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評判を呼んでいる魅惑の「中国歴史ドラマ」の世界 ─中国ドラマを見るべき時代─

中国時代劇の魅力を考える


 今でも多くのファンを持つ歴史ドラマや時代劇。
 だが近年の日本では、BSCSドラマや映画では新しい作はあるものの、新作テレビ時代劇は減少傾向。世界の映画・ドラマの世界でも、歴史ドラマは「しっかり作ると制作費がかかる」という点がネックになっており、SF超大作等の人気に押されて元気がないのが現状だ。
 そんななかで、圧巻のスケールの歴史ドラマが今も制作され続けており、なおかつそのクオリティの高さも評判を呼んでいるのが中国ドラマだ。
 中国でTV視聴率・インターネット再生回数ともに1位を記録し、11月に日本でもDVD販売がスタートする『燕雲台-The Legend of Empress- (全48話)』はその代表格。同作のような歴史エンターテインメント超大作を見たければ、今は中国ドラマを見るべき時代なのだ。
 本稿ではその『燕雲台-The Legend of Empress-』の内容にも触れながら、「今なぜ中国の歴史ドラマが元気なのか」「その面白さはどこにあるのか」を詳しく解説していく。


 

中国4000年の歴史はドラマの題材の宝庫
日本で盛り上がるブームの兆し

 中国の歴史ドラマに面白い作品が多く生まれている背景には、複数の理由がある。

 

 まず一つには、中国には4000年に及ぶ長い歴史があり、どの時代をとっても豊かな史実があり、魅惑的な伝説にも溢れている点が挙げられる。

 

 そして中国の歴史は、「政治的統一による平和の時代」と「国家崩壊および戦争の時代」の繰り返し。そこには漢民族を中心に様々な異民族も登場。ときには異民族による征服王朝も生まれている。一つの国の歴史にも関わらず、世界史のようなダイナムズムに満ちているのが中国史の特徴だ。

 

 そして『燕雲台-The Legend of Empress-』が題材とするのは、中国史上初の征服王朝“遼”(9071125)の時代。

 

 物語の主役となるのは、初代皇帝・太祖(たいそ)の建国以来続いていた権力争いを終わらせた、伝説の皇后・蕭燕燕(しょうえんえん)だ。

 

 蕭燕燕は“鉄血紅顔”(鉄の血を持つような強い美女)とも呼ばれた人物。このドラマでは中国のトップ女優・ティファニー・タン(唐嫣)が蕭燕燕を演じているが、その圧巻の美貌と勝ち気な性格は非常に魅力的だ。

『燕雲台-The Legend of Empress-』より

 芯に強さを持った女性を主人公とする本作の物語は、女性にフォーカスを置いたスーパーヒーロー映画も作られるようになった、世界の映画界の潮流とも合致。中国史の知識がない人や女性が見ても、ごく普通に「最新のドラマ」として楽しめる内容となっている。

 

 そして中国の歴史には、この『燕雲台-The Legend of Empress-』の蕭燕燕のように、これまで大作映画やドラマでは描かれてこなかった(そして日本ではほとんど知られてこなかった)魅力的な人物が数多く眠っているのも特徴。重要な人物が描きつくされた感がある日本の時代劇に食傷気味の人にも、中国ドラマは新鮮に感じられるはずだ。

 

制作費はなんと67億円!
豪華絢爛な衣装を見るだけでも楽しい

『燕雲台-The Legend of Empress-』より

 また中国が世界屈指の経済大国となったことで、巨額の制作費が投じられている点も国産ドラマの面白さにつながっている。

 

 一つのドラマに数十億円~100億円以上の制作費がかけられていることも珍しくなく、『燕雲台-The Legend of Empress-』も67億円の制作費が投じられた一大エンターテイメント作品だ。

 

 そうした制作資金の大きさが表れるポイントの一つが、衣装の豪華絢爛ぶり。『燕雲台-The Legend of Empress-』の精工な刺繍が施された衣装は、メインキャストだけでも800着以上用意されているというから驚きだ。

 

 そして中国ドラマでは衣装だけでなくセットもゴージャスで、ロケーションも壮大。CGやポストプロダクションにも潤沢な資金が投じられているため、『燕雲台-The Legend of Empress-』で描かれる戦闘シーンの様子などは、ハリウッド映画顔負けのスケール感となっている。

 

美貌も演技力も圧巻の主演女優・ティファニー・タンとは

『燕雲台-The Legend of Empress-』より

 そして14億人の人口を抱える中国では、ドラマに出演する俳優の層が非常に厚い。

 

 脇役に至るまで美男・美女が集結しているのみならず、演技力も総じて高いのが特徴だ。

 

 というのも、中国で俳優として活躍するためには、芸術系大学に進学し、そこで専門教育を受けることが前提条件。日本ではモデルやタレントを経て俳優となる人が多いが、中国の俳優は倍率何百倍という入学試験で合格し、その後の競争を勝ち抜いた、正真正銘のプロばかりなのだ。

 

