【偉人メシ】肉食推奨!西洋の食文化をいち早く取り入れた福澤諭吉
偉人メシ
毎日元気に過ごすために、全体に欠かせないことの1つが食事! 欧米に学んだ思想家・福澤諭吉も、日々食事をとっていました。「教科書に登場する“あの”偉人はどんなご飯を食べていたんだろう?」という疑問を、彼らの好きだった食べ物からひも解いていきます。
■「偉人メシ」ってなに?
「歴史は苦手!でも料理や食べることは大好き!」というキッズたち、教科書に登場する歴史上の人物たちが食べていたといわれる料理を作ってみませんか?
料理を監修してくれるのは、食事復元研究の第一人者で御年91歳ながら現役で大活躍中!食文化研究家の永山久夫先生!
「でも、偉人たちが食べていたご飯では、今のボクたちの味の好みとは合わないかも・・・」そんな不安を解決してくれるのは、人気料理研究家のきじまりゅうたさん! 令和版にアレンジした栄養満点&映える『偉人メシ』に、ぜひ親子でチャレンジしてみよう!
今回は、日本の教育や文化の近代化に尽力した福澤諭吉です。彼はいったいどんなご飯を食べていたんだろう?
■福澤諭吉って、どんな偉人?

出展:国立国会図書館蔵
明治時代の思想家・教育家。豊前中津藩士の子として生まれ、20歳から長崎で蘭学、砲術を学び、その後、緒方洪庵(おがたこうあん)の適塾で学ぶようになります。
24歳の時には江戸に出て、蘭学塾を開くかたわら、独学で英学を学びます。
その後、幕府の遣米使節に志願し3度欧米に渡り、進んだ文化や思想に触れました。
明治維新後は、塾を芝(現在の三田)に移して慶應義塾と命名し、教育と著作を通じてイギリスの経済学と自由主義を基礎にした新思想の普及に努めました。主な著書に『学問のすゝめ』などがあります。
■日本に牛肉文化を広めた諭吉の一皿「牛ステーキとコーヒー」

福沢諭吉の「偉人メシ」を再現!
【材料】(2人前) 牛ステーキ用(1.5cm厚さ):2枚 アスパラ:4本 にんじん(orにんじんのグラッセ):6cm分 塩:少々 サラダ油:大さじ1/2 ホットコーヒー:2杯
[A] 砂糖:小さじ1 バター:10g 塩:少々
[B] 酒:大さじ2 しょうゆ:大さじ1
【作り方】 ①にんじんを四~六つ割りに切ってからフットボール型に皮を剥く。 ②鍋に入れて[A]を加えてからかぶるくらいの水を注いで火にかける。 煮立ったら弱火にして火を通し、再び火を強めてテリが出るまで煮詰める。 ③その間にアスパラを茹で、牛肉を室温に戻して筋切りし、塩を振る。 ④フライパンに油を熱して肉を並べる。焼色がついたら裏返し、1分ほど焼いて器に盛る。 ⑤空いたフライパンに[B]を入れ煮立て、肉にかけ、にんじんとアスパラを盛り付ける。 コーヒーを添える。
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■牛肉の厚切りステーキとコーヒーを楽しんだ福澤諭吉
「天は人の上に人を造らず」は、福澤諭吉(1835〜1910)の『学問のすゝめ』にある有名な言葉。このように書き出すと堅苦しい人物に見えるかもしれませんが、面白い人物で酒を好み、子供の頃から飲んでいたそうです。
幼少の頃、月代(さかやき/頭のてっぺんを剃り上げた髪型)を剃る時、盆の窪(くぼ)を剃るのが痛いため、諭吉は嫌がりました。仕方なく、母は「酒をあげるから」といって剃ったという逸話が残されています。
諭吉は豊前(大分県)中津奥平藩の士族の子として生まれ、20歳で長崎に行き、漢字ばかりではなく、オランダ語も習得しました。翌年には大坂に出て、緒方洪庵の蘭学塾である「適塾」に入門、科学知識を身につけ、ここでも才能をぐんぐん伸ばし、2年後には塾長になっています。
そして24歳の時に江戸に入り、築地の藩屋敷の長屋を借り、蘭学塾を開き、慶応4年(1868/この年より明治となる)、塾を芝に移し慶應義塾とし、現在の三田に移ったのは明治4年(1871)のことです。
諭吉は語学が達者で、明治に入るとオランダ語に加えて英語もマスターし、新しい時代のライフスタイルも切り開いていきます。
明治になって以降は、日本人の体格改造を目指し、肉食推奨の宣伝にも力を入れます。著しく体格の劣る日本人を西洋の人たちと同等とするためには、ヨーロッパの食文化を取り入れる必要性を痛感したからに他なりません。
自らも牛肉の厚切りステーキを好んで平らげ、食後にはヨーロッパの味がするほろ苦いコーヒーを楽しんでいました。ステーキにはじゃがいもやにんじんなどが添えられ、高タンパクなヘルシー料理です。牛肉などの動物性タンパク質は意欲を高め、生涯現役力を強くしてくれたのです。
酒好きで自由奔放に生きた諭吉は、67歳で他界しました。
「歴史人」2023年10月号
監修/永山久夫
ながやま ひさお/1932年福島県生まれ。食文化史研究家。古代から明治時代までの食事復元研究の第一人者。長寿食や健脳食の研究も行う。新聞や雑誌、テレビなどでも活躍中。
料理監修/きじまりゅうた
きじま りゅうた/1981年東京都生まれ。料理研究家一家の三代目。男性のリアルな視点から家庭料理を提案している。NHK「きじまりゅうたの小腹すいてませんか?」を始め、
テレビや雑誌等を中心に活躍中。