27年大河ドラマは『逆賊の幕臣』に決定!16年ぶりの“殿”を演じる主演・松坂桃李は「36歳なりの人生を経た殿を見せたい」
2027年大河ドラマの制作・主演発表会見が開催されました。
第66作となる2027年大河ドラマ制作・主演発表会見が開催されました。当日は、制作統括を務める勝田夏子さんをはじめ、主演、作者の3名が登壇しました。会見で語られた、本ドラマの見どころや想いをお届けします。
◆主人公・小栗上野介忠順を演じるのは松坂桃李さん

©NHK
-作品にかける意気込みを教えてください!
大変緊張しております。自分がまさか大河ドラマの主演をやらせていただく日がくるとは微塵も思っておりませんで、この話をいただいた時、本当にびっくりしました。そして、『果たして本当に自分にできるのだろうか?』とすごく不安でした。しかし、プロデューサーの勝田さんと作者の安達さんと先日改めてお話をして、「このお二人が作り出す『逆賊の幕臣』という作品に自分もちゃんと参加したい」と強く思いました。
お二人の人柄と企画力で、どんな作品になるのかというワクワク感、毎週日曜日の放送なので憂鬱な月曜日の登校や出勤に少しでも重い身体を軽くしてもらえるようなエンターテインメントな作品になるのではなかろうかと確信しております。
まだ僕はこの仕事をはじめて16年くらいとまだまだ短いですが、後輩・同期からもらった刺激、先輩からもらった教えや学び・言葉、いろんな作品に携わらせていただいた経験・知識など、全ての引き出しを開けてこの作品に注ぎ込んでいきたいと思っております。
―どのように報告を受けて、どのように思いましたか?
はじめは「松坂くん、来ましたよ!」とやたら嬉しそうにチーフマネージャーさんから話を聞きました。「なんの話だろう?」と思ったら、「大河ドラマの主演が来ました!実はこれ、私の夢だったんです!マネージャー生活の中で自分が担当している人物がいつか大河ドラマの主演をやる。もしそれが叶ったら私は引退してもいいと思っている!」、それだけ強いチーフマネージャーの想いを……急に押し付けられ(笑)。その方とは14年程度一緒にやってきて、どれだけ仕事に真摯に向き合ってきたのかも分かっているつもりなので、この方がどれだけの想いでこの作品を僕に運んできていただいたのかというのも分かっているつもりなので。とても嬉しい気持ちで受け止めつつ、同時に背筋がピンっと、もう反れるんじゃないかくらい緊張しております。そんな身近な人も想いも抱えながら『逆賊の幕臣』に向き合っていきたいと思っております。

©歴史人Kids
―名前だけは聞いたことがあるような人物ですが、はじめて聞いた時にどのような印象がありましたか?
恥ずかしながら、小栗忠順さんという人物を全く知りませんでした。勝田さんからはじめてお話をお伺いした時に「こんな方がいたのか!」となりました。歴史の勉強をしていて、名前をお見かけしなかったなと。でもお二人の話を聞けば聞くほど、すごく魅力的で早く演じてみたいという気持ちが高まりました。撮影が始まる来年までに自分の中で小栗さんという人物を徹底的に調べて、自分の中・身体に落とし込んで現場に入っていこうかなと思っております。
―幕末というと薩長を中心とした維新たちの味方をすることが多い中で、逆の立場をすることについてどう思うか?
幕臣側という新たな切り口で、当時何があったのかということを日曜8時にお届けすることで、新たな幕末の魅力を伝えることができるのではないかと思っているので、とても楽しみにしております。
―『侍戦隊シンケンジャー』で殿をやったと思うのですが、今回、“殿”と呼ばれる人間をやることについてどう思いますか?
あれから時を経て16年あまり、共演者、監督との色んな作品での経験を経て、36歳なりの人生を経た殿を見せたいなと思っております!
◆作者は連続テレビ小説『おかえりモネ』などを担当した安達奈緒子さん