 『燕雲台-The Legend of Empress-』に主演するティファニー・タンも、演劇教育を専門とする国立大学・中央戯劇学院の出身。同学校はチャン・ツィイー、コン・リーら日本でも有名な女優も輩出している学校だ。

 

 なおティファニー・タンは20代前半の頃から中国を代表する映画監督・張芸謀(チャン・イーモウ)に見いだされ、アテネ・オリンピックの閉会式にも出演したエリート。時代劇から現代が舞台のラブストーリー・ドラマまで幅広く出演しており、人気と好感度の高さでは中国屈指の女優の一人だ。

 

 ちなみにプライベートでは、2016年のドラマ『王女未央-BIOU-』で共演した俳優・羅晋(ルオ・ジン)と結婚し、2020年には双子を出産。Instagramアカウントでは、出産後も変わらない美貌が話題を呼んでいる。

 

武侠モノから宮廷劇

『燕雲台-The Legend of Empress-』より

 そして中国の時代劇は、男たちが正義を背負って戦う「武侠モノ」や、豪華できらびやかな衣装と壮大なスケールが特徴の宮廷劇、さらにはラブロマンスを取り入れた作品まで多様なジャンルが揃っている。『燕雲台-The Legend of Empress-』は、その要素のすべての面白さが詰まった作品……ともいえる。

 

 遼を支配する契丹族の娘である蕭燕燕は、漢民族ながら遼の朝臣である青年・韓徳譲との運命的な出会いを果たす。2人は作品のタイトルにもなった燕雲台で愛を誓うが、蕭燕燕と彼女の姉妹たちは、皇帝の跡継ぎ争いのコマのように扱われる存在だった。そして物語では複雑な陰謀も渦巻き、韓徳譲の親友が恋敵に変わっていくなど、人間ドラマとしても面白さがどんどんと増していく……。

 

 なお現在はYou Tubeでドラマの第一回が特別配信されている。一度見はじめると、映像の美しさや広大な草原などの舞台の美しさ、街のセットの迫力などに圧倒されるはずだ。

『燕雲台-The Legend of Empress-』より

 そして第一回では、蕭燕燕と韓徳譲の出会いの場面も描かれるが、強気で勝ち気な蕭燕燕と、飄々としつつも優しさと包容力に溢れている韓徳譲の会話のやりとりが非常に面白い。脚本を含めて非常にレベルの高いドラマだと分かるはずなので、気になる方は試しにチェックを!

 

「燕雲台-The Legend of Empress-」DVD&Blu-ray

「燕雲台-The Legend of Empress-」DVD&Blu-ray

公式サイト https://kandera.jp/sp/enundai/

2021 年度No.1 アジアドラマが堂々上陸!TV 視聴率&配信ランキング1 位!
「王女未央-BIOU-」ティファニー・タン主演!
愛と陰謀の渦中で、国家統一を果たした伝説の皇后の激動の生涯を描く、2021 年No.1 本格歴史エンターテイメント!

<STORY>
契丹(きったん)人の国である遼の北府宰相・蕭思温(しょうしおん)の三女・蕭燕燕(しょうえんえん)は、父親と長女・蕭胡輦(しょうこれん)、次女・蕭烏骨里(しょううこつり)の愛を受けて真っすぐで勇敢な女性に育つ。そして、彼女は漢民族ながら遼の朝臣である韓徳譲(かんとくじょう)と出逢い、国の未来へ大志を抱く2 人はやがて愛し合うようになる。一方、朝廷では暴君として恐れられる第四代皇帝・穆宗(ぼくそう)の座を狙い、権力争いが続いていた。そんな中、皇后を輩出する后(こう)族の筆頭である蕭家の三姉妹は、王位簒奪(さんだつ)の切り札とみなされていた。その結果、簫胡輦が穆宗の弟・耶律罨撒葛(やりつえんさつかつ)に、簫烏骨里が初代皇帝・太祖(たいそ)の孫・耶律喜隠(やりつきいん)に嫁ぐことに。残された簫燕燕は韓徳譲と婚約を結んでいたが、暗殺された前皇帝の息子で韓徳譲の親友である耶律賢(やりつけん)に見初められ…。

2021 11 日(水)リリース】
DVD SET1

話~第12  DVD6 /本編約540 /17,600 円(税抜16,000 円)
Blu-ray SET1>第話~第12  BD2 /本編約540 /19,800 円(税抜18,000 円)
レンタルDVD同時リリース

発売元・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

毎月順次リリース

U-NEXT にて同時に独占先行配信開始 https://bit.ly/3hG72cd

予告編 https://youtu.be/yXu43W969YE

第1回 https://youtu.be/J66IEo7OTZE

©Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited

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古澤 誠一郎ふるさわ せいいちろう

ライター。1983年埼玉県入間市生まれ。東京都新宿区在住。得意なジャンルは本、音楽、演劇、街歩きなど。『サイゾー』『週刊SPA!』『散歩の達人』『ダ・ヴィンチニュース』などに執筆中。

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