フランスが独自開発した艦上戦闘攻撃機【ダッソー・エタンダールIV】
超音速時代の到来~第2世代ジェット戦闘機の登場と発展~【第20回】
第2次世界大戦末期から実用化が推進された第1世代ジェット戦闘機は、朝鮮戦争という実戦を経験して完成の域に達した。そして研究はさらに進められ、亜音速で飛行する第1世代ジェット戦闘機を凌駕する超音速飛行が可能な機体が1950年代末に登場。第2世代ジェット戦闘機と称されて、超音速時代の幕が切って落とされた。前シリーズに続いて本シリーズでは、初期の超音速ジェット戦闘機(第2世代ジェット戦闘機)について俯瞰してゆく。

ニューヨーク市マンハッタン所在の退役した「エセックス」級空母「イントレピッド」を改造したイントレピッド海上航空宇宙博物館の飛行甲板上に展示されているダッソー・エタンダールIV。
東西冷戦真っ只中の1953年、NATOはNBMR-1(NATO Basic Military Requirement 1 )を計画する。東側の先制核攻撃で既存の航空基地が機能を失った状況下、道路を利用した臨時滑走路や原野などを飛行場代わりに利用でき、短距離離着陸性能を備えておりメンテナンスが容易。しかも相応の装甲防御も施され、空対空ミサイルに加えて各種の対地攻撃用兵器が搭載でき、最大速度マッハ1前後の軽戦闘爆撃機を開発し、NATO各国の統一標準装備機に採用するという計画だ。
開発は国際コンペで行われ、フランスはダッソー・シュペールミステールを発展させたダッソー・エタンダールIVでエントリーしていたが、イタリアのフィアットG.91が採用となった。しかしフランスはG.91を採用せず、独自に開発を継続。同空軍はデルタ翼を備えるダッソー・ミラージュIIIに開発を集中することになり、エタンダールIVは一時的に宙に浮いた。
ところがフランス海軍は、新造の空母「クレマンソー」と「フォッシュ」のために、ジェット艦上戦闘攻撃機を求めており、エタンダールIVに着艦フックやその他の艦上機用装備を施して1958年5月21日、初飛行に成功。ともに最大速度マッハ1.02を発揮する戦闘攻撃機型のエタンダールIVMが69機、偵察型のエタンダールIVPが21機生産された。
かくして、フランス海軍にとって最初から空母として設計のうえ建造された初の艦となる「クレマンソー」と「フォッシュ」の2隻に、ジェット艦上戦闘機としてアメリカ製のヴォートF-8クルセーダー、ジェット艦上戦闘攻撃機と偵察機としてエタンダールIVシリーズ、対潜哨戒機としてターボプロップ機のブレゲーBr.1050 アリゼという、ともに国産機を搭載することになった。
かような次第でエタンダールIVは艦上機であり、生産機数も少なかったのでフランス海軍以外では運用されなかった。しかし1962年の運用開始以降、偵察型が2000年7月に退役するまで約38年にわたって使われ続けた。