大人になっても役立つ「小学生の自由研究」:戦国時代編① テーマの立て方に使える「テクニック」とは?
◼️自由といわれても…研究テーマに「使える」ワザを紹介
小学生の夏休みの宿題で、おそらく最難関なのが自由研究。「自由」と言われても迷うから、何か枠組みがほしい……、というのが本音のところでしょう。
保護者の方々も、お盆明けのギリギリになって就寝時間を後ろ倒しにして手伝うのは避けたいはず。
なので、我らが『歴史人』としては、学校の先生の文系・理系選択や社会科選択科目を問わず、一応教養として知らないわけではない日本史のうち、メジャーな戦国時代をまずは推します。これが大枠。
そのうえで、自由研究のテーマを複数紹介しますが、ポイントは「対比」です。たとえば……
①教科書本文に取り上げられるメジャー事項に対して欄外のマイナー事項
②中央の出来事に対して地方の出来事
③勝者に対して敗者
④男性の武将に対して女性の姫
⑤兄弟に対して姉妹
⑥ライバルどうし
などです。
現代は多様性〔ダイバーシティ〕が重要なので、どんなテーマでもいいのですが、このように「カウンターパート」があると展開しやすい。先生も納得しやすいし、クラスメイトも「なぜそのテーマを選んだのか」がわかりやすい。
そもそも「問いを立てる」ことが学問の入口ですから。
さて、もっと具体的に詰めていきましょう。
①なら「戦国大名の城下町づくりと庶民の暮らし」
②なら「織田信長の上洛とその頃の“九州三国志”」
③なら「関ヶ原の戦いで東軍が勝った一番の理由と西軍が負けた一番の理由」
④なら「細川忠興と妻・細川ガラシャの生き方の違い」
⑤なら「豊臣兄弟と浅井三姉妹はどっちが凄い?」
⑥なら「“甲斐の虎”武田信玄と“越後の龍”上杉謙信はどちらが強かったのか?」
と仮に設定して、
①は、朝倉氏の福井県一乗谷のようにたくさんの資料・史料が残っているところにすれば調べやすいです。
②は、近畿地方にサッと進出した織田信長に対し、九州の島津・大友・龍造寺は三つ巴で争い中。天下を獲るには強さよりも「立地」「タイミング」がいかに大事かを述べます。
③は、東軍が勝った理由と西軍が負けた理由はさまざまあれど、根っこのところでは理由も綺麗に対比できるようにもってくる。例えば「東軍は大名の統率が取れていたけど西軍は取れていなかった」などとすれば、結論を「東西の総大将=徳川家康・毛利輝元の統率力の差」とまとめやすかったり。
④は、キリシタン大名ではない夫とキリシタンの妻なので対比しやすいです。細川忠興の「生きざま」と細川ガラシャの「死にざま」を対比してみたり。ガラシャは天国に行ったのでしょうかね?
⑤は、あえて来年の大河ドラマ『豊臣兄弟』に寄せておき、先生やクラスメイトに「なぜこの題材を選んだの?」と聞かれた時の対策はバッチリというパターン!
⑥は、すでに済んだ話だからこそ好き放題言える歴史学習の醍醐味です。信玄と謙信は長野県の川中島で5回争ったけど決着がついていない。でも、こういう条件だったら、とか考えることじたいが楽しいし、先生やクラスメイトに「自分はこう思うけど、そちらはどう思う?」と問いかけることもできます。
というふうに、①~⑥はそれなりに「使える」ワザかと。
まあ、自分自身なら「日本史の戦国時代に限定した自由研究の場合、どんなテーマが立てられるか?」ということじたいを自由研究にしますけどね(笑)
好きにがんばってみてください!

イラスト/AC