七五三の千歳飴ってどうして食べるの?そのはじまりは?
行事でたどるお菓子の歴史
年中行事の時で出されるお菓子にはそれぞれ意味や願いが込められていることが多くあります。また、地域によって色・形・味などが異なることもあります。それを紐解く鍵は、歴史を知ること!今回はこどもの日に食べられるお菓子の歴史をみていきましょう!
こんにちは。和菓子が大好きな、おみやげライターの嶋田コータローです。
みなさん、普段、お菓子の飴(あめ)を食べることはありますか?スーパーマーケットやコンビニエンスストアへ行くと、いろいろな種類の飴がありますよね。
飴の歴史は古く、平安時代の書物には「あめ」について書かれたものもあるんです。今回は、細くて長い飴、七五三(しちごさん)の日に食べる「千歳飴(ちとせあめ)」について紹介していきます。
◾️七五三はこどもの健康や成長を願う行事

子どもたちの健康や成長を願って
七五三は、こどもたちの健康や幸せを願う日本の伝統行事で、正式には11月15日に行われます。3歳(男女)、5歳(男の子)、7歳(女の子)のこどもたちが、家族と一緒に神社や寺にお参りをしたり、食事をしたりしてお祝いをします。その七五三に食べるのが「千歳飴」なのです。神社で、千歳飴が入った袋を持って、お父さんお母さんと一緒に、写真を撮ったことがある人もいるのではないでしょうか。
◾️千歳飴ってどんな和菓子?

千歳飴
千歳飴は、砂糖と水飴を合わせて煮詰め、冷やしながら形を整えて作る和菓子で、細長い形をしています。ほんのり甘くて、いつまでも口の中に入れておきたくなる味です。一般的には紅白2色の千歳飴が多いですが、お店によっては緑や黄色などカラフルなものも作っていて、味も抹茶やレモンなどいろいろな千歳飴があります。
千歳飴の始まりは、諸説ありますが、江戸時代に浅草で飴を売っていた七兵衛という人物が、自分が売る飴を「千歳飴(せんざいあめ)」と呼んで売り始めたのが、その始まりといわれています。
◾️千歳飴には健康や幸せへの願いが込められている

細長くて紅白の2色
千歳飴の特徴は、その長さ、形、色。一般的な千歳飴は細長くて紅白の2色です。普通の飴と違ってとても長いので、なぜこのような形をしているのか不思議ですよね。
じつは、千歳飴の長さには意味があるんですよ。千歳飴の長さと太さにはルールがあって、長さは1メートル、太さは直径1.5センチ以内と決められています。細くて長い千歳飴には、こどもたちに「長く生きてほしい」という想いが込められているのです。また、千歳飴の名前も特徴的です。千歳飴の「千歳」には、「千年」つまり、こどもたちが千年まで長生きして、幸せな人生を歩むようにという意味があるのです。
11月15日の七五三の日に食べる「千歳飴」。千歳飴を手にする時は、みなさんの成長を願って作られた飴ということを思い出してくださいね。また、七五三のお祝いをしてくれるみなさんの家族が、なによりみなさんの幸せを願っていることを忘れずに、感謝していただきましょう。
【主な参考文献】
事典 和菓子の世界(中山圭子 著)/美しい和菓子の図鑑(青木直己 監修)/和菓子の歴史(青木直己 著)/千歳飴の由来(理研ビタミン株式会社HP)