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宇佐神宮が祀る八幡大神と女神たちの謎 日本神話と歴史のミステリー【おとなのプラチナ旅 in 九州】

■『記紀』に記されなかった八幡大神にまつわる謎

 

 ともあれ、その後の宇佐神宮は、前述したように応神天皇の神霊としての八幡大神を祀り始めて以降、朝廷との関係が密になったようである。養老4年(720)に巻き起こった隼人の反乱では、神託を発して乱を鎮め、天平勝宝4年(752)に完成した東大寺の大仏建立に際して全面協力するなど、朝廷から篤く信奉される存在となっていった。

 

 また、「宇佐八幡宮神託事件」(道鏡事件)のことも、多く人の知るところだろう。称徳天皇の御世のこと、「道鏡が皇位に就くべし」と宇佐八幡宮から称徳天皇に神託されたことが皮切り。これに対して、和気清麻呂がそれに反対する神託を受けたことで、幸いにも道鏡が皇位に就くことはなかった。これを見てもわかるように、皇位の継承にまで関与するなど、皇室の宗廟として崇拝されていったのだ。伊勢神宮と共に二所宗廟と言われる所以である。

 

 しかし、前述のように、二之御殿に祀られている比売大神のことは『記紀』に記録されながらも、一之御殿に祀られている八幡大神については、実は両書にその名は登場しない。それが応神天皇の神霊であったとすれば、当然のごとく記録されていてしかるべきだと思われるが、それが記録されていないのは、この時はまだ、八幡大神=応神天皇の神霊と意識されていなかったことになるからである。と、そう指摘するのは、『日本書紀に秘められた古寺社の謎』(ウェッジ刊)を著した神道学者・三橋健氏である。

 

 同書によれば、八幡大神=応神天皇の神霊と認識されるようになったのは、8世紀以降のこととか。当時は新羅との関係が緊迫していた頃で、「新羅親征伝説をもつ神功皇后と皇后が九州で生んだ応神天皇の伝説が改めてクローズアップされた」からといい、「九州にもとからあった神功・応神への信仰が、同じ九州を中心として急速に勢いを得つつあった八幡神への信仰と習合した」とも。この見方には、なるほどと共感させられてしまうのだ。

夫の仲哀天皇の崩御以降、息子の応神天皇即位まで摂政を務め、三韓征伐などを実施。約70年間統治したとされる。
東京国立博物館蔵/出典:ColBase

■歴史と伝統ある杖立温泉にも深い関わりが……

 

 また、最後にもう一つ。気になるのが、主祭神である八幡大神こと応神天皇の生誕地についての謎である。一般的には、その地(筑紫の蚊田)を福岡県宇美町の宇美八幡宮であると見なされることが多いようだが、実はここばかりではない。ぐっと内陸部にまで入った熊本県小国町を中心として湧き出る杖立温泉(杖立川沿いに湯煙が上がる)までもが、応神天皇の産湯に使われたと言い伝えられることもあるから、さらなる謎を呼びそうだ。そもそも、母である神功皇后の実在までもが疑われるなど、なかなかに謎めく天皇であるということも付け加えておくことにしたい。

杖立温泉

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藤井勝彦ふじい かつひこ

1955年大阪生まれ。歴史紀行作家・写真家。『日本神話の迷宮』『日本神話の謎を歩く』(天夢人)、『邪馬台国』『三国志合戰事典』『図解三国志』『図解ダーティヒロイン』(新紀元社)、『神々が宿る絶景100』(宝島社)、『写真で見る三国志』『世界遺産 富士山を行く!』『世界の国ぐに ビジュアル事典』(メイツ出版)、『中国の世界遺産』(JTBパブリッシング)など、日本および中国の古代史関連等の書籍を多数出版している。

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