現役東大×慶應大×法政大学生が歴史トレーディングカードゲーム『Hi!story』で起業!ゲームから〝世界を変える〟教育へ
担当者の推しバナシ
〝歴史を楽しく主体的に〟をゆめに掲げて起業した現役東大×慶應大×法政大学生が制作した歴史カードゲーム『Hi!story』制作にかける想いをインタビュー!歴史人キッズにとっても身近な存在で『歴史で自分らしさの表現』をしている現役大学生の彼らに、歴史を好きになったきっかけや受験・起業などこれまでの自分史、そしてこれからの目標について聴いてみました。
■株式会社Highsto(以下、ハイスト)のメンバー4人を紹介します!
代表取締役CEOをしています 法政大学経済学部の渡辺拓磨です。

代表取締役CEO 渡辺くん
―好きな偉人は誰ですか?
真田幸村です。きっかけは小学生の時、家族旅行で松本城(長野県松本市)を訪れたのですが、そこで真田幸村の甲冑を着ている人を見かけ、かっこよさに魅了されたことで好きになりました。
そこから歴史マンガなども読むようになり、特に『三国志』を愛読していました。中でも、最強と言われる呂布が特に好きでした。では「日本で最も強い人物は誰だろう?」という疑問をもち調べたところ、日本一の兵で出てきたのが真田幸村だったこともあり、真田幸村がさらに好きになりました。
歴史を好きになったきっかけをくれた幸村が今でも最も好きな偉人です。
―歴史や偉人たちから学びがどのように役立ったと思いますか?
小学校5年生の頃にビル・ゲイツの歴史マンガを読み、『自分の人生で何かを成しえなきゃ!』と感じたことが、今の起業に繋がっています。
他にも、エジソンなど偉人たちの伝記を読むことで刺激を受けました。偉人たちの活躍を知ることで「自分もこのくらいの年齢までにはこういうことをやれるようになりたい」と目標をもって取り組むことができていることから、歴史に出会えてよかったと思います。
東京大学経済学部の塩山意織です。

現役東大生 塩山くん
―好きな偉人は誰ですか?
田沼意次です。江戸時代、米ばかりに焦点を当てている中、百姓がすでに疲弊しきっていることを見抜き、商人に目を向けた人物。最終的に彼の取り組みは上手くはいかなかったものの、社会全体を俯瞰することで構造の仕組みから改善しようとしていたところに凄さを感じました。
でも、実は日本史よりも世界史の方が好きです。高校時代の授業を受けている中で、ストーリー展開がある世界史に魅力を感じました。登場人物によって国の強弱があるなど、全体的にゴチャゴチャと波がある歴史を追っていくことにおもしろさを感じます。
―東京大学の日本史ってどんな入試問題が出るんですか?
注釈やヒントが書かれた、今まで見たことがない資料を渡されます。暗記したものをそのまま答えるのではなく、その資料に基づいて答えを導き出します。
難しそうにも感じますが、基礎レベルの知識をもっていれば、それをパズルのように組み合わせることでこたえを導き出すことができます。
慶應義塾大学法学部の高橋駿です。(※高は正しくは「はしご高」)

現役慶應生 高橋くん
―好きな偉人は誰ですか?
最近、本多忠勝がブームです!
最近、愛知県岡崎市様と共催でイベントを開いて、
普段僕たちはAIを使ってイラストの生成しているのですが、
―大学の専攻は歴史学ではないですが、なぜ歴史コンテンツ作りをしようと思ったのですか?
僕は日本史が苦手で、高校生までは歴史があまり好きではありませんでした。中学受験でとにかく暗記を求められたことがきっかけです。歴史が好きになる転機となったのは、大学受験のために通った世界史の専門塾で、とにかく世界史をおもしろく語ってくれる先生に出会えたことでした。さらに、NHKの『映像の世紀』というドキュメンタリー番組を観たことで、「歴史って実はこんなにおもしろいんだ!」と気づくことができました。
一度は挫折して嫌いになりかけたけど、おもしろい部分に触れたことで歴史が好きになったという自分の経験を基にして、ハイストの活動では子どもたちに歴史の楽しさやおもしろさを伝えることができたらいいなと思っています。
東京大学工学部の浜田瑞基です。

