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【偉人メシ】聖徳太子は元祖チーズを食べていた!

偉人メシ


誰もが毎日元気に過ごすために欠かせないことの1つが、食事! 約1500年前に生きた聖徳太子(厩戸王)ももちろん、食事をしていました。「今とは全く異なる時代の人々はどんなご飯を食べていたのだろう?」という疑問を、偉人たちの好きな食べ物からもひも解いていきます。


 

 

■「偉人メシ」ってなに?

 

「歴史は苦手!でも料理や食べることは大好き!」というキッズたち、教科書に登場する歴史上の人物たちが食べていたといわれる料理を作ってみませんか?

料理を監修してくれるのは、食事復元研究の第一人者で御年90歳ながら現役で大活躍中!食文化研究家の永山久夫先生!

「でも、偉人たちが食べていたご飯では、栄養が足りない…。」そんなお悩みを解決してくれるのは、人気料理研究家のきじまりゅうたさん!令和版にアレンジした栄養満点&映える『偉人メシ』にも、親子でチャレンジしてみてね!

 

 

今回の偉人は…

聖徳太子(厩戸王)

研究が進み『聖徳太子(厩戸王)』と表記されるように。©国立国会図書館デジタルアーカイブ

かつて1万円札の顔として知られた、聖徳太子。

日本古代史最高ともいえる彼が好んだといわれる食事を再現してみたよ!

いったいどんなご飯を食べていたのかな……?

 

 

■聖徳太子って、どんな偉人?

 

用明天皇の皇子(おうじ)で、母が宮殿内の馬小屋の前に来た時に生まれたことから、厩戸(うまやどの)皇子と呼ばれる聖徳太子。

日本初の女性天皇である、おばの推古(すいこ)天皇の摂政*(せっしょう)となり、氏や姓ではなく個人の能力に応じて役人をランク付けした「冠位十二階」や、日本初の憲法「十七条の憲法」を定め、天皇中心の国家を作るために豪族や役人の心構えを説いたといわれています。

また、小野妹子を遣隋使として中国に送り、大陸の文化や制度を取り入れ、日中の交流をスタートさせていました。そして、仏教を日本に広めるために、天王寺や法隆寺などを建てたといわれています。

*摂政…天皇の代理

 

日本の歴史的な偉人として最も有名だけど、その功績については、現在ではさまざまな説があるみたいだね。

 

 

■日本史上屈指の偉人・聖徳太子が食べた頭脳食

 

「一を聞いて十を知り、十を聞いて百を知る」や「十人の訴えを同時に聞き、それぞれに答える」ことが可能だったとも伝えられている人物。飛鳥時代の政治家であった聖徳太子(574~622)は、聡明で卓越した頭脳力を持ち、仏教だけではなく、儒教も身につけていました。

「一に曰く、和をもって貴しとなし」ではじまる、日本最古の成文憲法として有名な十七条の憲法は、平和で豊かな世の中を目指し、今も多くの人々に尊敬されています。

 

太子がどのような食生活をしていたのかについては、資料が少なく推測(すいそく)するしかありません。しかし、頭の機能を向上させ、おだやかな気持ちで活動するうえで役に立つような栄養素をとっていたと考えられています。

 

現代の食事バランスと比較しながら読んでみよう!

 

・からだを動かすエネルギーとなる主食

半搗(はんつき)程度の玄米に近い飯を食べていたと思われます。これを一晩水につけて、朝に炊きます。すると、米の酵素が活性化して発芽状態に入り、アミノ酸の一種のギャバが作られます。ギャバは知的能力を高めると同時に、心を和やかにする働きをします。

 

・からだの調子を整える副菜と筋肉や血などからだのもとになる主菜

太子は仏教の信仰(しんこう)者だったため植物食が中心で、少量の魚などをとっていたようで、干物のイワシ類が多かったようです。

その他には里芋、ゴボウ、きのこ類、そして煮豆などを食べていました。

大豆で作った醤*(ひしお)は調味料であると同時に、お酒のつまみなどにも用いられていました。

*醬…現代のもろみ

 

・骨や歯をじょうぶにする働きがある乳製品

太子の時代に、大陸から牛乳で作る「酪(らく)」という文化が入り、食用にされていました。牛乳を煮(に)つめて固形にしたもので、現代のチーズに近い食べ物です。飛鳥時代から平安時代にかけて貴族たちの間で食べられていたようで、当時の記録によると「乳一斗(いっと)を煎(せん)じて一升(いっしょう)の蘇ができる」という記録が残っています。タンパク質とカルシウムが多く、ストレスに強くなります。

 

古代からチーズに似た物が食べられていたんだね!

 

 

■牛乳を煮詰めて作った珍味。日本初のチーズ“蘇”

日本初のチーズ〝蘇〟

 

【材料】

ナチュラルチーズ:適量 

 

【作り方】

ナチュラルチーズを3cm四方程度にカットし、積み重ねて盛り付ける。

(※蘇は、作るのに非常に時間と手間がかかるので、今回は現代のチーズで代用しています)

 

 

歴史人2023年 4月号より


 

監修/永山久夫

ながやま ひさお/1932年福島県生まれ。食文化史研究家。古代から明治時代までの食事復元研究の第一人者。長寿食や健脳食の研究も行う。新聞や雑誌、テレビなどでも活躍中。

 

料理監修/きじまりゅうた

きじま りゅうた/1981年東京都生まれ。料理研究家一家の三代目。男性のリアルな視点から家庭料理を提案している。NHK「きじまりゅうたの小腹すいてませんか?」を始め、

テレビや雑誌等を中心に活躍中。

 

編集:杉田俊人 撮影:渡部聡 スタイリスト:吉岡彰子

過去記事

永山久夫ながやまひさお

1932年福島県生まれ。食文化史研究家。古代から明治時代までの食事復元研究の第一人者。長寿食や健脳食の研究も行う。新聞や雑誌、テレビなどでも活躍中。

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