“家康、千代田城入城”スペシャル! 東京・千代田で辿る徳川家康の足跡
Mummy-D&KOHEI JAPANの遠い目症候群#02
■徳川家康ゆかりの地・神田明神が千代田区にあるワケ
(by Mummy-D)
さて、我々が千代田区探検でまず将門塚を訪れたのはたまたまではありません。千代田区は旧江戸城、現在の皇居を取り囲む形で成り立っている、まさしく日本の中枢なのですが、その区域は北東方面に不自然に出っ張っています。何故か。それはひとえに「神田神社(神田明神)」を区内に取り込むためなのでした。なぜそこまでして神田明神を千代田区に取り込まねばならないのか? そこに今回の旅のキモがあります。
神田明神は江戸城の鬼門に鎮座する江戸総鎮守、祭神は祟り神、平将門公。要するに、平安時代に朝廷に弓引いた逆賊を、その末裔たる現天皇家のお住まいの護り神にし、かつそのお社を無理くり区内に取り込み、時を超えてありがたくお祀りしているのであった! なんという矛盾! なんという不協和音の先にある美学! ほとんどJAZZ!笑。これってとっても島国NIPPONらしい、ある意味美しくも「なあなあな」文化で、そんなところに気づいたりしてしまう時、「ああ、『歴史人』でよかった」とか思っちゃったりするのであった。遠い目。
※流石に明治以降は国家神道の影響下で祭神から外されていたらしいですが、戦後に復帰したそうです。
神田明神は古社の鄙びた佇まいなどさらさらなく、ひたすら「現役」の風格が心地良い。江戸三大祭に数えられる神田祭の賑わいはいかばかりか。都民なら一度は行かなきゃダメよダメダメ。個人的なおすすめスポットは秋葉原方面に下る明神男坂の階段。場所柄様々なコンテンツのロケ地にもなってるみたいです。結構急なので、遠い目してないで足元よく見てください。

隨神門(左)。中に入ると千代田区指定有形民俗文化財である石獅子が見られる。貴重な江戸期の石造物の一つであり、当時の庶民の信仰を知る上で貴重な資料だ。右は獅子を全身で表現するKOHEI JAPAN氏。撮影:Mummy-D
■徳川家康の時代に創業した超老舗! 三河屋綾部商店
(by Mummy-D)
参道ってのはいいですよね。古くからのお土産物屋さんや茶屋なんかが並んでいて「昔はもっと賑わってたんだろうなあ」とか思わせてくれたり、「やっぱ山門が向いてる方が当然旧道だよな」なんて予想させてくれたり。
次に我々が立ち寄ったのは神田明神の参道に位置する老舗の糀製品店、三河屋綾部商店さんでした。老舗ったって明治やそこらの老舗とはわけが違う。創業なんと1616年!元和2年だよ大坂夏の陣の翌年だよ! 神君家康公ギリギリ生きてるよ! 信じられん。なんでも徳川家の御用商人だった初代が、家康の江戸入府とともに三河から移ってきて、神田明神の現在地への遷座と同時に開業したとのこと。古い、それは古い(笑)。
半分閉めかけてたのをお店の方がご親切にも開けてくださって、建て替える前に地下に残っていた、おそらく発酵なんかに使用していたであろう室(むろ)の古写真や当時の建築設計図の青焼きなど見せていただいた。だって江戸初期からだからね、電気なんかないんだから製造時の温度湿度などの管理は相当大変だったはず。今もお味噌や納豆や名物の甘酒なんかを無添加で製造してるってんだから頭が下がります。
取材に伺わなかったお土産物屋さんからもアメちゃんなどいただいたりしちゃって、ちょっと人情、ちょっとほっこり。

古い歴史を持つ三河屋綾部商店。糀を使った味噌や甘酒、納豆を製造しており、江戸時代には将軍家に納めていた。