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ドローン実戦使用事始め~「空飛ぶ爆薬倉庫」ことアメリカのBQ-7とBQ-8

ドローンが変える現代の戦争 第3回 ~アメリカ軍からテロ組織まで、 すべての軍隊が装備する驚異の飛行兵器!~

第二次世界大戦終戦までに14回出撃も成功例はナシ

離陸するBQ-7ドローン。この時点ではまだパイロットが操縦しているが、巡行高度に達し大まかな飛行針路を定めたところで爆薬の安全装置を解除し、機体からパラシュートで降下する。

 ドローンを始めとする各種の誘導兵器が急速な発展を示したのは、第二次世界大戦中であった。

 

 ドイツで開発されたスマート爆弾の始祖フリッツXと、空対艦誘導ミサイルの始祖ヘンシェルHs 293は共に実戦で使用されて戦果をあげ、やはりドイツが開発した巡行ミサイルの始祖V-1も、実戦で多大の戦果をあげた。

 

 一方でアメリカは、より実戦に即した兵器として、遠隔操縦機による体当たり攻撃を発想した。すでに戦間期に遠隔操縦の技術が研究され、ある程度実用の域に達していたことに加えて、搭載量が大きい4発重爆撃機を多数保有していたことが、この発想を生み出したのである。

 

 計画はきわめて単純かつ明快。実戦運用規定時間を超過して有人飛行戦闘任務に不適応となったボーイングB-17フライングフォートレスとコンソリデーテッドB-24リベレーターという2機種の4発重爆撃機に、10~12トンもの爆薬を搭載。TVカメラによる映像に基づき、遠隔操縦装置を備えた随伴機から遠隔操縦し、目標に向けて無人の同機を突っ込ませるというものだ。

 

 ただし複雑な離陸時の操縦と、搭載した爆薬の安全装置を解除して起爆状態にするのには人手が必要なため、離陸の時点ではパイロットが操縦し、飛行高度に達したら爆薬の安全装置を解除してパラシュートで基地のそばに降下。以降は遠隔操縦で目標まで飛行することにされた。遠隔操作では技術的にまだ不安な部分を人力で補うという、優れたマンマシンシステム的発想である。

 

 こうして、B-17改造機にはBQ-7、同じくB-17がベースの誘導母機にはCQ-17の、また、B-24改造機にはBQ-8の名称が付与された。ちなみに、BQ-8は海軍の計画であり、誘導母機にはロッキードPV-1ヴェンチュラ哨戒機が用いられていた。

 

 まさに世界初のドローン(正確には半ドローン)である。これらの機体は、終戦までに14回出撃したとされる。

 

 だが、ひとつとして成功した作戦はなかった。それどころか、海軍のBQ-8による空中爆発事故で、ケネディ家の長子で、かのジョン・F・ケネディ大統領の兄であるジョセフ・パトリック“ジョー”ケネディ・ジュニア大尉が死亡している。

 

 いくら研究を進めたとはいえ、当時の遠隔操縦技術は、難しい部分を人力に頼るにしても、ドローンを確実に運用するにはまだまだ未熟だったのである。

 

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白石 光しらいし ひかる

1969年、東京都生まれ。戦車、航空機、艦船などの兵器をはじめ、戦術、作戦に関する造詣も深い。主な著書に『図解マスター・戦車』(学研パブリック)、『真珠湾奇襲1941.12.8』(大日本絵画)など。

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