“反日派”といわれる李在明氏の韓国大統領選勝利 今後の対日外交の展望を徹底考察!
6月3日、韓国大統領選挙が実施され、野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏が勝利を収めた。この結果は、韓国の政治・外交における新たな局面の幕開けを意味する。李氏はこれまで、進歩派の政治家として知られ、特に日本に対する強硬な姿勢をしばしば示してきた。しかし、選挙後の情勢や国内外の安全保障環境を考慮すると、彼が過度な対日批判を続けることは困難であり、現実的かつ協力的な対日外交を模索せざるを得ない状況にある。
■李在明氏の勝利とその背景
李在明氏は、庶民的なイメージと経済格差是正を訴える政策で、特に若年層や低所得層から強い支持を集めてきた。一方で、過去には日本に対する歴史問題や経済摩擦をめぐる発言で、強硬な姿勢を見せることが多かった。例えば、2018年の徴用工問題に関する韓国最高裁判決を支持し、日本企業への賠償を求める立場を明確にしていた。また、独島(日本名:竹島)の領有権問題でも、日本への批判的な発言を繰り返してきた。
しかし、今回の選挙戦では、李氏が過度な反日姿勢を控えめにし、経済再建や雇用創出など国内問題に焦点を当てた戦略が功を奏したと分析されている。これは、韓国の若年層や中道派の有権者が、反日感情に基づく外交よりも、現実的な経済政策や国際協力を重視する傾向が強まっているためだ。特に、若年層の間では、歴史問題を巡る対立よりも、日韓間の文化交流や経済的結びつきの重要性が認識されている。K-POPや韓国ドラマのグローバルな人気は、日本の若者との文化交流を促進し、両国間の民間レベルでの好感度を高めてきた。このような背景から、李氏が選挙戦で反日カードを控えたことは、戦略的な判断だったと言えるだろう。
■厳しさを増す安全保障環境
今日、韓国を取り巻く安全保障環境は一層複雑化している。まず、北朝鮮の核・ミサイル開発が依然として脅威であり、近年では北朝鮮とロシアの軍事的な接近が顕著になっている。昨年には、北朝鮮がロシア支援のため兵士をウクライナは派遣したり、弾薬などを提供するなどしている。また、中国による海洋進出も看過できない問題だ。南シナ海での中国の軍事活動や、台湾海峡を巡る緊張の高まりは、韓国の経済や安全保障に直接的な影響を及ぼす。韓国は半導体や自動車産業など、グローバルサプライチェーンの中核を担う国であり、中国との経済的結びつきは強いが、同時に米国や日本との同盟関係も不可欠だ。特に、日本は地理的に近く、民主主義や市場経済を共有する重要なパートナーである。日韓両国は、2016年のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)を基盤に、北朝鮮のミサイル発射情報を共有するなど、安全保障面での協力が進んでいる。
■李在明氏の対日外交の展望
李在明氏が現実的な対日外交を展開するためには、以下の3つのポイントが重要となる。第一に、歴史問題に対するバランスの取れたアプローチである。徴用工問題や慰安婦問題は、韓国国内で敏感なテーマだが、過度な対日批判は国際社会での韓国の立場を弱めかねない。尹前政権が示したような、第三者機関を通じた解決策や基金設立などの柔軟な対応を模索する必要がある。
第二に、安全保障協力の強化である。北朝鮮や中国、ロシアの動向を踏まえ、日韓米の三カ国協力は不可欠である。特に、GSOMIAの枠組みを活用した情報共有や共同訓練の拡充は、韓国の安全保障を強化するだけでなく、日韓関係の信頼醸成にも寄与する。
第三に、民間交流の促進である。文化や経済の分野での交流は、両国民の相互理解を深め、政治的な対立を緩和する効果がある。日韓の若者向けの交流プログラムや共同イベントを政府が後押しすることで、長期的な関係改善の基盤を築くことができる。

イメージ/写真AC