

遼の「三彩牡丹文皿」牡丹文という独自の紋様が型押された皿。釉調に明るさとおおらかさが感じられ、独自の文化を物語る。
東京国立博物館蔵/出典:Colbese

 文献上確認できるのは4世紀後半からで、468年には華北(かほく)を支配する北魏(ほくぎ)に初めて使節を派遣している。秦(しん)・漢(かん)代の匈奴(きょうど)や隋(ずい)・唐代の突厥(とっけつ)がそうであったように、北方民族の常として、キタイも部族単位で割拠しているあいだは、さして注目を集める存在でなかった。

 

 しかし、ひとたび並外れた英雄が現われ、諸部族の統一に加え、トルコ系・モンゴル系からなる北方諸民族の統一すれば巨大勢力となる。それは中華の統一王朝をも震え上がらせる、途方もない戦闘力を発揮するのは過去の歴史で証明済みだった。

遼の最大支配域

 世界史のなかでも有名な匈奴では冒頓単于(ぼくとつぜんう) がその役目を務めたが、キタイでその役目を担ったのは耶律阿保機(やりつあぼき)(太祖)であった。

 

 10世紀のキタイは二氏八部族からなり、姓は耶律と蕭しょうの2つだけ。各部族の長は大人、キタイ全体の長はカガンと呼ばれたが、3年ごとの集会で選ばれる決まりだったため、カガンの権力は限られ、全体としてものまとまりも緩かった。

 

 耶律阿保機はぬるま湯に浸ったまま安穏に過ごす生活に飽き足らず、諸部族の大人たちを謀殺して、3年交代の制を廃止。自分とその血統に固定することによって、キタイ全体を自己の命令に従順な機動部隊へと変質させたのだった。

遼の「多宝千仏石幢」遼では仏教が厚く信仰され、北方における仏教文化の発展に大きな足跡を残した。多くの仏塔が立てられ華やかな文化が花開いた。九州国立博物館蔵/出典:Colbese

 阿保機が一代の英傑なら、彼とはいとこ同士であった正妻の月里朶(ユリド)も思慮深さと果断さを兼ね備えた傑女であった。阿保機が華北の動乱に介入しようとしたときには、道理をもってその不可を説き、阿保機の急死とともに、後継者争いや外敵による侵攻が始まろうしたときも、月里朶の見事な采配で、キタイは建国後最初の危機を乗り切れたのだった。

 

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<STORY>
契丹(きったん)人の国である遼の北府宰相・蕭思温(しょうしおん)の三女・蕭燕燕(しょうえんえん)は、父親と長女・蕭胡輦(しょうこれん)、次女・蕭烏骨里(しょううこつり)の愛を受けて真っすぐで勇敢な女性に育つ。そして、彼女は漢民族ながら遼の朝臣である韓徳譲(かんとくじょう)と出逢い、国の未来へ大志を抱く2 人はやがて愛し合うようになる。一方、朝廷では暴君として恐れられる第四代皇帝・穆宗(ぼくそう)の座を狙い、権力争いが続いていた。そんな中、皇后を輩出する后(こう)族の筆頭である蕭家の三姉妹は、王位簒奪(さんだつ)の切り札とみなされていた。その結果、簫胡輦が穆宗の弟・耶律罨撒葛(やりつえんさつかつ)に、簫烏骨里が初代皇帝・太祖(たいそ)の孫・耶律喜隠(やりつきいん)に嫁ぐことに。残された簫燕燕は韓徳譲と婚約を結んでいたが、暗殺された前皇帝の息子で韓徳譲の親友である耶律賢(やりつけん)に見初められ…。

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島崎 晋しまざき すすむ

1963年東京生まれ。立教大学文学部史学科卒業。旅行代理店勤務、歴史雑誌の編集を経て、現在、歴史作家として幅広く活躍中。主な著書に『歴史を操った魔性の女たち』(廣済堂出版)、『眠れなくなるほど面白い 図解 孫子の兵法』(日本文芸社)、『仕事に効く! 繰り返す世界史』(総合法令出版)、『ざんねんな日本史』(小学館新書)、『覇権の歴史を見れば、世界がわかる』(ウェッジ)など多数。

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