現役東大生 浜田くん
―好きな偉人は誰ですか?
坂本龍馬です。最初に歴史に触れたのがNHK大河ドラマ『龍馬伝』でした。主役を演じた福山雅治さんの演技やドラマ全体が好きで歴史が好きになりました。ドラマの描き方が素晴らしかったからこそのめりこめたというのもあるかもしれませんが、「日本の夜明け」というストーリーのもととなる歴史を創った龍馬のように時代を変えられる人になれたらいいなと尊敬しています。
『龍馬伝』以降も、家族で大河ドラマを観るようになったのですが、次の作品『平清盛』を観ている小学4年生頃に、自作の歴史カードを作っていました。これが今の活動にも通じているように感じます。
―浜田さんはハイスト唯一の理系メンバーなんですね。
実は理転をしています。情報へ行っても、システムがどのように移り変わってきたのかを知ることが好きなので、歴史が学ぶ原点であり役立っているところだと思います。
僕の中で、歴史は全て原因と結果でできているという考えがあります。例えば、王朝の移り変わりや同じ時代の中で改革が起こるというのは、原因となる何かが起こったから改革されたという経緯があります。それらは全て繋がっていて、その繋がりを考える意識がついたというのは歴史がきっかけなのかなと思います。
―4人は異なる大学ですが、どのようにして出会ったのですか?

ビジョンに共感してくれることが大切と語る、渡辺くん
渡辺:東京大学の「Business Contest KING 実行委員会」というサークルに運営側として所属していました。1年生の10月頃、現在は参加していない元メンバーの1人と歴史カードゲームを作りたいと思いつきました。
しかし、制作するには人数が足りなかったので、リクルーティングしていきました。仲間を探すうえで重要だったのは、各コンテンツ制作の能力加えて、自分たちのビジョンに共感してもられることでした。
無事に共感できるこの4人が集まり、小中学生向けの歴史トレーディングカードゲームの制作・販売を始めました。
今夏には株式会社Highstoとして法人化も果たすことができました。
■〝遊び〟が〝学び〟になるトレーディングカードゲーム
―キャラクターなどのトレーディングカードゲームと異なる点はどこですか?
渡辺:勉強の入り口になる点です。
イラストのビジュアルの好みや勝ち負けを楽しんで欲しいという点に関しては、他のトレーディングカードゲームと変わりません。しかし、ハイストは、歴史と出会えるコンテンツです。カードには歴史上の偉人が登場して、技にはその人が関わった実際の出来事や物にしています。さらに、人物の組み合わせによって攻撃の強弱がつくように作り込んでいます。

例えば、維新三傑。歴史上で関わった偉人が集まるとより高い効果を発動することができる。
学校の授業で初めて歴史に出会うと、最初に参考書や教科書など活字を読んで「分からない」からスタートしがちですが、ハイストで遊んでから学校の授業を受けることで、学習内容の理解度がより深まっていくことを理想としています。
勉強に寄せすぎると教材になってしまう、遊びに寄せすぎると保護者の方々にも「これで本当に学べているの?」と不安になってしまうと思います。丁度良い塩梅を見つけるためにテストプレイや子どもの意見を取り込んで完成しました。
高橋:従来の知育玩具は学びの要素が強くなりすぎているように感じます。子どもたちも大人たちが遊びにみせかけて学ばせていることに気づいているんじゃないかなと思ったので、なるべく遊びの要素を大きくして自然と歴史に触れる機会をつくれる構造にしました。
■YouTubeに勝利!ここまで達成できたのはメンバーの支え合いがあったから
―SNSやイベントを通じて、プレイヤーの皆さまからもらった嬉しい声はありますか?

SNSの管理を担当している高橋くん
高橋:YouTubeに勝ちました!いつもYouTubeばかりを観ている小学6年生の男の子が、YouTubeそっちのけでハイストにのめり込んでいるというコメントを頂きました。なんと3日間YouTubeを観なかったそうです。
浜田:「勉強のスキマ時間にハイストをやりたい!」と言ってくれていたようです。この保護者さんは勉強のスキマ時間に勉強をしてくれているという認識をしてくださったので、とても喜んで頂けました。
塩山:たまたま愛知県に住んでいる方だったので、先日開催した愛知県岡崎市でのイベントにもわざわざ足を運んで頂きました。
渡辺:子どもたちが喜んでくれているというのはとても嬉しいです。体験会では「超楽しい!買いたい!」と保護者の方とバトルを繰り広げている姿を見た時には自分たちのプロダクトがおもしろいと感じてもらえているんだとありがたい気持ちになります。
カードを持って武将隊(
浜田:ポケカや遊戯王などのカードゲームに親しんできた保護者の方々から、子どもと一緒に遊ぶコンテンツとして選んでもらえるカードゲームになるのが1つの道筋かなとも考えています。他のゲームもおもしろいけど、せっかくなら子どもの学びになるものを買いたいと感じたら選んでくれると嬉しいです。
―逆に失敗談などはありますか?
渡辺:全ては意味を持っていたんだと思うので失敗という失敗は無かったようにも感じます。
塩山:細かい点でいうとフォントを変更した点です。保護者の方から「読みにくい!」という声を頂いて読みやすいフォントに変更しました。買ってもらった人から声を頂いてより遊びやすいものにしていくための作業の一環だと感じています。だからこそこれを「失敗」としてとらえてそこで止まったり、諦めたりするものではないのかなと思っています。

