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信長の大好物「焼き味噌湯漬け」を令和版にアレンジしたら…?


歴史上のあの人物はどんな料理を好み、食していたのか? この記事では、食事復元研究の第一人者として知られる食文化史研究家の永山久夫さんが、研究に基づいて料理を再現。さらに、料理研究家のきじまりゅうたさんが、現代人の好みに合うように、令和版にアレンジした美味レシピを紹介する!


焼き味噌は信長の“必勝サプリメント”

信長の「焼き味噌湯漬け」

 時代の変革者であった織田信長(1534~1582年)は、湯漬けを好んだ。現代のお茶漬けに近い。飯に湯をかけただけの即席めしだ。

 

 出陣はもちろん、何か大きな事に当たる前には、忘れずに湯漬けをさらさらとかっこみ食いをしている。腹ふさぎ程度の軽食であるが、気を落ち着かせ、自信をさらに強化する効果があり、信長にとっては、先手必勝の「勝負めし」であった。

 

 湯漬けには菜として焼き味噌がつきもの。信長の場合の焼き味噌は、尾張(愛知県)特産の大豆だけで作った豆味噌が主原料。その作り方はまちまち。味噌を直火で炙っただけの単純なものもあれば、すり生姜、すり胡麻などを混ぜ、さらに甘味や酒を加え、鍋に胡麻油を垂らして焼き上げるといった豪華版まである。

 

 その信長が食した湯漬けを、現代版にアレンジしたのがこの「鶏だし湯漬け」だ。

きじま流カンタン極旨レシピ「鶏だし湯漬け」

【材料2人分)】

玄米(五分搗きの玄米):2合分

細ネギ:3本 生姜:1/2

鶏手羽元:3本 

焼き味噌(上記):適量

A水:500ml 酒:100ml 塩:小さじ1/4

B八丁味噌:大さじ4 酒:大さじ2 砂糖:大さじ1 

白すりごま:大さじ1/2 

おろし生姜:小さじ1/2

 

【作り方】

玄米を炊く

五分搗き玄米をボウルに入れ、流水で一気に洗って水を捨てる。再度水を注いで研ぎ、濁りがなくなるまで研ぎ上げる。ザルに上げて水気を切り、再度ボウルに戻して、水:400mlを加え、冷蔵庫で5時間ほど置く。炊飯器か鍋で通常通り炊飯する。

 

鶏出汁をとり、具を作る

鍋に手羽元と薄切りにした生姜とAを入れて火にかけ、煮立ったらアクを引き、フタをして吹きこぼれない程度の火加減で20分煮る。粗熱が取れたら肉を取り出して裂く。煮汁を濾して、火にかけて温める。

 

焼き味噌を炙る

Bを混ぜて、木べらなどに塗りつけ、直火で炙る。ご飯に、鶏肉と小口切りにしたネギと味噌をのせ、スープをかけて完成。

 

【レシピ考案者:きじまりゅうたの料理解説】

 

 織田信長の勝負メシ「焼き味噌湯漬け」について永山先生にお話を伺いました。信長は塩辛い料理が好きだったということで、たっぷり味噌をのせて食べていたのかな……などと、想像は広がります。

 現代の我々の味覚で考えた場合、味噌の味だけでも十分美味しいのですが、動物性の旨味を少しプラスすればさらに深みが増すのでは? ということで、白湯を、鶏肉を煮込んだスープに変えて、だしの旨味が加わるようにアレンジしてみました。

 普段あまり料理をしない方でも簡単に作れますので、ぜひ織田信長の生きた時代に思いを馳せながら楽しんでいただければと思います。ぜひ信長にも食べてみてもらいたいし、喜んでくれると嬉しいですね!

 

撮影/渡部聡 スタイリスト/吉岡彰子

 

歴史人2021年11月号 「偉人メシ」より

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きじまりゅうた(きじまりゅうた)
きじまりゅうたきじまりゅうた

きじま りゅうた/1981年東京都生まれ。料理研究家一家の3代目。男性のリアルな視点から家庭料理を提案している。NHK「きじまりゅうたの小腹すいてませんか?」を始め、テレビや雑誌等を中心に活躍中。

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