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-作品にかける意気込みを教えてください!
NHK大河ドラマという大看板で幕末を描かせていただけるというのは大変光栄なことで、緊張と熱と、身の引き締まる思いです。その中でも小栗忠順という天才でありながらチャーミングであったであろう人物の目からもう一つの歴史を見てみたいと考えております。この方の人生を負いながら今の日本を一緒に見ることができたら良いなと考えております。
―優しい作風を担当することが多かったと思いますが、今回の大河ドラマはどのようになりそうかという想定はありますか?
よく見て頂けている作品が“優しい”と評価をしていただけることは大変ありがたいなと思っています。「年齢を重ねてくると歴史や政治に本当に向き合ってきたのだろうか?」と思うことがあります。大河ドラマという大きな枠をお借りしながら歴史や政治を描いてみたいなと思っています。それと同時に、自分の好みとしては政治劇が好きでございまして、真正面から向き合ってみたいと思っています。どこまでできるかは……がんばります!
―どのように報告を受けて、どのように思いましたか?
私も大変恥ずかしながら存じ上げませんでした。松坂さんがおっしゃられた通りで、「これだけ大変な活躍をされたのになぜ知らないのだろう?」と考えてしまいます。江戸末期を陰で支えたといってもよいといいのではないかという人物です。歴史に詳しい方々に聞くと、皆さんよくご存じでいらっしゃいますし、『この人こそ!』と皆さんがおっしゃっている。それなのになぜ知らないのかということを一緒に考えていきたいと思っております。
◆制作統括・勝田夏子さんが語るドラマの見どころ

©NHK
このドラマは幕府・幕臣の側から描く幕末史。
“江戸幕府は遅れた存在、明治維新をもってはじめて日本に近代化が訪れた”という歴史観が根強いと感じます。しかし、見直しが進む中で“幕府は近代化の種を蒔き、先進的な取り組みをしていた”ということが明らかにもなっています。このドラマでは舵取りをした小栗を中心に、これまで語られてこなかった側面に光を当てていきたいと思っています。
今回の主人公の小栗上野介忠順、その名を知らない人も多いのではないでしょうか。
実際、歴史の授業でもほとんど習うことのない人物です。実は、“勝海舟のライバル”ともうたわれた人物。司馬遼太郎も『小栗と勝は明治の父である』と記しています。つまり日本の近代化にレールを敷いた人であるともいえるかと思います。「そんな逸材がこれほどまでに知られていないのか?」、その秘密がこのタイトルには隠されています。なぜ小栗は明治新政府軍に恐れられたのか?どのような人物だったのか?を1年をかけて描いていきたいと思います。
「最期処刑をされてしまう小栗」と「江戸城無血開城を成し遂げる勝」という運命が分かれていく二人のライバル関係もドラマチックに描けるのではないかと思います。
ライバルの勝海舟は咸臨丸という船に乗り、日本人ではじめて太平洋を横断してアメリカに行ったといわれています。実は同じタイミングで、小栗は万延元年遣米使節団の一人としてアメリカに渡ったといわれています。咸臨丸はサンフランシスコに着いたら日本に帰ってしまいますが、万延元年遣米使節団はワシントンの大統領に会ったり、ニューヨークでブロードウェイのパレードで歓待を受けたりもしたと伝わります。しかし、この万延元年遣米使節団の歴史もまた、歴史の闇に葬られている史実なのではないかと思います。
さらに近年幕末史では、グローバルな観点からも注目されています。
列強は日本にやってきてどの勢力と組めば自分たちがより儲けられるのかと考えます。イギリスは薩長を応援、それに対抗して小栗はフランスと組み支援を受けながら日本の近代化を進めていきます。将軍・徳川慶喜も歩を同じくしていくのですが、慶喜との間でも裏切りがあるなどドラマが繰り広げられていきます。何かを成し遂げる時に立場の異なる人を巻き込み、時には真心でぶつかり合った次の瞬間に、歴史が変わっていくというスリリングで熱いドラマです。