岡崎・徳川家康のデッキに入れた次回予告カード
渡辺:落ち込むことがあってもやらないと進まないので…
高橋:落ち込んだエピソードあるよね!
渡辺:ビジネスコンテストに参加した時に落ち込んだね!
学生起業となるとソフトウェアサービスが強く、アナログなプロダクトは審査員の方々から受け入れられていない
塩山:通常審査員の方々はビジネスモデルやプロダクトについて質問することが多く、それが興味ありますというサインです。それにも関わらず結成について質問されたので「これはダメだったのかな」と思っていました。
渡辺:落ち込んでいる期間はSlackの『鼓舞するチャンネル』で「これはゴールじゃない!ここが始まりだ!」のようなメッセージを送り続けました。でも最終的にアイディア賞を頂くことができ、復活しました!
塩山:偶然にも4人それぞれの得意分野が分かれていて、渡辺くんはおしゃべりが得意、浜田君はシステム開発、僕はデザイン、高橋くんが広報を担当して、上手く役割分担をすることができています。それぞれの得意なことを安心して任せられるというのが、結果的に支え合いになっています。
浜田:1人いなかったら結構きつかったと思います。
■次世代に伝えたいのは〝挑戦することでおもしろい世界が作れる〟こと!

「東大生」というフィルターではなく自分たちの取り組みに注目して欲しいと語る塩山くん(左)と浜田くん(右)
浜田:小中学生向けに作ってはいますが、僕たちも本気で作っているので本当におもしろいです!!
もちろん歴史以外にも教育はあるので、将来的にそこにも携われたらいいなと思っています。現代はGIGAスクール構想の過渡期にあります。どのように活用していくかをという時にアプローチすることができれば教育を大きく変えることができるのではないかと考えています。
高橋:夢に出てくるくらいハイストにハマったという声を聞いた時にはとても嬉しかったです。
子どもの興味は2種類あると思っています。一瞬で燃えて散る花火のような興味と、根っこがあってどんどん太い根っこが育っていくような興味です。ハイストはその後者になって欲しいです。ハイストを入口としてやがてはイノベーターになる子どもたちが育って欲しいです。
塩山:高校生の時、親とお金の話やどうやったら幸せになれるのかについて話し合いました。資本主義というシステムの中では資本者と労働者がいて、労働者は徐々に積み上げて仕事を進めていきます。しかし、それでは行ける場所が限られれているし、そのような働き方は自分にとって幸せとは言えないなと感じました。学生の考えだけでそれを語るのは違うと思ったので、インターンなどで職場で働くという経験もしてきました。
経験の中で、卒業後に見えている道だけではなくて少し道をそれてみたり、やりたいことをやりながら自由に生きられる道を選びたいと考えると起業という道が絞られてきました。
渡辺:せっかく学生のうちに起業をしたので、これからも「生活のための仕事」ではなく「好きなモノやサービスを作りだして世界を良くしていく」仕事をしていきたいです。起業をして世の中の人に求められるものを作り、それに自分自身の想いを乗せれば、世の中に良い変化をもたらすことができると考えています。

第1~3弾デッキ
今は〝歴史を楽しく主体的に〟という中長期的なビジョンをもっているので、小さな子どもたちからお年寄りまでが歴史に興味をもって観光地を訪れるなど、世の中の盛り上げていきたいです。ハイストをきっかけに歴史が好きになって学び、偉人たちの真似をして大きな出来事を成し遂げるような子どもたちが育っていけば、本当の意味でビジョン達成になると考えています。
小中高生でも意外と挑戦する機会はあると思います。まずは拒否せずに何事も挑戦することで一緒に〝change the world 〟世界を変えていきましょう!
株式会社Highstoの皆さん、ありがとうございました!